A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

来日したが行かなかった~ファウスト「ファースト・アルバム」

2008年09月15日 01時03分54秒 | 素晴らしき変態音楽
クラウト・ロック(ドイツの70年代前半のアヴァンギャルドなアンダーグラウンド・ロックの総称。クラウトとはドイツの家庭料理、酢漬けキャベツのこと)の中でも謎の多いバンドがファウストである。他のバンドとの交流が殆どなく、北ドイツのヴュメにある廃校で共同生活を送り、1971年メジャーのポリドールからレコード盤も含め透明なセルロイドのジャケットの「ファウスト」でデビュー、翌年真っ黒な中にシュールなイラスト集を挿入した2nd「ソー・ファー」、1973年UKヴァージンに移籍して新聞紙を模したジャケットの「テープス」をシングル盤と同じ値段の99ペンスでリリース、同年楽譜ジャケットの4th「IV」を出し翌年解散。
1stアルバムはサイケなギターロック、童謡めいたユーモラスなコーラス、列車や風の音、男女の会話など様々な要素をコラージュしたもので、音楽すべてを盛り込んだような珠玉の名作だ。全編に人工的な哀感が漂っており私の"無人島レコード"である。
私がこのレコードを聴いたのは1980年日本で最初に出来た三鷹の貸レコード店"黎紅堂(れいこうどう)"でだった。それまでプログレ専門誌Fool's MateやMarquee Moonの記事でしか見たことのなかったこのレコードが貸レコード屋第1号店にあったというのは驚きの事実だが、私はビートルズの「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ」とローリング・ストーンズの「サティスファクション」のコラージュから始まるこのレコードを一聴するなりその非人間的な音楽の豊潤さにすっかり魅了されてしまった。
そんなファウストは90年代に復活し、1997年に初来日、新宿リキッドルームで演奏し、発煙筒を焚いて煙だらけにしたという。
それから11年、つい先日再来日。しかし私は観に行かなかった。私にとってのファウストは70年代にスタジオに籠り切って作り上げられた音響芸術なのである。亡霊めいた地に足がついていないところが魅力なのだ。普通の肉体を持った人間だとは思えないのである。
今回の来日では日本のサイケ・バンド、マーブルシープとの公開レコーディングも行なったという。気が向いたらそのCDでも聴いてみようと思う。

幻は
幻のまま
それでいい

実はお金がなかったというのが真実なのだが(笑)。



コメント
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