A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【えいたそモダニズム】Episode 20『最高のサイコ』〜ソニックス/ラモーンズ/T.ヘッズ/ジザメリ/ジョン・ライドン/BOØWY/ネクロ魔/でんぱ組

2018年05月20日 01時07分13秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


でんぱ組.inc コスモツアー 2018
2018/4/14(土)札幌市教育文化会館・大ホール
2018/4/28(土)茨城県立県民文化センター・大ホール
2018/4/30(月・祝)江戸川区総合文化センター
2018/5/2(水)広島・JMSアステールプラザ
2018/5/3(木・祝)NHK大阪ホール
2018/5/4(金・祝)一宮市民会館
ーーー以上終了ーーー



2018/6/16(土)仙台サンプラザホール
2018/6/17(日)栃木総合文化センター
2018/6/23(土)TOKYO DOME CITY HALL [追加公演]
2018/6/30(土)静岡市民文化会館・中ホール
2018/7/1 (日)日本特殊陶業市民会館・フォレストホール [追加公演]

でんぱ組.inc コスモツアー 2018 ~七月七日は七夕まつり編~
2018/7/7 (土)河口湖ステラシアター

▼根本凪(左)の表情にも注目


JOYSOUND presents でんぱ組.inc コスモツアー 2018 〜未知との遭遇〜
07/15(日)仙台 GIGS …CHARAMEL “ふなっしー(Vo.) アックマ(Gt.) カパル(Ba.) にゃんごすたー(Dr.)” / でんぱ組.inc
07/21(土)Zepp Osaka Bayside … 東京スカパラダイスオーケストラ / でんぱ組.inc
08/25(土)Zepp Nagoya … チャラン・ポ・ランタン / でんぱ組.inc
08/31(金)福岡 DRUM LOGOS …FLOW / でんぱ組.inc
09/27(木)Zepp DiverCity Tokyo … SILENT SIREN / でんぱ組.inc



新体制で挑む初の全国ツアー「でんぱ組.inc コスモツアー 2018」が前半を終えたところで、続々と先のツアーやイベントが発表になっている。上記以外にもフェスやイベントやソロ活動が多数予定されており、でんぱ組メンバー七人も多忙の極みであろう。くれぐれも健康に気をつけて楽しく過ごしていただきたいものである。2016年春以来の全国ツアーを満喫しているのはヲタクだけでなくメンバー自身に違いない。イエロー担当、えいたそこと成瀬瑛美さんはサンヵ所目の東京江戸川区民総合センターでの公演について以下のように感想を綴っていた。



えいたその最高発言は今に始まった口付けではない。丁度6年前の2012年5月17日のブログでも呟いている。

エキセントリックえいたそぶろぐ!!!☆ 2012年05月17日


今回は彼女の発言のキーワードである「最高」に注目してみよう。物事が最も望ましい状態にあること。この上なくすばらしいこと。また、そのさま。を意味する言葉であり、英語では「Awesome」「Sick」「Rock」「Epic」「Wicked」となる。ここに新たに「Psycho」を追加したい。「精神病」「霊魂」「霊的世界」を意味する。日本を訪れる外国人が「ニッポンサイコー」と言う時は「Awesome」ではなく「Psycho」だと思ったほうがいい。日本の根底にある宗教観の八百万神(やおろずのかみ)に触れてどう対処していいか分からない異文化人にとって「狂ってる」を意味する「サイコ/Psycho」は、思わず口をついて出る言葉としては、意味と行為が一致しているからである。



でんぱ組の「さいこう」ソングと言えば、テレビアニメ『斉木楠雄のΨ難(さいきくすおのサイなん)』第2クールオープニング・テーマでもある『最Ψ最好調!(さいさいさいこうちょう)』である。超能力者の高校生が主人公のドタバタギャグ漫画が原作。主人公の超能力にはサイコキネシス(念力)やサイコメトリー(残留記憶読取)もあり、Psychic PowerはPsychoであることが分かる。ジャケットのど真ん中で両手を広げ世界中にサイコパワーを拡散するえいたそこそサイコ女王に相応しい。

●でんぱ組.inc『最Ψ最好調!』


『週刊少年ジャンプ』にて連載のテレビアニメ『斉木楠雄のΨ難』のオープニング・テーマを収録したシングル。作詞/作曲は浅野尚志が担当。今作は、ブラックミュージックやサーフミュージック、EDM、RAPなどをミックスし、音楽ジャンルのボーダーを越えてPOPSへと昇華させた、でんぱ組.incらしさ溢れる楽しさ全開のパーティーチューン!

でんぱ組.inc「最Ψ最好調!」MV Full


これほどまでに最高のサイコ女子の瑛美さんにオレから指折りのサイコソングを捧げることにしよう。

▼ピンキー☆藤咲彩音&古川未鈴のパンチラ・ショット。



【えいたそモダニズム】Episode 20『最高のサイコ』
『サイコ』(Psycho)は、1960年に製作されたアメリカ合衆国の映画。アルフレッド・ヒッチコック監督によるサイコ・スリラー系のサスペンス映画で、全編モノクローム映像。この映画によって「サイコ」という言葉は日本を含む世界中に広まり、「精神異常」「多重人格」という意味を持つようになった。さらにここから様々な使われ方が派生した。ロック界でも様々なアーティストが「サイコ」ソングを歌って踊って人気を博すこととなる。発表年代順に検証していこう。

●ザ・ソニックス『サイコ』


1965年リリース。1960年にワシントン州タコマで結成された米国のロックバンド、ザ・ソニックス(The Sonics)の1st。1960年代中頃の米国ガレージロックの古典的名盤。有名なオリジナル曲3曲、「The Witch」、「Psycho」、「Strychnine」の他、「Do You Love Me」(ザ・コントゥアーズ)、「Roll Over Beethoven」(チャック・ベリー)、「Have Love, Will Travel」(リチャード・ベリー)、「Money」(バレット・ストロング)、「Walkin' the Dog」(ルーファス・トーマス)、「Night Time is the Right Time」(レイ・チャールズ)、「Good Golly Miss Molly」(リトル・リチャード)などの初期ロックンロール、R&B曲のカヴァーを多数収録。

いちローカルガレージパンクバンドだったソニックスが90年代のCDリイシューブームで世界中のマニアの間で再評価され2010年にはTHE BAWDIESの尽力で来日まで果たした。駆け抜ける青春時代のフラストレーションを発散するワイルドなロケンローは時代が変わっても思春期ボーイズ&ガールズの心を掴む。青春はサイコなのである。

The Sonics - Psycho



●スティーヴ・ハーリー&コックニー・レベル『さかしま(The Psychomodo)』


1974年6月リリース。70年代のロンドンに舞い降りた禁断の美形、スティーヴ・ハーリー率いるコックニー・レベルのセカンド・アルバム。アラン・パーソンズが共同プロデュース、当時の英国を象徴するデカダンス・グラムの最高作!

フランスの作家ジョリス=カルル・ユイスマンスのデカダン小説『À rebours』を『さかしま』=「逆さま」「道理にそむくこと」と訳したのは澁澤龍彦。『サイコモド(Psychimodo)』という原題に澁澤イズムを借用した邦題はスティーヴ・ハーリーの妖しい魅了を象徴している。グラムロックと呼ばれたが、イギリス特有の耽美性は時代を超えて受け継がれている。デカダンス(退廃主義)はサイコなのである。

Cockney Rebel - Psychomodo (Peel Session)



●トーキング・ヘッズ『サイコキラー』


1977年9月リリース。ニューヨークで勃発したパンク・ムーヴメントの舞台となったCBGB'sでデビューをし、その鋭い個性とパフォーマンスでシーンを牽引したトーキング・ヘッズ。新世代の幕開けを宣告した、記念すべきデビュー・アルバム『サイコ・キラー ‘77』(1977年作品)のタイトルトラック。

パンクは社会的メーセージだけでなく人間の精神世界を暴く歌も歌った。特にニューヨークのアート系ロッカーは暴力よりも知性で勝負した。脳天の先から声を出してロボットダンスをするデヴィッド・バーンは80年代アートロックの象徴だった。アフリカ音楽やミニマリズムにも接近する彼の出だしがサイコ・キラー(精神殺人鬼)だった。アートはサイコなのである。

Talking Heads - PsychoKiller



●ラモーンズ『サイコ・セラピー』


1983年2月リリース。ニューヨーク・パンクの先駆者であり、ロンドン・パンク・シーンにも影響を与えたラモーンズ。コア・パンクからポップ・パンクへの路線を突き詰め、ポップ・パンク・ブームの礎を築いた83年発表の8thアルバム『サブタレイニアン・ジャングル』に収録。

サイバーパンクの世界では精神療法(サイコセラピー)でロボット化される人間が描かれる。近未来の話ではなく心理セラピーによる人格操作や人格破壊は80年代には大きな問題になっていた。NYパンクのオリジネーター、ラモーンズが歌うサイコセラピーはパンク人生の逝く先を暗示していたのではないだろうか。人生はサイコなのである。

Ramones - Psycho Therapy (Official Music Video)



●ジーザス&メリー・チェイン『サイコ・キャンディ』


1985年11月リリース。エレクトリック・ギターを駆使して作り出したフィードバック・ノイズを前面に、扇動的なギター・ロック・サウンドでUKのみならず世界中に衝撃を与えたグループ、ジーザス・アンド・メリー・チェーンの歴史的デビュー・アルバム。UKロック史上に残る名盤として語り継がれている1985年作品。

後のシューゲイザーに大きな影響を与えたノイズギター+ヘヴンリーなメロディ様式を打ち立てたジザメリのデビュー作。リアルタイムで聴いたが、当時の筆者にとってはソニック・ユースやハードコアの方が刺激的に感じた。甘いだけで単調なメロディラインが気に入らなかったが、ヘアスタイルは気に入った。ポップとノイズの融合はロックの革命でもあった。革命はサイコなのである。

The Jesus and Mary Chain - Some Candy Talking (Official Video)



●BOØWY『PSYCHOPATH』


1987年9月5日リリース。BOØWY最後の作品となる6thアルバム。先立ってリリースされたシングル「MARIONETTE」は遂にシングル・チャート1位を獲得。成熟したBOØWYサウンドで、彼らのオリジナル・アルバムとしては最高のセールスを記録した。リリースから3ヶ月半後の12月24日、渋谷公会堂で解散宣言を行うこととなる。

