A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【ニューヨーク便り①】ヴェルヴェッツが産んだニューヨーク・ロック

2016年04月01日 00時53分24秒 | ロッケンロール万歳!


最初に買ったヴェルヴェット・アンダーグラウンドのLPは『ライヴ・アット・マクサス・カンサス・シティ』だった。確か高3の頃、パンクのルーツとしてヴェルヴェッツに興味を持ったが、当時は殆どのアルバムが廃盤状態で、中古盤もあまり出ておらず、偶々見つけたこのLPを購入した覚えがある。もちろんマクサス・カンサス・シティはニューヨークパンクの震源地として有名だったので、70年のヴェルヴェッツのライヴに大いに期待したわけである。しかしながら意気揚々と買って帰ってターンテーブルに乗せてスイッチを入れてみて、なんか違うぞ、と感じた。スカスカな演奏とダイナミズムのないサウンドは、ニューヨークというよりアラバマあたりの田舎バンドの気分がした。観客がカセットテープで録音した音源ということはのちになって知ったが、当時の雑誌で紹介された「NYのヤバいロックのヒリヒリする緊張感」を求めた高校生にとっては失望感しかなかった。しばらくしてバナナの1stやノイズロックの『ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート』、アシッドな3rdが日本盤でリリースされたが、最初の悪印象が尾を引いて、熱心に聴くことはなかった。実際最初に買った『マクサス~』は知人に譲り、大学時代に買ったヴァーヴ盤LP5枚組ボックスもあまり聴かず売り払ってしまった。

The Velvet Underground - Candy Says (Live at Max's Kansas City)


熱心なヴェルヴェッツ好きとは言えない筆者であるが、今回ニューヨーク訪問にあたって無性にヴェルヴェッツが聴きたくなり、ホテルでYouTubeでノンストッププレイしている有様。我ながら単純だが、滞在中にレコ屋へ行くチャンスが有れば、B級品で構わないのでアナログ盤を安く購入したいと目論んでいる。他にもヴェルヴェッツに影響されたニューヨークロックのレコードを漁ってみたいと計画ちう。


●ニューヨーク・ドールズ『ニューヨーク・ドールズ』


ニューヨーク・ドールズが1973年に発表したデビュー・アルバム。個性派トッド・ラングレンをプロデューサーに迎え、当時隆盛を極めていたグラム・ロック・シーンのみならず、後のパンク・ムーヴメントにも大きなヒントを与えた1枚。「キスを求めて」「人格の危機」「フランケンシュタイン」他を収録。

<ニューヨーク>を謳ったバンドの代表格がドールズ。最初に聴いた時から裏切られることはなかった。ジョニー・サンダースに憧れて黄色いグレコのギブソンTVモデルを買った二十歳の頃を思い出す。

New York Dolls - Personality Crisis live at Musik Laden 1973


●パティ・スミス『ホーセス』


“ニューヨーク・パンクの女王"が放った衝撃のデビュー・アルバムにして傑作中の傑作。プロデュースは元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルが手がけた。鋭敏な感性から生み出される詩(ポエトリー・リーディング)と刹那的なロックンロールが溶け合った奇跡の作品。いまやパンクという概念や性別をも超えたロック・アートの発信源として活躍する彼女の原点と言うだけでなく時代に風穴を開けた強烈な作品。1975年作品

77年末NHK FMのパンク~ニューウェイヴ特集でパティ・スミスの「マイ・ジェネレーション」のカヴァーを聴いてかっこいい!と思ったが、オリジナル・ナンバーは文学的でイメージギャップを感じた。おとなになってパティの魅力が理解できた。

Patti Smith "Gloria" LIVE 1976 (Reelin' In The Years Archive)



●コントーションズ、DNA、マーズ、ティーンエイジ・ジーザス『ノー・ニューヨーク』


70年代末、ポスト・パンクへの解答をいち早く提示した当時のニューヨーク・アンダーグラウンドの最深部を見事にすくいあげたドキュメント的CDだ。再々評価の声も高いジェームス・チャンスのコントーションズ、アート・リンゼイのいたDNA、マーズ、ティーンエイジ・ジーザスの4グループ収録。プロデュースはブライアン・イーノ。

輸入盤がリリースされた79年に地下音楽界で話題になったアルバムだが、捻くれ者の筆者は同時期にリリースされたレジデンツ、タキシード・ムーン、クローム、MX80サウンドによるオムニバンス盤『サブタレニアン・モダーン』の方を愛聴していた。

Contortions Live



●ルー・リード『ニューヨーク』



歌というより詩の朗読に近いヴォーカル・スタイルを取り入れ、詩人としてのイメージを定着させた1989年発表の記念碑的名盤。人生の大半をニューヨークで過ごしたルーならではの都会的なメッセージが、荒々しいギターに乗せて歌われている。


ヴェルヴェッツ同様ルー・リードに対しても誠実なリスナーではなかったが、期せずして遺作になってしまったメタリカとの共演アルバム『ルル』は『メタルマシーンミュージック』以上の問題作だと信じて疑わない。

Lou Reed - Sweet Jane Live


●シルヴァー・ヘッド『凶暴の美学』


前作から僅か10カ月という短期間で作り上げたセカンド・アルバム。当時、マイケル・デ・バレスのルックスなど話題ばかりが先行し、グループとしての音楽的評価はあまり認められなかったが、本作はそんな過去を払拭し余りある英国ハード・ロックの傑作。

英国ロッカーのニューヨークへの憧れをそのまま謳ったグラムロッカー、マイケル・デ・パレスの美学は、ヴェルヴェッツよりもロッキー・ホラー・ショウにあったのかもしれない。

Silverhead / Hello New York


●エリオット・マーフィー『夜の灯』


`100%NY`で作り上げた純粋なストリート・ロックアルバム。ヴェルヴェット・アンダーグランドのレビューを書いたことがデビューのきっかけになった彼はNYパンクとも繋がりがあり、そのムードは本作に強く現れている。ビリー・ジョエルがピアノで参加。1976年作品。

<ニューヨークの吟遊詩人>という使い古されたキャッチコピーはこの人にこそ相応しい。現在パリ在住のエリオットにはNYのデカダンが宿っている。人生は「売れたもの勝ち」ではないことを実証する存在。

Elliott Murphy - Last Of The Rock Stars


●NYルース『イヤー・オブ・ザ・ラット』


ニューヨークから届けられたファースト・アルバム。ブロンディーがもっと激しくなったような感じで,もちろんパンチと艶がある歌声にも惹かれます。ヴェルヴェット~のカヴァーの⑥では繊細さもチラリ。十二支の文字を使ったアート・ワークも楽し。

30代の頃のガチ恋アイドル、ブリジット・ウェストにNYパンクの小悪魔というキャッチコピーをつけたのは俺かもしれない。

NY Loose - Rip Me Up + Pretty Suicide [1997]


ニューヨーク
ロックな気持ちが
花開く

NY Loose - Chicago - Metro - April 8, 1997

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする