A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

不失者 Fushitsusha@KOENJI HIGH 2017.6.20 tue

2017年06月22日 02時07分16秒 | 灰野敬二さんのこと


不失者
Fushitsusha


灰野敬二 : vo, g
森重靖宗 : b
Ryosuke Kiyasu : ds

OPEN/START 19:00/19:30
ADV/DOOR ¥3,500/¥4,000



15年ぶりのアメリカ公演を一ヶ月後に控えた不失者のワンマン公演が開催された。発表されたのが5月末という四年前の「カオスフェス」ばりの急進行だった。その背景には5月21日の中国深センの第四届明天音乐节/4th Tomorrow Festivalへの出演が、突然の当局の理不尽な通達によりドラム不在で行わざるを得なかったことへのリベンジ的意味合いがあるようだ。タイミングよく灰野敬二の81年の1stアルバム『わたしだけ?』アナログ・レコード・リイシュー盤のリリースも重なり、灰野の現在と過去(原点)が交差する特別な夜になった。



開演時間の10分押しで椅子席が埋まったホールの照明が落ちると、メンバーと一緒に二人の黒いドレスの女性がステージに現れる。灰野を真ん中にして一本のマイクを囲み、静かに歌い出す。歌と呼ぶには繊細過ぎ、囁きと呼ぶには意志が強過ぎる声/VOICE。高い天井の下で三つの声が重なり合う様は、グレゴリア聖歌を思わせる祈りの響きを醸し出す。お祓いのようにも聴こえた。7,8分のアカペラコーラスが消えると、ドラムとベースが緩やかな軌跡を描きながら空気を塗り替えていく。灰野のギターが加わると、不失者らしい儀式的空間が現出する。



その後は3人が創り出す音の流れに身を任せるだけ。早く激しい曲、重いベースラインの目眩のような曲、珍しい三拍子のナンバー、聴覚の軸がズレるようなアブストラクトな展開が突如馴染み深い「暗号」のコードラインに変幻する30分近いナンバーに狂喜。軽やかな変則リズムに灰野がハーモニカを吹く開放的な曲、不失者流ハードロック「なしくずし」、そしてシューゲイザーを感涙させるドリーミーポップ。最後は<死んでしまった>者に捧げる「お前」で本編終わり。アンコールは2分足らずの不失者流ハードコアで終了。ちょうど3時間の演奏時間は、心の蕩け方次第で45分とも6時間とも思える眩惑タイムゾーンであった。

ハイな夜
スローモーションピクチャーの
サウンドトラック

アメリカツアー、特に「サイレント」と「ヘヴィ」と題されたニューヨークの2デイズをアメリカ人がどう感じるのか、興味は尽きない。

不失者 Fushitsusha - Live In Shenzhen, China @明天音樂節 Tomorrow Festival 2017 HD
コメント
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