筆者はまったく通って来なかったが、日本のロックシーンに於けるBOØWYの影響力は絶大とされる。布袋寅泰がオートモッドにいたことも最近まで知らなかった。唯一筆者の世界と交差したのは、2014年5月のでんぱ組.inc初の日本武道館単独公演で古川未鈴が言った「ディアステージ武道館店へようこそ!」というMCが、氷室京介の「ライヴハウス武道館へようこそ!」というMCをパクったという事実だけである。つまりライヴはサイコなのである。

BOØWY PSYCHOPATH LIVE



●ジョン・ライドン『サイコパス』


1997年リリース。P.I.L.の活動休止、まさかのセックス・ピストルズ再結成を経て、1997年に発表されたジョン・ライドン初のソロ・アルバム。ほとんどの演奏を自身でこなし、ジャケットまで手がけた渾身の作品。

1996年突然再結成したセックス・ピストルズの武道館公演はとても楽しかったが、逆にパンクがノスタルジーの対象になったことを実感し寂しい思いがした。金儲け目的と銘打った再結成ツアーだから当然だが。その翌年97年にジョン・ライドンが最初で最後のソロ・アルバムをリリースしていた。『Psycho's Path(精神異常者の小径)』と題されたアルバムは、ピストルズよりもずっと自然な彼の姿を明らかにしている。自然はサイコなのである。

John Lydon 'Pyschopath'



●NECRONOMIDOL『psychopomp』


2016年6月リリース。暗黒系アイドルユニット、ネクロノマイドル(ネクロ魔)のEP『from chaos born』に収録されたナンバー。ブラックメタル、ダークウェーヴからよりメタル/ロック色を強めた作風で、ファン層を広げることになった。ドラマティックな展開、切ないメロディで人気の代表曲。

同名異曲もあるが、ネクロ魔の『サイコポンプ』こそ最高にサイコなアイドル曲だと断言したい。冒頭の瑳里と今泉怜のクリスタルクリアなハイトーンヴォーカルに圧倒され、「嗚呼 ララララ」というリフレインの胸を切り裂く切なさの奔流に溺れながらも、分厚いファズギターと脅迫的なドラム&ベースに覚醒し「この手を握って 安らぎへ導くよ」と言う刹那の願いに翻弄される。名曲はサイコなのである。

NECRONOMIDOL - psychopomp Music Video


以上の考察により、えいたそ☆成瀬瑛美とでんぱ組.incが最高であることで、青春/デカダン/アート/人生/革命/ライヴ/自然/名曲という八つの徳を成し遂げられることが証明された。これからも最高を更新していってもらいたい。

えいたそちゃん
最高のサイコで
さあいこう!

▼今日5月19日はザ・フーのピート・タウンゼンドの誕生日。えいたそのピート・ジャンプ!

【えいたそ♥ピート説】でんぱ組.inc@立川たましんRISURUホール 2015.4.25(sat)
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【えいたそモダニズム】Episode 19『王道チャイルド』ビートルズ/ストーンズ/ジミヘン/パープル/クリムゾン/クラプトン/エアロ/ガンズetc.

2018年05月13日 01時57分58秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


「でんぱの神神」DVD第10弾発売記念シークレット"神"イベント&オリジナル特典お渡し会
2018年5月5日(土)
ご集合及びご整列時刻:11時30分/開演:12時30分(終演予定 14時30分)

五月五日のこどもの日に恒例のDVD購入者特典イベント。根本凪と鹿目凛が加入して7人組になって初めて。新メン二人の当惑ぶりが面白い相変わらずの内容は無いけど超楽しいイベントだった。ゲーム大会では最下位だったえいたそ☆成瀬瑛美さんが最後のダーツでまさかの大逆転で優勝。えいたそ推しの手に優勝特典「祝ビリテン!おめでとうござい枡(マス)!!」をもたらした。やはり瑛美は福の女神だった。



イベント終了後の特典会で前回のテーマ「成層圏」のミッションを成し遂げたオレに対して瑛美から「難しかったのにさすが、よくやった!」とお褒めの言葉を賜った。そして今回のテーマは?と問うと、考えて来たのか迷うことなく「チャイルド」と答えてくれた。「バッチリさ、こどもの日だからね」と言いながら名残惜しくも別れを告げた。瑛美の子供好きはでんぱヲタには知られている。特に幼女を見つけると声を掛ける不思議なお姉さんぶりは番組でも取り上げられた。


しかし時間が経つにつれて、何故英語なのかが気になってきた。恐らく「子供」はピンキー☆藤咲彩音さんのキャッチコピーの一部だから、たとえ名もないヲタクの妄想であれ、勝手に使っちゃ申し訳ないというメンバー思いの瑛美の真心が理由のひとつかもしれない。しかし瑛美の真心はそれほど単純じゃない。真意を明らかにする為にも真心を込めて妄想分析するしかない。

【えいたそモダニズム】Episode 19『王道チャイルド』

瑛美の口から「チャイルド」という言葉が出た途端にオレの頭の中には数曲のチャイルド・ソングが木霊した。それは何故かモノクロームの懐かしい記憶を呼び起こした。30余年前、未だ女子の手を握ったこともない純情な頃に聴いた「チャイルド」ソングの数々を発表順に辿ってみよう。

●ザ・ビートルズ『リトル・チャイルド』


1963年11月22日リリース。ザ・ビートルズ2作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』のA面5曲目に収録された。レノン=マッカートニーの作。ボーカルはジョン・レノンとポール・マッカートニーのコーラスによる。ジョンはハーモニカ・ソロも担当している。このハーモニカ・ソロはジョンの全キャリアの中でも最も熱のこもったものであり、ドライヴ感のある演奏を聴くことができる。

筆者が洋楽ロックを聴きはじめたのは1975年中1の頃だが、ビートルズの名前はその前から知っていた。中学のクラスメイトにビートルズ好きがいたが、筆者は「ビーチ・ボーイズの方がビートルズより先だぜ」と対抗していた。彼に『ホワイト・アルバム』を聴かされたがピンと来なくて『ペット・サウンズ』の方が凄いと豪語していた。『サージェント・ペパーズ』とちゃんと聴いてショックを受けるのは10年後大学3年だった。初期ビートルズのガレージロックもカッコいい。

The Beatles - Little Child - Lyrics



●ローリング・ストーンズ『チャイルド・オブ・ザ・ムーン』


1968年3月リリース。「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」(Jumpin' Jack Flash) は、1968年に発表されたローリング・ストーンズの楽曲。作詞・作曲はミック・ジャガーおよびキース・リチャーズ。「サティスファクション」と並び、グループの代表曲の一つとされる。シングルのB面に収録された「チャイルド・オブ・ザ・ムーン」も、当時の日本のファンの間では「B面にしておくのがもったいないほどの傑作」と評価された。

大抵の場合ビートルズの対抗馬とされるローリング・ストーンズも筆者は余り聴かなかった。中学時代聴いていたラジオ番組「オール・ジャパン・トップ20」でジングル的に使われていた「黒くぬれ」と、ディーヴォやレジデンツがカヴァーした「サティスファクション」の2曲は心の名曲だが、アルバムは『サタニック・マジェスティーズ』しか所有していない。サイケ時代は嫌いじゃないが、ミック・ジャガーのユルい歌い方があっていない気がする。

The Rolling Stones Child Of The Moon HD



●ダイアナ・ロス&シュープリームス『ラヴ・チャイルド』


1968年9月リリース。ホーランド/ドジャー/ホーランドのモータウン離脱に伴って、新生シュープリームスとして新たな魅力を打ち出すことに成功、ダイアナ・ロスのソロも視野に入れ始めた1968年発表の意欲作。全米2位となった「ラヴ・チャイルド」他を収録。

ブラック・ミュージック、特にソウル/R&Bは苦手なジャンル。ファンクやヒップホップやラップもダメ。家にある黒人音楽は、ジャズを除くとチャック・ベリーとレニー・クラヴィッツしかない。モッズが好きなモータウンやノーザンソウルも聴く気がしない。ガールズグループはシュープリームスよりもロネッツが好き。ミュージック・レイシスト(音楽人種差別者)と呼ばれるかもしれない。

Diana Ross and The Supremes - Love Child [Ed Sullivan Show - 1968]



●ジミ・ヘンドリックス『ヴードゥー・チャイルド (スライト・リターン)』


1968年10月リリース。ジミ・ヘンドリックスの最高傑作と謳われ、ロック史上に永遠に残る名盤『エレクトリック・レディランド』。彼が全米チャートでNO.1を獲得した唯一のアルバムでもある。ロック、ブルース、サイケデリック、ファンク、ジャズ、ソウルなど様々な音楽性を取り入れ、融合させ、それらの間をシームレスに行き来する中から生み出された新たな音楽世界は、彼の偉大なる到達点を示すもの。ギター・プレイも本作にて絶頂期を迎えている。

中学3年生の卒業前にエレキギターを手に入れた。ジョニー・ウィンターに憧れてグレコのファイアーバード・モデル。ストラトキャスターを持っていたクラスメイトはトレモロアームでジミヘンの真似をしていたが、筆者は「アームを使うのは邪道」と言って、ファイアーバードに付いていたトレモロアームを取り外して売ってしまった。高校時代に映画『ウッドストック』のジミヘンのアメリカ国歌を観てアームの凄さを知り、大学に入ってから友達のストラトを譲り受けワウファズ&アームでギュワギュワやる羽目になる。

Jimi Hendrix Voodoo Child, Live at Stockholm '69



●サリアンジー『チルドレン・オブ・ザ・サン』


1969年1月リリース。当時、弱冠15歳だったマイク・オールドフィールドが19歳の実姉サリー・オールドフィールドと結成したフォーク・デュオ、サリアンジー唯一の作品。ペンタングルのノーザン・ジョセフがプロデュースを担当し、テリー・コックス、レイ・ウォーレイ等も参加。フルート、チェロ、ハープシコード等の古典楽器を駆使したファンタジックなフォーク・サウンドを展開。後のマイク・オールドフィールド作品のプロトタイプといえる一枚。

たぶん中学1年生の頃レコード店で流れていた繰り返しの多い曲が気に入って、親に頼んで買ってもらったのが映画『エクソシストのテーマ』のシングル盤。音楽担当はマイク・オールドフィールド。解説に載っていたサリアンジーというグループ名に惚れて、音を聴く前から好きなグループになった。大学時代に再発されたこのアルバムを聴いて、想像以上にファンタジックなサウンドに萌えまくった。サリー・オールドフィールドのソロ・アルバムはほとんどリアルタイムで購入した。

