A Challenge To Fate

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狂おしきニューウェイヴの進化型~マキシモ・パーク「ザ・ナショナル・ヘルス」

2012年06月14日 00時54分21秒 | ロッケンロール万歳!


「ナショナル・ヘルス」と聞くとどうしてもデイヴ・スチュワート、フィル・ミラー、ビル・ブラッフォード等が在籍した1970年代英国のカンタベリー・ロック・バンドを思い出してしまうが、このニューカッスル出身の若手バンド、マキシモ・パークの4thアルバムのタイトルが「ザ・ナショナル・ヘルス」なのである。

2005年にエイフェックス・ツインを擁するテクノの老舗レーベル、ワープ・レコード初のギター・ロック・バンドとしてデビューし話題となった5人組。初期XTCやジョイ・ディヴィジョン、ひいてはブリットポップからの影響を感じさせる英国らしい捻くれたポップ・サウンドが人気を博し、デビュー・アルバム「ア・サートゥン・トリガー」は全英15位のヒットになり同年のマーキュリー・ミュージック・アワードにノミネート。2007年の2nd「アウア・アースリー・プレジャース」は全英2位、続く2009年の3rd「クイックン・ザ・ハート」で遂に全英No.1に輝きグラストンベリー・フェスティバルのキックオフ(幕開け)バンドに選ばれた。日本でも2005年、2009年の2度に亘ってフジロック・フェスティバルに参加。2007年にはサマーソニックのダンス・ステージの大トリを務めたほどの人気バンドである。

最近のUKロック・シーンに疎い私でも彼らの名前はいろんなところで見聞きしたし、YouTubeに上がっているPVもユーモアたっぷりで面白い。ワープ・レコードのテクノの牙城的イメージを瓦解させるドライヴ感溢れるギター・ロックを奏でる彼らのスタイルに80’sニューウェイヴの香りを嗅ぎ取って、フランツ・フェルディナンド、リバティーンズ、ブロック・パーティー、シザー・シスターズ、カイザー・チーフスなど”ポストパンク/ニュー・ウェイヴ・リバイバル”(英国では"Garage rock revival/Post-punk revival")と呼ばれる若手バンド群の中でも特にお気に入りだった。

そして今月初めにリリースされた3年ぶりの4thアルバム「ザ・ナショナル・ヘルス」を聴いて、狂おしく芳醇なメロディーの中から滲みだす進化を遂げたマキシモ・パークのエキスにさらなる希望の光を確信した次第。デビュー以来一貫してインディーであることに拘り続け、自らシーンを作り上げてきた彼らの自信に溢れたサウンドが天の祝福のように降り注ぐ秀作である。フロントマンのポール・スミス(ナイス・ネーミング!)は本作について「不景気のためか楽しく弾むような音楽が溢れている今、このアルバムは自分の人生に変化を与えるためのコントロールを取り戻すために、皆を後押しするような内容だ」「僕らの楽曲は多くの共感を得られるものだし、皆が求めているような不可欠な存在となることを期待している」と語っている。かつてのデーモン・アルバーンやギャラガー兄弟を思わせるビッグマウスぶりである。

▼「ザ・ナショナル・ヘルス」からの1st PV



▼2009年グラストンベリー・フェスティバルでのライヴ映像



当ブログの読者は恐らく私同様にアングラ系やベテラン(オヤジ?)系音楽に傾倒する方が多いと思われるが、このマキシモ・パークや先日レポしたTHE BAWDIESなど若手アーティストの動きにも興味を持っていただければ幸いである。彼らのオフィシャル・サイトで「ザ・ナショナル・ヘルス」の全曲ストリーミング試聴が出来るのでぜひ聴いてみていただきたい。

輝ける
80年代
取り戻せ

バンド名はキューバの首都ハバナに実在する歴史ある公園の名前に由来するという。この公園はドミニカ共和国出身のキューバの独立革命指導者マキシモ・ゴメスを称えたものである。そんな青臭い反骨精神が頼もしいじゃないか。
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