A Challenge To Fate

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【愛しの地下音楽 1978/2018】ガ行の死なない殉教者たち『GASENETA/ガセネタ』『Silence Will Speak/GEZAN』

2018年11月12日 01時46分05秒 | 素晴らしき変態音楽


1978年のガセネタと2018年のGEZAN、両者の間に横たわる40年の差異を無視することは出来ないが、言葉の力の猛進と妄信を自己表現の中核に据えた二組の新作が時を同じくして出揃った事実は、輪廻転生ではなく、時代回帰でもなく、ましてや温故知新であるはずも無い。中心核に在る言葉と音への同質同量同レベルの信念が、違う時代違う場所違う生命体に宿ったことを切っ掛けにして、表現の最大スピード記録が40年経っても破られていないことを証明したものである。

●ガセネタ『GASENETA』
Full Contact Records ‎– KRYPT-129(2018)


山崎春美、大里俊晴、浜野純の3人により明治大学の現代音楽ゼミナールで1977年9月に結成されたロックバンド。吉祥寺マイナーを中心に都内のライヴハウスや大学の学園祭で活動するが79年3月に解散。レパートリーは「雨上がりのバラード」「父ちゃんのポーが聞こえる」「宇宙人の春」「社会復帰」の4曲。本作は78年の明治大学他のライヴ音源を集めたアルバム。フィンランドのレーベルからリリースされた。これまでもCD『Sooner or Later』(1993)やCD10枚組『ちらかしっぱなし-ガセネタ in the BOX』(2011)でリリースされた音源が殆どだが、アナログ・マジックというか、レコード(筆者のは限定イエローヴァイナル)のAB面にまとめたことでCDの冗長さが排除され、演奏の切れ味と山崎の歌(言葉)の喧噪具合がダイレクトに伝わる。このアルバムの一部が当時リリースされていたなら、日本の地下音楽の歴史は変わっていたかもしれない。

ガセネタ Live at 明治大学 1978.05.14(FULL)



●GEZAN『Silence Will Speak』
十三月の甲虫 JSGM-30(2018)


マヒトゥ・ザ・ピーポー(vo.g)、イーグル・タカ(g)、カルロス・尾崎・サンタナ(b)、シャーク・安江(ds)により2007年大阪にて結成。ジャンクなサウンドに毒舌な言葉を吐き出すヴォーカルで知られる。2017年ドラムが石原ロスカルにメンバーチェンジ。主催フェスティバル『全感覚祭』、2度のアメリカ・ツアーなどで注目度が上昇中。『沈黙は語る』と題された本作はスティーヴ・アルビニ・プロデュースにより2018年4月シカゴでレコーディングされたアルバム。ジャンク/メロコア/ラップが混在するハードポアロックにマヒトの饒舌かつ情緒のあるヴォーカルが絡みつくサウンドは、何々風といった形容を断固として拒否する深紅の意思に貫かれている。このアルバムがリリースされたことで世界の音楽の色彩の赤成分が少し高まったことは確かである。

GEZAN - NO GOD (Official Music Video)



痙攣しながら言葉んpマシンガンを撃ち続ける山崎春美と、嘲る口調の端々に深い慈愛を滲ませるマヒト、この両者の表象が同じだとは言わない。時代背景が違うからでもない。たとえ同じ時代に産まれたとしても、それぞれの表現方法は変わらないだろう。にもかかわらず、山崎春美とマヒトゥ・ザ・ピーポーは同じロックの殉教者だと断言したい。なぜなら自らの信念の為に命を賭ける覚悟を持つ二人だから。なによりも重要なことは二人とも未だ命を失うどころか、水を得た魚が驚くほどのスピードで表現し続けていることである。死なない殉教者ほど無敵な魂は存在しない。

ガギグゲゴ
ギリギリグルグル
突き進め

*ガセネタの最新ライヴアルバム『GASENETA LIVE 2018.04.25』がリリースされたが未聴のため敢えて省略した。

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