The Sallyangie- Children Of The Sun (1968)



●キング・クリムゾン『ムーンチャイルド』


1969年10月リリース。ザ・ビートルズの実質的ラスト・アルバム『アビー・ロード』を抜いて全英No.1を獲得したデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』。天才ギタリスト、ロバート・フィリップを核としたキング・クリムゾンはこの作品によって、70年代を象徴する音楽ジャンルであるプログレッシヴ・ロックの中心的な役割を担うとともに、それ以降のロック・シーンに多大な影響を与え続ける存在へと駆け上ることになった。

中2の頃に冨田勲のレコードでシンセサイザーが好きになり、シンセを使っているプログレに興味を持った。当時はジェネシスしか知らなかったが、高校時代に『Fool's Mate』『マーキームーン』といった雑誌でレコメン系やユーロロックを聴きはじめた。いわゆる三大プログレ(イエス、フロイド、クリムゾン)は苦手だったが、大学の音楽サークルで先輩のプログレバンド「KNIFE」にギターで加入し、最初にコピーしたのがキング・クリムゾンの『太陽と戦慄』だった。直後に80年代クリムゾン再結成でエイドリアン・ブリューのギターに夢中になった。しかしイエスやピンク・フロイドを聴くようになったのは21世紀に入ってからだった。

King Crimson Moonchild



●ディープ・パープル『チャイルド・イン・タイム』


1970年6月リリース。第2期ディープ・パープルの幕開けを飾るハード・ロック・バイブル『イン・ロック』!テンション溢れるリッチー・ブラックモアのギター、イアン・ギランのヴォーカルが火花を散らす。

ギター少年が最初に覚えるロックギターのリフはディープ・パープルの『スモーク・オン・ザ・ウォーター』というのは万国共通らしい。筆者の中学時代、キッスとエアロスミスからハードロックに入ったギター少年のお手本はリッチー・ブラックモアだった。しかし筆者のヒーローはジョニー・ウィンター。さらにパンクロックを聴いてすぐにギターの練習を放棄してしまったので、リッチーのギターをコピーした経験はない。今聴くとパープルの音楽はいろんな要素が入っていて面白いことに気がつくが、如何せん歌い上げるヴォーカルがダメ。

Deep Purple - Child In Time - 1970



●T-レックス『チルドレン・オブ・ザ・レボリューション』


1972年9月リリース。イギリスのグラム・ロック・バンド、T.レックスの曲。1972年発表のシングルで、全英第2位を獲得。ストリングスとビブラートのきいたコーラスをベースとしたグラム・ロックのスタイルを広めた曲。

1977年9月T-レックスのマーク・ボランが自動車事故で亡くなった時は日本の新聞でも報道されそれなりに話題になったが、パンクロックに夢中だった筆者にとってはピンと来なかった。グラムロックではアリス・クーパーが好きだったが、何故かイギリスのデヴィッド・ボウイやT-レックスは聴かなかった。大学に入って結成したニューウェイヴ・バンド「鰺tation」の最初のライヴでT-レックスの「20センチュリー・ボーイ」をカヴァーしてギターを破壊した思い出がある。

T. Rex : Children of The Revolution (HQ) 1972



●エリック・クラプトン『マザーレス・チルドレン』


1974年7月リリース。ソロ活動のレギュラー・グループを率いて全米1位に輝いたロック史上名盤中の名盤『461オーシャン・ブールヴァード』。プロデューサーはトム・ダウド。ボブ・マーリーのカヴァー「アイ・ショット・ザ・シェリフ」収録。暗い隠遁生活に終止符を打ったエリック・クラプトンが、本作で力強いカムバックを果たした。

ギターの神様と呼ばれたエリック・クラプトンはクリームやデレク&ザ・ドミノスは好きだが、レイドバックしたソロ作品はのんびりしていて聴く気がしなかった。特にレゲエっぽい曲は、黒人音楽が苦手な筆者にとっては最早ロックには聴こえない。その一方でザ・ポップ・グループやPILのダブは大好物だったりするのだから、人種偏見も大概にしなければならない。

Eric Clapton - Motherless Children (1985) HQ



●エアロスミス『ラスト・チャイルド』


1976年5月リリース。エアロスミスによる1970年代を代表するモンスター・アルバムでもある通算4枚目『ロックス』。まさにアメリカン・ハード・ロックの頂点に上り詰めた瞬間を切り取った作品であり、異様なまでに張り詰めたテンションのなか縦横無尽に暴れまくるバンドが作りあげた完全無比の傑作。

中学2年の時に買ったキッス『地獄の軍団』に続くハードロック・アルバム。遊園地のアトラクションのように分かり易いキッスに比べて、猥褻な意味を持つ歌詞やダーティなサウンドが大人の世界を感じさせた。しかし何故かのめり込めなかった理由は、ローリング・ストーンズに似たユルさ/だらしなさが体質に合わないからかもしれない。大学卒業後にアロエスミスというカヴァーバンドで学園祭に出て人気を博したこともあるのだが。。。今でもそれほど好きじゃない。

Aerosmith - Last Child (from You Gotta Move)



●ガンズ・アンド・ローゼズ『スウィート・チャイルド・オブ・マイン』


1987年7月リリース。伝説はここから始まった。圧倒的なパワーと完成度を誇るガンズ・アンド・ローゼズ衝撃のデビュー・アルバム『アペタイト・フォー・ディストラクション』。彼らの代名詞である「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」、全米No.1シングル「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」ほか、ロック史に堂々と聳える金字塔と呼ぶに相応しい作品。

ガンズがセンセーションを巻き起こした頃、筆者はサラリーマンをしながらバンドをやっていた。他のメンバーはガンズに影響を受けて革ジャン&バンダナでメタル風に着飾ったが、筆者はメタルには苦手意識しかなく、イギリスのネオサイケやゴシックパンクに傾倒し、モノクロスタイルを貫いた。90年代にセカンド・サマー・オブ・ラヴの影響でタイダイやインド布のヒッピースタイルに転身し、USオルタナのREMやフレイミング・リップスは好きだったが、グランジはほとんど聴かずじまい。そのためにカート・コヴァーン自殺の衝撃はまったく経験/理解していない。筆者にとってのロック革命は70年代パンクで終わっている。

Guns N' Roses - Sweet Child O' Mine


以上の妄想分析によって暴き出されたのは、筆者が成長する上で食わず嫌いしてきた王道の音楽の重要性と魅力に他ならない。王道忘るべからず。しかし逆に考えれば、過去にスルーした音楽が多いということは、これから新たに体験できる未知の音楽がたくさん残されているということである。瑛美がオレに教えたかったのは、音楽の王道はまだまだ掘り甲斐があるから、子供(チャイルド)の頃と同じトキメキを忘れる必要はない、ということだろう。一言で言えば「BE CHILD(子供であれ)」である。



大人でも
子供のママで
BE CHILD

▼瑛美やメンバーが童心に帰れる曲

【愛踊祭2018】でんぱ組.inc『ムーンライト伝説』(エリア代表決定戦課題曲)
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【GWアイドルビデオ拝見】爆裂女子/MMM/神激/ハミシス/ゑんら/おやホロ/バンもん/モ!/IVOLVE/コロコル/さっきの女の子、/でんぱ組

2018年05月05日 00時42分30秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


5月病の季節到来。ゴールデンウィークは病みの季節のスタートダッシュか?あわせて女子アイドルの新曲・新MVが多数公開された。その中から筆者の気になる女子アイドルの新MVを紹介しよう。

●爆裂女子-BURST GIRL- 『GREAT FXXKING MY WORLD』

2018/05/02 に公開

あばれまくりのパンクアイドル4人組アイドルグループ爆裂女子-BURST GIRL-(ばくれつじょし)のMV。ひたすら全力疾走の前半はメンバー自身が扮するスラップスティックコメディが楽しい。ファンを交えたライヴシーンはヤラセ無しの本気の臨場感が胸に迫る。

ライブ会場限定CD発売開始!
「BURST GIRL」
価格¥1000


●Malcolm Mask McLaren 『Light on!!』

2018/05/01 に公開

イージーコア/メロディックハードコアを歌うパンクアイドルの新PV。スケートボードとストリートファッションの青春パンク定番ビデオはひたすらポジティブで開放感に満ちている。マスクをしていた1年前から華々しく変身。

3rd SINGLE「Light on!!」
発売日:2018年5月15日(火)
価格:1,000円+消費税


●神使轟く、激情の如く。『新世界エクソダス』

2018/05/01 に公開

神に使わされし楽曲派ミクスチャーロックアイドル、通称「神激」の新MV。ダンスシーンとメンバーそれぞれの個性派イメージシーンの組み合わせは、王道メロディととオルタナサウンドを融合したコンセプトに相応しい。


●ゑんら『リンネ転生』 

2018/05/01 に公開

元Dropのメンバーを中心に結成され2018年2月にデビューした「けむりのように変幻自在。枠にとらわれない」アイドルユニットの新MV。学園ものだが男子を巡る恋の争いを描いたちょっとシリアスな内容はアイドルヲタクが望むところだろうか。


●おやすみホログラム『世界の終わり』

2018/04/27 に公開

二人組ロッキンダンスユニット通称「おやホロ」の新曲。カメラマンのドキュメントと音楽ビデオの融合は、経費が安く内容が面白い一石二鳥の美味しいアイデア。いつもとひと味違うメンバーの姿にも注目。

おやすみホログラム 4th full album「4」
Spotify、iTunes、Apple musicにて2018/04:28 00:00より公開!
2018/05/23 より全国発売! 各サイトにて配信中


●HAMIDASYSTEM『S』

2018/04/27 に公開

「メロディック・エレクトロニカ」を標榜する4人組ハミシスこだわりのステージを映像で体験。MVともライヴ動画とも異なる「パフォーマンスビデオ」は独特のライヴ空間を見事に再現。しかし実際のステージを体験するに勝るものはない。

2018年4月29日発売!
HAMIDASYSTEM 2nd mini album「DERO X」 ¥2,000(税込)


●ゆるめるモ!(You'll Melt More!)『おこらないで』(Official Music Video)

2018/04/26 に公開

ニューウェイヴガールズグループ「モ!」の新ビデオ。コマ割りシーンの寸劇はニューウェイヴ系PVの定番だった。キャラの立ったメンバーだからこそオシャレなコミック感が魅力的。

ゆるめるモ!ニューシングル『HIPPY MONDAYS EP』
ベストアルバム『音楽よ回れ!! MUSIC GO ROUND ~ゆるベスト!~』(通常盤と初回限定盤の2種)
5月9日(水)発売!


●バンドじゃないもん!『BORN TO BE IDOL/恋する完全犯罪』



2018/05/01 に公開

アイドル界のミクストメディア「バンドじゃないもん!」のダブルAサイドシングルのMV2本。王道アイドルグラビア風とサブカルコスプレコミカル風の相反する2つのイメージはメンバー個々の魅力を増幅する。

バンドじゃないもん!「BORN TO BE IDOL/恋する完全犯罪」
2018.05.09 Release!

●さっきの女の子、『に遊びに誘われて』

2018/04/30 に公開

東京都内で活動する4人組女性ユニット「さっきの女の子、」の1st MV。夜の東京ロケとスタジオでのガチダンスシーンは新人グループの自己紹介として効果的。グループ名のTo Be Continued感が興味深い。


●IVOLVE『Humanoid Human』

2018/04/28 に公開

2017年9月にお披露目されたアイドルユニット、IVOLVE(イヴォルブ)の1stMV。グループ名は"IDOL(アイドル)"と"REVOLVE"(廻る、回る)を組み合わせた造語。ダンスシーンに歌詞を散りばめた作りはグループコンセプトを伝えるのに効果的。

IVOLVE 1stSINGLE「Humanoid Human」
2018.05.2 Release!

●Kolokol『スコール』

2018/04/30 に公開

PassCodeの所属事務所からデビューした新グループ「Kolokol」(コロコル)の1stMV。やはりダンスシーン中心の作りだが、暗い照明や逆光が多用されるのはPassCode流れの特徴。

5/13 1st Album 「nostalgia」 Release
[WEBSK-001] ¥2,000(tax in)

連休に
アイドルビデオ
豊作だ

●でんぱ組.inc『ギラメタスでんぱスターズ』


2017.12.30 at 大阪城ホール。成層圏へカセットテープを飛ばすMVもライヴパフォーマンスは爆裂するのみ。
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【視聴動画公開】トークイベント『EXTREME MUSIC〜ジャパノイズと地下アイドルを聴く』@外苑前Art & Spaceここから 2018.5.1(tue)

2018年05月03日 02時03分35秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


【トークイベント】
地下アイドルへの招待
<エクストリーム・ミュージックとしてのジャパノイズと地下アイドルを聴く>
2018年5月1日(火)
外苑前ギャラリー「Art & Space ここから」
20:00開演  参加費無料 / 飲食持込みOK
出演:剛田武×鶴田恵一



GWの中日、メーデーとは言え仕事のある人も多い平日にも関わらず10人を超える来場者があり感謝したい。トークの内容は来場者だけのお楽しみなので公開しないが、当日視聴した曲を幾つか紹介したい。

●19/Juke / Volcano


●Throbbing Gristle - Discipline - restored


●非常階段/蔵六の奇病


●マゾンナ


●BiS階段 / 好き好き大好き


●非常階段 featuring ゆるめるモ!「解体的交歓」


●あヴぁ階段


●のいずペンギン


●・・・・・・・・・・/のいずくみきょく


●テンテンコ / なんとなくあぶない


●MikaTen/Angel Noise


●ZVIZMO (Tentenko + Atsuhiro Ito)


●沖縄電子少女彩


●Tincy


●HAMIDASYSTEM - 夜の箱庭


●LiLii Kaona「雨音」


●みんなのこどもちゃん 『起きたら死んでたい』


●Timisoara


●C.C.C.C. - Amplified Crystal


●Rudolf Eb.er & Junko Hiroshige


●【ORIYON】BiSH-星が瞬く夜に-【歌って踊ってみた】


●十四代目トイレの花子さん / ROSE OF KILLER


●NECRONOMIDOL - psychopomp



<GWノイズ×アイドルおススメイベント>


5月5日(土) 秋葉原CLUB GOODMAN
GIGAIDOL2
op12:30/st13:00
予約¥2800+1D
詳細はこちら

ギャラリーと
ノイズとアイドル
親和性

▼外苑前ギャラリー「Art & Space ここから」にて開催中。5月5日にはスペシャル・ライヴも!




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【えいたそモダニズム】Episode 18『成層圏からこんにちは』タンジェリン・ドリーム/ポラリス/NOBODY/ストラトヴァリウス/宇宙大怪獣ドゴラetc.

2018年04月30日 11時36分48秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


でんぱ組.inc Newシングル『おやすみポラリスさよならパラレルワールド / ギラメタスでんぱスターズ』リリース記念イベント
2018年4月21日(土)
<1部>13:00【MIKIOSAKABE×愛☆まどんな新セーラー 衣装】
<2部>15:30【PK学園制服 衣装】
<3部>18:00【12/30 大阪城ホール公演着用宇宙セーラー 衣装】

[会場]東京(TOC有明コンベンションホール)
[内容]2ショットチェキ撮影会

でんぱ組.inc約1年3ヶ月ぶりのニューシングルのリリース記念2ショットチェキ撮影会が開催された。CDシングル3形態同時購入で特典券が一枚付与され、衣装を変えて1日3回行われるので、複数特典券をゲットして臨むでんぱヲタも少なくないが「一日一チェキ一期一会」をモットーとする(USO)筆者としては一回のチェキに全力を注ぐ決意で挑むのみ。風が強い土曜の午後にえいたそデザインソフト帽を飛ばされないよう手で押さえながら辿り着いた東京卸売センター有明の最上階のコンベンションホールには多数のヲタクが並んで特典会の順番を待っていた。メンバーが二人増えたので混乱必至と覚悟していたが、特典会イベントに慣れた主催者とヲタクの息が合い、行列は平和に行進していった。毎度のことだが成瀬瑛美さんの元気のいい声が響くホールは、ヲタクの心に渦巻く欲望を浄化して幸せオーラのNIRVANA(涅槃)に導く禊の式典会場となった。

次第に近づくえいたその声。臆することなく帽子の形を整えていざ出陣と進み出た筆者を見て「少し痩せました?」と何故か敬語で尋ねる瑛美さん。最近密かにやっているダイエット効果に気付いてくれたのかと嬉しい驚きを覚えたが、咄嗟のことに「ええまあ・・」と口籠る俺。だが一瞬で気を取り直して新たなブログ用のテーマを求めた。考えながら後ろに貼られたポスターをちらっと見て「成層圏!!!・・・でも難しいかな?」と気遣いを見せる彼女に「大丈夫!!!ありがとう、またね」と名残惜しくも別れを告げた。これにてミッション完了。



【えいたそモダニズム】Episode 18『成層圏からこんにちは』

●でんぱ組.inc『ギラメタスでんぱスターズ』


でんぱ組.incのカセットを、バルーンで高度3万1千メートルの成層圏まで飛ばし撮影。Music Videoには、でんぱ組.incのメンバーがカセットのスイッチを押すところから始まり、日本を飛び立ちモンゴルに到着、バルーンで成層圏まで飛びたった後、着地するところまでの映像となっている。この映像は、スペースエンターテインメントラボラトリー、kikyu.org、千葉工業大学、山梨大学、モンゴル高専の全面協力のもと、"モンゴルでの成層圏バルーンプロジェクト”として実施された。カセットが成層圏まで飛んだのは世界初!?の試みかもしれない。

トキメキがマックスになれば地球の上にはいられない。成層圏までイッテQ。そんな弾ける気持ちをオレに託した瑛美の心の中にはロケット弾のワクテカが装備されているのだろう。バビュロケット発射オーライ。成層圏の向こうまで妄想を拡げてみよう。

【世界初!?】でんぱ組.inc「ギラメタスでんぱスターズ」MV Full



●opening『成層圏 ~the stratosphere~』


2007年結成のピアノ・インストゥルメンタルバンドopening。2009年の1stアルバム『黙』に収録。流麗な旋律を奏でるピアノが核となる彼らのサウンドは、激情と寂寞が共鳴し、聴く者の聴覚だけでなく視覚までも刺激する。

ピアノメインのインストサウンドはジャズピアニストH ZETT M作曲のA面『おやすみポラリスさよならパラレルワールド』に通じる。しかしopeningのスケールの大きいロックは成層圏まで届きそう。残念ながら現在は活動休止の模様。

opening「成層圏」



●DUDE TONE「成層圏までぶっ飛べ」


THE MODSのギタリスト苣木寛之によるソロ・プロジェクト、DUDE TONEの2014年のセカンド・アルバム『十字路のGuitar』収録曲。レスポールを操る独特のギター・サウンドが全編を駆け抜け、激しく、切なく、胸を揺さぶる楽曲群がより強靭な存在感を放つ。

ロッケンローはロケットの如く成層圏までぶっ飛んでいく。めんたいロックの最長老THE MODSのエモロックはロケットよりも軽快に空を飛ぶ。

DUDE TONE「成層圏までぶっ飛べ」試聴



●NOBODY『ヘッド・フォンから成層圏』


80年代から活動するロッケンローバンドNOBODYの15作目のアルバム『FUZZ FUZZ FUZZ』(1994年)収録曲。タイトルどおり,すべてのヴォーカルにファズがかけられている。全曲を通してテンションの高い演奏と相まって,ニューウェイヴな空気が。過去20年をパースペクティヴにとらえたベテランにしか作れないロック・ワールド。

矢沢ファミリーの成り上がりバンドと思っていたが、この曲は確かにニューウェイヴ風。インドアポップ(ヘッド・フォン)からアウトドア派(成層圏)へ、という広がりが開放感を生んでいる。

03_ヘッド・フォンから成層圏/NOBODY



●タンジェリン・ドリーム『ストラトスフィア』


ジャーマン電子音楽の大ベテラン、タンジェリン・ドリーム(Tangerine Dream)の通算8枚目となるアルバム『ストラトスフィア~浪漫(Stratosfear)』(1976)。バウマン/フランケ/フローゼの3人による最も安定したタンジェリン・ドリーム作品。

成層圏は英語でStratosphere(ストラトスフィア)。タンジェリン・ドリームはphereをfear(恐れ)に引っ掛けて宇宙の恐怖を暗示している。宇宙空間へ飛び出すサイエンス・フィクションはプログレ系の十八番である。

Stratosfear 2007 Tangerine Dream



●エアリアル『ストラトスフィア』


シカゴ出身のジェレミー・レンが1997年に結成したシューゲイザー・ユニット、エアリアル(Airiel)の2003年のEPシリーズ『Winks & Kisses』に収録。2015年に4枚のEPをまとめたコンピレーションもリリースされた。

宇宙に一番近い地球圏である成層圏はドリーム・ポップやシューゲイザーにとっても格好のテーマ。空中浮遊する歪ギターとキーボード、地に足がつかないゆるふわヴォーカルは、無重力空間に漂うまどろみのBGM。

Airiel - Stratosphere



●ダスター『ストラトスフィア』


カリフォルニア州サンホセのハードコアバンドMohinderのメンバーが結成したスペース・ロック・バンド、ダスター(Duster)の1998年の1stアルバム。2000年に2ndアルバムを出して解散した短命なバンドだった。

なかなかいいバンドを発見。ジャンル的にはポストロックと呼ばれるだろうが、シンプルなトリオ編成で淡々と奏でられるスペーシーなサウンドは「ロックじゃなければなんでもいい」と語ったワイアーを思わせる強い意志を感じる。成層圏から帰還したカセットテープにダビングして一日中聴いていたい。

Duster - Stratosphere (FULL ALBUM)



●ストラトヴァリウス『ストラトスフィア』



フィンランドのパワー・メタル・バンド、ストラトヴァリウス(Stratovarius)に、イエンス・ヨハンソン、ヨルグ・マイケルが加入し、制作された1996年発表の通算5枚目のアルバム『エピソード(Episode)』に収録。アルバムにはNHK-BSドラマ『初恋』エンディング挿入歌「フォエヴァー」も収録。

ヘヴィメタル界でも成層圏まで飛び出す速弾きギターは人気者。ヴァイオリンの名器の名前をバンド名にしただけありクラシカルな要素を持つ正統派メタル・サウンドがデスメタルやスラッシュメタルに疲れた耳を癒やしてくれる。

Stratovarius - Stratosphere (Live at Boogaloo Club, Zagreb, 26.01.11)



●ビイドロ『まだ大気圏』


2000年より活動を続け12枚の音源をリリースしてきたが、2010年に突然の活動休止を宣言した3ピース・バンド、ビイドロが、活動休止後に録音した未発表音源を集めたアルバム『またあしたね』収録。ちょっとエモくて、ちょっと繊細で、ちょっとユーモラスなあのサウンドが甦る。

「大気圏」は下から「対流圏」「成層圏」「中間圏」「熱圏」に分かれている。その中で「成層圏」だけが有名なことを恨みに思う人もいるかもしれない。そんな正義感の高い大気ヲタクのために「大気圏ソング」をピックアップ。脱力したギターロックで「まだ大気圏あたりでグズグズしてるダメな奴」とディスられるのもマゾヒスティックでいいだろう。この3人組は最近復活した模様。

ビイドロ 「まだ大気圏」 MV



●Polaris『大気圏 (Taikiken)』


2001年にデビューした二人組ロックバンドPolarisが放つ、9年ぶり(2015年時点)のフル・アルバム『Music』に収録。個々のソロ活動を経た二人が、これまで築いてきた音世界を踏まえつつ、実験性を携え、新たな感覚、新たな視点、音楽的深度を追求したワン・アンド・オンリーの地平線。レコーディングにはあらきゆうこ、茂木欣一、Hakase-Sun、clammbonの3人など多彩なミュージシャンが参加。

今回のでんぱ組のニュー・シングルとシンクロしたバンドと遭遇。バンド名は「ポラリス」だし、ふうせん作家とコラボしたMVは『ギラメタスでんぱスターズ』によく似ている。もちろん偶然に他ならないが、Jロックの良質な部分とでんぱ組がシンクロしている事実は疑いようはない。

Polaris / 大気圏 (Taikiken) M.V.



●宇宙大怪獣ドゴラ『成層圏外よりの来訪者』


『宇宙大怪獣ドゴラ』(うちゅうだいかいじゅうドゴラ、英題:Dogora-the Space Monster)は東宝が製作し、1964年(昭和39年)8月11日に封切り公開された日本の怪獣映画。

とは言え成層圏は楽しいことばかりじゃない。時には恐ろしい怪獣が襲撃してくることもあるので警戒を怠ってはいけない。成瀬瑛美隊員、地球の平和をよろしく頼みます。

ゴジラ伝説Ⅱ 成層圏外よりの来訪者





成層圏
でんぱパワーで
エレキテル


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【告知+参考文献】5月1日(火)開催 無銭トークイベント『地下アイドルへの招待:日本のEXTREME MUSIC〜ジャパノイズと地下アイドルを聴く』

2018年04月28日 23時59分57秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


【トークイベント開催決定!!!!!】
地下アイドルへの招待
<エクストリーム・ミュージックとしてのジャパノイズと地下アイドルを聴く>

2018年5月1日(火)
外苑前ギャラリー「Art & Space ここから
20:00開演  参加費無料 / 飲食持込みOK
出演:剛田武×鶴田恵一


●参考文献
より深い理解の為に下記リンク先の記事を読むことをお勧めします。下線のあるタイトルをクリックしてください。

【新生アイドル研究論】
地下アイドルへの招待:Extreme Music From Japan〜ジャパノイズと地下アイドル



【地下アイドルへの招待】
第1回:暗黒系「NECRONOMIDOL」とシューゲイザー「・・・・・・・・・」


第2回:オルタナ「ヤなことそっとミュート」とニューエイジ「Maison book girl」


第3回:ムジカ・エレクトロニカ・ガールズ〜sora tob sakana/amiinA/HAMIDASYSTEM


第4回:デスヴォイスのギャップ萌え〜PassCode/Candye♡Syrup/969


第5回:サブカル女子の死への誘い〜十四代目トイレの花子さん/みんなのこどもちゃん/幽世テロルArchitect



●出演者紹介
剛田武(地下ブロガー、DJ『地下音楽への招待』『盤魔殿』)

ひろみさん✰剛田武@mirokristel
地下文化愛好家/DJ Necronomicon/灰野敬二マニア/でんぱ組えいたそ推し/魔ヲタ/爆団/ハミシス/盤魔殿/ロケンロー純情派。ブログ「A Challenge To Fate」著書『地下音楽への招待』(ロフトブックス)
OTHER ROOM『Improvisation8』(Live at 吉祥寺GATTY March 11, 1983)



鶴田恵一(映像ディレクター『現代ノイズ進化論』)

Keiichi Tsuruta@tsurutak
幡ヶ谷在住。 フリーで映像のしごとしてます。 Director | Horror Movie & Noise Music LOVE | NECRONOMIDOLのヲタク
現代ノイズ進化論20・90年代ハーシュ・パワエレ特集


アイドルと
ノイズメーデー
過ごしましょう

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【推しごと週報 4月10日-21日】でんぱ組/爆裂女子/ネクロ魔/ハミシス/キャンシロ/969etc.

2018年04月27日 08時17分46秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


4月10日(火)渋谷Milkyway


「TOKYO IDOL FILE」
Open18:00 / Start 18:30
Adv.3000yen / Day.3500yen with out drink
Candye♡Syrup/狂い咲けセンターロード/969/SO.ON project TOKYO/東京23区ガールズ/NaNoMoRaL/NECRONOMIDOL/littlemore.

●969


●NECRONOMIDOL


●Candye♡Syrup



4月12日(木)渋谷Crawl


<<TONIGHT VOL.6>>
-4MAN LIVE-

開場/18:30 開演/19:00(予定)
無料 (2D別1200円)
969予約特典:チェキ券1枚
◆出演者:爆音少女症候群Ø/必殺エモモモモ!!/姫事絶対値/969





4月14日(土)新宿南口


爆裂女子路上ライブ
17:00

●爆裂女子








4月15日(日)大塚Hearts Next


大塚Hearts Next × BBTS presents
「The Music Apocalypse」

open 17:00 / start 17:30
adv 3000 / door 3500
出演:Broken By The Scream / 爆裂女子-BURST GIRL- / Candye♡Syrup / Sola Sound / HAMIDASYSTEM

●HAMIDASYSTEM


●爆裂女子



4月17日(火)新宿dues


爆裂女子無料ワンマン開催(MV撮影メイン)
入場無料(別途ドリンク代)
open19:00 start20:30
4月17日(火)に新宿duesにて無料ワンマンライブします!
主に「Great fxxking my world」のMV撮影がメインになります。







4月19日(木)赤坂マイナビBlitz


謎解き制作団体メルエ×・・・・・・・・・
Tokyo in Break リアル謎解きゲーム
地下深く眠る少女からの脱出

OPEN 18:00 / START 19:00
TICKET ¥4,000 ※要・別途drink代






4月20日(金)渋谷Star Lounge


HAMIDASYSTEM presents act call #4
OPEN 18:00 / START 19:00
前売/当日 2500円 (ドリンク代別)
出演者:HAMIDASYSTEM/ゑんら/nuance(ヌュアンス)

●HAMIDASYSTEM



4月21日(土)TOC有明コンベンションホール


でんぱ組.inc/虹のコンキスタドール/ベボガ! 3グループ合同リリース記念イベント
<1部>13:00【MIKIOSAKABE×愛☆まどんな新セーラー 衣装】








推しごとは
推せば推すほど
したくなる

【5月1日(火)トークイベント開催!!!!!】
地下アイドルへの招待:エクストリーム・ミュージックとしてのジャパノイズと地下アイドルを聴く


2018年5月1日(火)
外苑前ギャラリー「Art & Space ここから
20:00開演  参加費無料 / 飲食持込みOK
出演:
剛田武(地下ブロガー、DJ『地下音楽への招待』『盤魔殿』)
鶴田恵一(映像ディレクター『現代ノイズ進化論』)


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【全文掲載】新生アイドル研究論『地下アイドルへの招待:Extreme Music From Japan〜ジャパノイズと地下アイドル』

2018年04月22日 02時55分05秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


地下アイドルへの招待
Extreme Music From Japan〜ジャパノイズと地下アイドル

剛田武 Takeshi Goda
2018年4月1日(日)高円寺パンディット
『オキュパイ・スクール 2018 たま爆発・ザ・公開制作』におけるレクチャーより


■はじめに~アイドル現場の国際化
2012年にでんぱ組.incやBiSと出会いアイドルに興味を持った筆者が、小さなライヴハウスで開催される地下アイドルのライヴ現場に行きはじめたのは2015年12月頃。2016年にはほぼ毎週のようにライヴハウスに通うようになった。そんな地下アイドルの現場に外国人の姿が増えたことに気付いたのは2016年半ば頃だろうか。9月23日恵比寿でのMalcolm Mask McLarenのメンバー生誕ライヴ会場に観光客風の若い白人男性がたったひとりで観に来ていて、特典会にも並んでいたので話しかけてみた。9月19・20日のBABYMETALの東京ドーム公演を観るために来日し、その後一週間滞在し他のアイドルを観に行っているとのこと。彼の手帳には仙台や大阪遠征を含むスケジュールがビッシリ細かく書かれていた。どこで情報を得たのか尋ねたところ、Facebookのアイドルファン・グループ(Idolmetal & Punk Rock Idols)を教えてくれた。メンバーは数百人だがアイドル関係のTwitterの投稿や自撮りが瞬時にシェアされるのに驚いた。以来、筆者の行くラウド系アイドル現場に必ず外国人を見かけるようになった。2017年にNECRONOMIDOL(ネクロ魔)が3月タイ、7月ヨーロッパ、12月USと3回の海外ツアーを行った。そのたびにFBやTwitterのTLが日本のファンだけでなく海外のファンの投稿で盛り上がり、海外ツアーの主催者がFB常連のアイドルヲタクだと知ることもあった。日本でも一部のファンにしか知られていいない地下アイドル、とくにラウド系・オルタナ系に対する海外ファンの情報の速さと熱狂ぶりは驚異的。アニメや原宿ファッション、J-POPの海外ヘの紹介を主眼とする「クールジャパン」とはまったく異なる流れで情報拡散していることは間違いない。

アイドル現場の熱いパフォーマンスとファンの盛り上がりは80年代ハードコアパンクやスラッシュメタルのライヴを髣髴させることは筆者も含め多くの人が指摘している。しかし海外への伝わり方や受け入れられ方は、むしろ「ジャパノイズ」に通じるような気がする。日本のエクストリーム・ミュージックと呼ばれる「ジャパノイズ」と「地下アイドル」の現象面での共通点を検証することが本論の趣旨である。

■エクストリーム・ミュージック(極端音楽)とは?

70年代後半から日本のノイズのオリジネーターとして活動する美川俊治氏(インキャパシタンツ、非常階段)が1994年に著した記事『日本のノイズ』から引用する。

「日本のノイズ」(と称されているものの一部)が、音楽として実に極端な形態にまで暴走しているという筆者の認識に基づいてその理由を考えてみることにしたい。

日本のノイズは、ノイズの、音としてのテイストを 取り入れながら、全体としての姿は、極めて奇形的なもの(ここで言っているのは、いわゆる「ノイズ」が普通の「音楽」に対して奇形的な位置にあるという意味よりは、海外の、例えば英国の「ノイズ」に見られるようなトータルなものとしての「ノイズ」に対して「日本のノイズ」が隔絶した位置を占めてい るということ)となっていったということが言えよう。

「エクストリーム・ミュージック」即ち「極端な音楽」というのがある。何が極端なのかということははっきりしないが、何かの追い求め方が極端とい うことなのだろう。(中略)音楽の三要素である、メロディ、リズム、ハーモニーの全て またはいずれかを極端なまでに排斥したサウンドのことを指しているのか、多分そんなところであろうが、実際、前述したように、一点豪華主義的な「暴走」を見せる「日本のノイズ」の呼称としては、かなり妥当なものであると思われる。


つまり普通の「音楽」対して奇形的な位置にある「ノイズ」に中でもさらに極めて奇形的なもの=「暴走」したもの、として日本のノイズが海外のリスナーから認知されているということである。

美川の言葉を裏付けるように、パワー・エレクトロニクス(ノイズのスタイルの一つ)を代表するイギリスのWhitehouse(ホワイトハウス)の所属レーベルSusan Lawlyから『Extreme Music From Japan』と題されたコンピレーションCDが94年にリリースされている。ゲロゲリゲゲゲ、マゾンナ、インキャパシタンツ、メルツバウ、非常階段など日本のノイズ・アーティストを収録。Susan Lawlyの『Extreme Music』シリーズは他に「Woman」「Africa」「Russia」が出ており、それぞれ「暴走し」「行き過ぎた」音楽が収録されている。その他にも日本のノイズや地下音楽のコンピレーションCD,LPが多数リリースされている。



■ジャパノイズとは?
ジャパノイズ(Japanoise/Japanoize)はノイズ・ミュージックの中で、特に日本のミュージシャンによって作成された楽曲及びミュージシャン、バンド自身を指すものである。主に1980年代以降の作品を指す場合が多い。日本ではなく海外で生まれた言葉であり、英語で「日本」を意味する"Japan"とノイズ・ミュージックの"Noise"を掛け合わせた造語である。
80年代以降、日本で生まれたノイズ・ミュージックの中では、本国日本で支持されることよりも、欧米を中心とした海外で支持されることが多かった。その中で、海外のファンが「日本のノイズ・ミュージック」として「ジャパノイズ」と呼んだことが始まりである。(Wikipediaより)


2013年にカリフォルニア大学音楽学の助教授であるDavid Novakが『JAPANOISE』という書籍を出版した。海外で「ジャパノイズ」として知られる日本の地下音楽の歴史と本質を10年間の取材に基づいて解き明かした画期的な研究書である(年内に日本語訳が出版予定)。「ジャパノイズ」がジャンルとしての「ノイズ」に限定されないことは、同書の表紙に灰野敬二(ノイズという呼称を嫌うことで知られる)の写真が使われていることで明らかであり、サイケデリック/オルタナ/ハードコアなど日本の地下音楽全般が海外で受け入れらる過程で生まれた言葉といえる。


Japanoise: Music at the Edge of Circulation (Sign, Storage, Transmission)
David Novak著 / Duke Univ Pr (2013)

ジャパノイズ誕生の歴史を紐解いてみよう。70年代末〜80年代初頭にかけて世界的にメールアート(郵便)とカセットテープを使った地下音楽家の交流が盛んになり、世界各地の音源を交換しあって、コンピレーションカセットがリリースされた。日本ではメルツバウの「ZSF」、KK NULLの「Nux Organization」、K2の「Kinky Musik Institute」などのカセット・レーベルを通して、日本の地下音楽が海外に紹介された。その中には日本地下音楽最大の謎のひとつD.D.Recordsも含まれる。無名の音楽家ばかり200本を超える作品が、アメリカの『Eurock』誌で紹介され日本よりも海外で熱烈な支持者を生むという現象も起きた。

86年にドイツのDossierからリリースされたLP『Dead Tech Sampler - No Wave From Japan』を皮切りにレコードやCDでもリリースされ、より幅広いリスナーに日本のノイズや地下音楽が聴かれることになった。また、90年代に東京のPSF、大阪のアルケミー・レコードが精力的にリリースした日本の地下音楽のCDが海外でディストリビュートされた。同じころ、大阪在住のDavid Hopkinsが自主レーベルPublic Bathを設立し、アルケミー系のアーティストの作品を海外向けにリリースしたことも意義があった。


Dokkiri! Japanese Indies Music 1976-1989 A History and Guide
加藤デビッドホプキンズ 著 / PUBLIC BATH PRESS (2016)

海外ミュージシャンによる情報発信も大きな影響力があった。1981年にフレッドフリスが来日し灰野敬二や突然段ボールなどと共演し、特に気に入った灰野敬二のレコードを、帰国後ニューヨークの前衛アーティストたちに配った。他にもジョン・ダンカンやジョン・ゾーン等が一時期日本に滞在し、多くの音楽家と交流を深め、帰国してからも繋がりを保った。最近ではジム・オルークが日本に移住して音楽活動をしている。ソニック・ユースやニルヴァーナなどツアーで来日したオルタナティヴ・ロックの人気アーティストが日本の音楽を海外で紹介したことも大きなインパクトがあった。

以上のように、ネットワークがマスメディアではなく、郵便やカセットや口コミ、限定的な地下メディア(ミニコミや地下新聞など)で伝達され、ごく一部のマニア的な世界で語り継がれた、という点が特異であり、「ジャパノイズ」という概念の源である。

ジャパノイズの特異性は他にもある。日本伝統のコピー文化の構造変化、そして抽象芸術のライヴ表現による具体化・肉体化である。その証言として世界最古のノイズバンドの歴史書『非常階段 A Story of The King Of Noise』より抜粋する。


非常階段 A STORY OF THE KING OF NOISE
JOJO広重, 美川俊治, JUNKO, コサカイフミオ, 野間易通 共著 / K&Bパブリッシャーズ (2010)

80年代の後半は日本の地下音楽が海外の地下ネットワークと直接繋がり、直接なんらかの影響を与えるということが起こりはじめた時期だった。海外のものを輸入し、それを真似たりすることを通じて自分たちの音楽を模索するという70年代以来の「洋楽/邦楽」的な構造が崩れはじめていたのだった。

中でもノイズに関しては、圧倒的に日本は発信し、影響を与える側だった。エクスペリメンタル・アートとしてではなく、文字通りのライヴ・ミュージックとして「雑音」を追求するアーティストがこれだけ存在するのは、日本に特異な現象だったからである。(野間易通)


言葉としての「ジャパノイズ」は21世紀の現在使われることは少ないが、灰野敬二、非常階段、インキャパシタンツ、大友良英といった80年代から活動を続ける非メインストリームのアーティストが今なお海外で安定した支持を得て、海外公演のオファーが絶えない事実は「ジャパノイズ」=日本の特異な「エクストリーム・ミュージック」が世界の地下シーンに浸透している証拠に他ならない。

一方、我々がテーマとしている日本のアイドルは海外にどのように伝わりどのように受け入れられているのだろうか。それを調べる為にアンケート調査を実施した。

■JAPANESE IDOL SURVEY IN OVERSEAS 海外のアイドルファンの意識調査


実施期間:2018年3月1日~16日
対象:外国人のアイドル・ファン(居住地は不問)
調査方法:Twitter, Facebook, ライヴ会場(東京)でのアンケート 
回答数:43

<設問(記述式)>
1 あなたがアイドルを知ったきっかけは? When & How did you get to know Japanese-Idol? 
2 あなたの最初のアイドル体験は? What was your first Japanese-Idol experience?
3 あなたにとってアイドルの魅了とは? What attracts you to Japanese-Idol? 
4 アイドルの情報をどこで入手しますか? How do you get information about Japanese-idol? 
5 アイドル以外で好きな音楽は? What’s your favorite music / artists other than Japanese-idol? 
6 日本文化に興味がありますか?あるなら何? Are you interested in Japanese culture? If yes, what?
7 あなたのアイドルTOP5 Your top 5 Japanese-idols
 
●回答者属性

 
Q1. アイドルを知ったきっかけ 

いつ?
・AKB48のメジャー・デビュー(2006)以前はハロプロ(モーニング娘。、ミニモニ)とアニメソング
・60%がBABYMETALの世界進出(2012)後


どのように?
・YouTubeで知った人が多い。レコメンデーション(おすすめ動画)で知ったケースもある。

Q2. 最初のアイドル体験

いつ?
・約85%が2010年の「アイドル戦国時代」以降
・約80%がBABYMETALの世界制覇(2014)後


どこで?
・アメリカ、フランス、イギリス、カナダ、アジアなどアイドルが盛んにツアーしている国が多い
・3分の1(34%)が日本に来て初めてアイドルを観た。


だれ?
・BABYMETALが妥当に1位
・2位は"世界一激しいアイドル"と自称する偶想Drop
・偶想Dropを含めPassCode、NECRONOMIDOL、BiSH、校庭カメラガール、There There Theresなどオルタナ系を合わせると約3分の1に上る。
・Other:BiSH, Buono!, Chii Sakurabi, Cute, Juice=Juice, きゃりーぱみゅぱみゅ, Party Rockets, Silent Siren, モーニング娘。, アイドリング, 校庭カメラガールドライ, There There Theres

【補足】
予想通り、Twitter、Facebook、YouTubeといったネットの影響力は甚大。もう一方で実際にライヴを体験してからめり込む現象がある。BABYMETAL(BB)の影響力は圧倒的だが、回答者の中にはBBはアイドルではないという認識を持つ人もいる。BBをきっかけに地下アイドルを体験し、音楽だけでなく会場の一体感やメンバーとの交流を含めて「アイドル」と看做す人が多い。初めてのアイドル体験として偶想Drop、PassCode、ネクロ魔といったラウド系が挙がっているのは、それだけ強烈な体験だった証であろう。

Q3. アイドルの魅力

(*最大のものを100としたときの百分率。以下同)

なによりも「音楽」が重要。さまざまな要素を融合した、ほかのどこにもない実験的ミクスチャー。
それとともにファンやメンバーとの一体感、ライヴ現場のエネルギー。メンバーの成長を描くストーリー性。

【アンケートより抜粋】
○異なるスタイルの音楽をミックスして、その上にスウィートなヴォーカル(さらに唸り声や絶叫)を振り掛けるやり方。単純に聴いていてハッピーになる(イギリス、50代)
○音楽の実験性、ライヴのエネルギー。現在の地下アイドル・シーンは、ミュージシャンがお金にならなくても音楽とライヴに全力を注いでいた昔のパンク・シーンを思い出させる。(アメリカ、40代)
○音楽性、特にジャンルを融合するタイプ。ファンのパワー。アイドル・ファンのほうが西洋のメタル・ファンより激しいというのはかなり面白い。(アメリカ、20代)
○どんどん別の音楽のジャンルを探求し、いろんなイメージを取り入れる。権威に反抗する無法者のことを歌い、デスコアをミックスするようなアイドルは新鮮だし、私のように反抗的なメタルで育った者にはなじみ深い。(フィリピン、20代)
○プロデューサーがキュートなアイドルと(大なり小なり)純メタルの獰猛なメロディをミックスするやり方は驚異的。ほかのどこにもない音楽のミクスチャーだ。(フランス、40代)
○あらゆる種類の音楽を実験するグループが多いこと。ジャンルをミックスして新しいものに挑戦する。ファンの献身ぶりも素晴らしい。バラエティ豊かなので飽きない。メンバーは信じられないほどハードに取り組んでいて、私もミュージシャンなのでとても刺激を受ける。(ドイツ、30代)
○アイドルは誰でも平等に扱ってくれる。音楽やグループ、観客、歌のイメージの多彩さ。ほかのアイドルファンとの一体感。(イギリス、30代)
○アイドルはアット・ホームな気持ちを感じさせる。 「豊かで、風変わりな性格と素晴らしいショーマンスキルを持つ隣の家の女の子たち」のイメージ。YouTubeのトークやゲームを観ると、ひどい一日を過ごしたとしても、良い笑いを誘い、大きなストレス解消になります。(インド、20代)
○キュートな女の子がいい音楽でキュートなことをやること。ファンと強いきずなで結ばれていること。(カナダ、20代)
○情熱!アイドルはエネルギー、パワー、そしてそれ以上のもの。そしてとても献身的。(メキシコ、20代)
○曲のエネルギーとコンセプト。女性として、夢を追いかける姿に共感する。ファッションも好き。オルタナ・アイドルはアメリカのオルタナロックに近くてカッコいい。(アメリカ、20代女性)
○アイドルというコンセプトを使って新しい芸術を作り出すところ。(アメリカ、30代)


Q4. 情報源


SNSが圧倒的に強い。注目すべきは「Homicidol」「Idol Is Shit」「Straight From Japan」といった海外のファンによるブログの影響力。ファンの実体験に基づく生の情報が重視されている。特にライヴハウスの場所、チケットの買い方、特典会の参加方法など実用的な情報が重宝され、それに基づいて体験したファンがさらに情報を更新しているという。YouTubeは情報源というより音楽を楽しむメディアと考えられている。

Q5. 好きなジャンル


メタル、ロック(オルタナ)、パンクといった激しい音楽(ラウド・ミュージック)を好む人が多い。一方でどんなジャンルでも聴くという幅の広さもある。また、ジャンルではなく具体的なアーティスト名を詳細に記入した回答も多く、みんな音楽が大好きなことがよくわかる。

Q6. 日本文化への興味
集計は出来ないが、ほぼ全員が日本文化に興味があると答えた。音楽、映画、アニメといったエンターテインメントは勿論、伝統文化や歴史・建築への興味もある。日本観光旅行の経験者も目立つ。

Q7. 好きなアイドル (参考程度。推しのアイドルが上位なのは嬉しい)



【分析】地下アイドルとジャパノイズの類似性
●音楽の奇形性と革新性
アイドルというスタイルに様々な音楽要素を融合する方法が、「世界の何処にもない」「日本だけの」「実験的な」音楽ととらえられている。つまり「ジャパノイズ」と同じ奇形であり、「コピー文化」が主流の日本で、模倣から独自の物を創り出すパワーが「暴走」した音楽と看做されている。
ジャパノイズのルーツは西欧で生まれた電子音楽やインダストリアル・ミュージックとされるが、それを極端に推し進めた革新性が評価された。日本のアイドル文化と同質のルーツは西欧にはないと思われるかもしれないが、背景にポップ・ミュージック/ダンスカルチャー/アニメや漫画/ファッション/コミュニケーションといった多次元の要素の集積としての「カルチャー(文化)」がある。何でもありの現代ではあるが「地下アイドル」は総合的に革新的なカルチャーとしてとらえられている。その意味では表現行為のテーマパークと呼ぶのが相応しいかもしれない。

●ライヴ・ミュージック
「ジャパノイズ」がライヴ・ミュージックとして進化したように、テレビや雑誌で鑑賞するしかなかったアイドルを、ロックやパンク、テクノなどと同じように、普段ライヴハウスやクラブで接するカッコいいライヴ・パフォーマーとして提示したのが「地下アイドル」である。視覚的なおもしろさは勿論、アイドルとファンが一体になって作り上げる創造的なライヴ空間が魅力である。

●情報の伝達経路
海外への情報伝達が、メジャーな企業やマスコミを通してではなく、すべてネット、ブログ、口コミ、といった草の根的メディアである点が、郵便やカセットテープ、口コミで伝播した「ジャパノイズ」と共通している。

●シーンの創出
海外の「ジャパノイズ」ファンは自分も演奏家(ノイジシャン)であるケースが多い。音楽知識やテクニックがなくても誰でも出来ると考えられるノイズ・ミュージックの特徴といえる。ノイジシャン同士の交流も盛んで、共同してコラボレーションやライヴ企画を行い、シーンを創出してきた。一方、女性アイドルファンのほとんどは男性なので、自分自身が「アイドル」になることは難しい。しかしメンバーとファンの双方向の交流が特徴のアイドル文化に於いては、ライヴ現場に参戦してコールやオタ芸をしたり(もちろんしなくても)、SNSでメンバーやファンと絡んだりすることで一体感を得て、シーンの創出に参加することができる。つまりヲタクであることの特権を享受できるのである。

さらにNECRONOMIDOLのプロデューサーのリッキー・ウィルソン(アメリカ人)のように、自ら運営となり、メンバーを集めてアイドル・グループを作りだすケースもある。実際にアメリカのイベント・オーガナイザーがアイドル運営を学ぶために来日し、リッキーのもとで研修中である。アンケートの回答者の中にも、自国でアイドルフェスの企画や日本文化イベントの運営をしている人がいた。また、南米チリのアイドル・グループ「Battle no Jidai(バトルの時代)」のメンバーもいた。このように「ノイズ」と同じように、海外で「アイドル・シーン」が生まれる現象が起こっている。

以上の考察により、「地下アイドル」が海外において「ジャパノイズ」に類似した現象として受容されていることが確認された。次の章では実例を示して例証していくことにしよう。

■ 次代のジャパノイズ? - 地下アイドルの海外進出
NEXT JAPANOISE? - Underground Idols Go Overseas


●BiSHカヴァー動画
「好きなアイドル」で最も高い支持を得たのはBiSH。海外公演を行っていないにもかかわらず、BiSHが高い人気を得ている証拠として、動画サイトに外国人グループの「踊ってみた」動画やカヴァー動画が多数投稿されている。タイのWiSHやフランスのオリヨンなどBiSHメインのカバーグループも存在する。

CANDY☆STAR(台湾)『プロミスザスター』


WiSH(タイ)『プロミスザスター〜NERVE(BiS)〜MONSTERS〜星が瞬く夜に』


Momiji Velvet/紅葉ベルベット(インドネシア)『星が瞬く夜に』


QNTL(インドネシア)『OTNK』


ORIYON/オリヨン(フランス)『PAiNT iT BLACK』


Battle no Jidai/バトルの時代(チリ)『オーケストラ』


Yorokobi STEP/喜びステップ(ペルー)『プロミスザスター / オーケストラ』


Atsumari Dolls/集まりドールズ(メキシコ)『星が瞬く夜に』


●海外デビュー
今年になってアイドルの海外デビューが相次いで発表された。デビューに伴い海外公演が実現する例もあり、地下アイドルへの需要が高まっていることが分かる。

○Maison book girl
イギリスの新レーベルRead The Air Recordingsからデビュー決定。その前に5月17日〜5月19日にイギリス・ブライトンで行われる音楽フェス『THE GREAT ESCAPE 2018』に出演することが発表された。




   
○ハッピーくるくる
米レーベル「Attack The Music」から1stEPをデジタル・リリースした。



■海外進出の急先鋒、暗黒系アイドル「ネクロノマイドル」
NECRONOMIDOL - Forefront Underground Idol in Overseas




前述したようにアメリカ人がプロデューサーとして運営を行う"暗黒系アイドルユニット"NECRONOMIDOL(ネクロノマイドル/通称:ネクロ魔)は活動の初期から積極的に海外公演を敢行すると共に、FacebookやTwitterで海外のファン向けの情報を発信して来た。海外のレーベルからLPやカセットをリリースする一方で、Bandcampを通して海外のファンに直接CDやグッズを販売し易くするなど、「日本のアイドル」ではなく「国際的なロックバンド」の手法を取り入れた先見の明で、海外からの注目度が高まっている。まさに地下アイドルの国際化の先陣を切るグループである。

これまでの海外ツアー
2015年9月 『台北暗黒侵略』台湾 Taiwan
2016 年3月 『Necronmidol 2016 New Caledonia Tour』ニュー・カレドニア New Caledonia
2016 年8月 『Necronmidol 2016 Thailand Tour』タイ Thailand
2017 年3月 『Re-Animation Thailand』タイ Thailand
2017 年7月 『Harbingers of the Void European Tour 2017』イタリア、フランス、イギリス Italy, France, UK, Germany
2017 年12月 『Darkness Over The Pacific US Tour 2017』アメリカ USA

海外リリース
Album『Nemesis』LP(France)/ Cassette(Portugal)
Album『Deathless』LP(France)
EP『From Chaos Born』Cassette(USA)

ノイズ/実験音楽専門通販サイト「COLD SPRING」でも販売されている


2018年海外ツアー続々決定
6月UKツアー『BLACK WINDS OVER ALBION』


Black Winds Over Albion
英国ツアー2018年
NECRONOMIDOL
絶叫する60度
2&

6月4日マンチェスター@nightanddaycafe
6月5日バーミンガム@hareandhounds Presented by @KushikatsuUK
6月6日ロンドン@TheUnderworld(ネクロ魔バンド編成として出演)

8月アメリカ公演『EAST MEETS WEST MUSIC FEST』


【East Meets West Music Fest】
The Chain Reaction アメリカ カリフォルニア州 アナハイム市
8月18日(土)
出演:NECRONOMIDOL (ネクロ魔バンド編成)、Abigail Williams、ヤなことそっとミュート、十四代目トイレの花子さん、Wolf King、NAME、Phoenix Ash
8月19日(日)
出演:NECRONOMIDOL (ネクロ魔バンド編成)、ヤなことそっとミュート、十四代目トイレの花子さん、Paprika Mari 、PhEri


■最後に
以上の考察により「地下アイドル」こそ日本が世界に誇るべき「エクストリーム・ミュージック」に他ならないことが読者にも理解されたことと思う。しかし筆者が本稿を著したのは決して「地下アイドルは海外市場を狙うべし」と言うようなビジネス提案書・企画書の目的ではない。「地下アイドル」という世界でも希有の表現芸術の特異性を詳らかにし、沼の深淵へと読者を導く以外の意図はない。

海外で「ジャパノイズ」が評価されたとはいっても、大きく報道されたりチャートに入ったりすることはなく、ごく一部の熱心なファンの間で語られるのみであった。しかし30年経っても確実にファンは世界各地に存在し、地下文化として消えることがないファンベースを確立している。「地下アイドル」も、人数的には限られてはいるが、ファンの熱意は異常に高い。アイドルを観るために本国の仕事を辞めて日本へ移住した人もいるほどだ。もちろん中には大きなブレイクを果たし世界的な成功を収める地下アイドルもいるだろう(筆者の言う「地下」とは、マイナー/アングラという次元とはまったく異なることをご理解いただきたい”行き過ぎることを恐れない” 剛田武インタビュー)。5年後、10年後のアイドル・シーンがどうなっているかは誰にもわからないが、日本は勿論、海外のアイドルファンの情熱とエネルギーが消え去ることはないことを確信している。

また、本稿では音楽/ヴィジュアル面でのノイズとアイドルの関係性には一切触れていない。パフォーマンスとしての類似性に関する議論はまた別の機会に譲りたい。

■筆者について
剛田武 Takeshi Goda
1962年12月25日千葉県船橋市生まれ。10代から音楽を聴き始め、特にパンク、プログレ、フリージャズ、前衛音楽を好み、近年はアイドルにハマっている。80~90年代にバンド経験多数あり。Twitter @mirokristel
おもな活動:ブログ『A Challenge To Fate』/著書『地下音楽への招待』(ロフトブックス)/ネットマガジン『JazzTokyo~Jazz and Far Beyond』/DJ NecronomiconとしてDJ活動『盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會』 
その他の執筆活動
『捧げる〜灰野敬二の世界』(河出書房 2012)
『ミュージック・マガジン2013年7月号』「きゃりーぱみゅぱみゅは曼荼羅である」
『ミュージック・マガジン2016年5月号』「でんぱ組.incライヴの魅力」
ムック『ラジカセ For フューチャー』(誠文堂 2016)「めくるめく地下音楽 幻のカセットレーベルをめぐって」


地下音楽への招待
剛田武 著, 加藤彰 編集 / ロフトブックス (2016)


地下音楽
地下アイドルが
受け継ぐ血

【トークイベント開催決定!!!!!】
地下アイドルへの招待:エクストリーム・ミュージックとしてのジャパノイズと地下アイドルを聴く


2018年5月1日(火)
外苑前ギャラリー「Art & Space ここから
20:00開演  参加費無料 / 飲食持込みOK
出演:
剛田武(地下ブロガー、DJ『地下音楽への招待』『盤魔殿』)
鶴田恵一(映像ディレクター『現代ノイズ進化論』)
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【地下アイドルへの招待】第5回:サブカル女子の死への誘い〜十四代目トイレの花子さん/みんなのこどもちゃん/幽世テロルArchitect

2018年04月14日 01時13分49秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


地下アイドルへの招待  
第5回:サブカル女子の死ヘの誘い


DJ Necronomicon ネクロノミコン(aka 剛田武)


そもそもリスカとかメンヘラなんて言葉がなかった昔は死を語ることはある種タブーであり、死後の世界は霊界や転生への憧れにつながるだけだった。しかし精神疾患や自殺願望が洒落たファッションと同レベルで口にされる現在、『死』は『愛』や『青春』と並ぶ世界共通の人気テーマである。世界に元気と笑顔を届ける存在とされる女子アイドルも思春期真っ盛りの悩める乙女だから、リスカを繰り返すメンヘラ女子も少なくない。一方オカルト/ホラー/呪い/エログロといった地下文化に魅了されたり、いじめ/陰口/村八分/パワハラに行き場を失ったりしてアイドル沼に辿り着くヲタクも少なくない。そんな需要と供給の関係を反映して『死』をテーマにしたアイドルやアイドルソングが存在する。偶像サブカル女子の『死』への誘いは処女の芳香か朽ちた乳房の腐臭であろうか。

●十四代目トイレの花子さん


2013年デビュー。「4時44分44秒に4階の女子トイレの4番目の個室で自ら首を切り命を絶った少女の妖怪。首が切れているので喋れないが、肝試死(ライブ)ではシャウトで歌う。また曲がかかってる間だけ喋ることができる」という設定だけで突っ込みどころ満載のソロアイドル。眼帯血糊ランドセルのルックスはWHITEHOUSEのジャケそっくり。所属レーベル殺害塩化ビニールらしいスカムメタルやデスハードコア炸裂のサウンドは痛快だが、フロアに小麦粉、牛乳、ソース、野菜や肉を撒き散らし、ヲタクを一人血祭りに上げるパフォーマンスは非常階段やスターリンよりも凄いかも。特典会ではヘッドロックをかまし「落とせ落とせ」コールが起きる暴虐無人ぶりに恐れをなして筆者はまだ接触無。聞くところによると性格はとても良いらしい。

ROSE OF KILLER/十四代目トイレの花子さん



●みんなのこどもちゃん


2016年2月結成、ほのかとしなもんの二人組アイドルユニット。キャッチフレーズは「人と関わりをうまく持てない『壁』を持つふたり、生きにくい今を生きる子供たちの心の叫び……最強バンドと伴に歌舞伎町から世界へ」。本当に背中に扇状の壁をつけてヘドバンするライヴには酸素ボンベが欠かせない。ドスの効いたメタルサウンドとハイピッチなアニメ声の落差は生と死の境目に口をあけた涅槃の坩堝である。「死ねばいい」「起きたら死んでたい」「朝を殺したい」など歌のテーマは『死』。まるでJOJO広重のソロ三部作『君が死ねって言えば死ぬから』『みんな死んでしまえばいいのに』『このまま死んでしまいたい』。死ね死ねと言われるたびに生きる希望が湧いてくるパラドックスこそ地下アイドル地獄から脱出する鍵かもしれない。

みんなのこどもちゃん 『ふたりはなかよし』 (Official Music Video)



●幽世テロルArchitect


2017年7月ライヴデビュー、"禁忌がタブーの電磁的恐怖こうげき"をテーマとするの3人組「かくりよてろるあーきてくと」。メンバーはのなめら、个喆、ヤマコマロ。「幽世」とは現世の反対語でで、永久に変わらない神域。 死後の世界でもあり、黄泉もそこにあるとされる。「ぜんぶ君のせいだ。」「ゆくえしれずつれづれ」といった病み系アイドルが所属する事務所コドモメンタルの切り札か?。意味の繋がりが読めない歌詞とこの世とあの世を腐敗させるジャンルのミクスチャーが沸騰するメンヘラ殺しの存在感。筆者はまだ観たことが無いのでこれ以上の妄言は差し控えるが、タブーがないと語るパフォーマンスは経験しないと分かるまい。現在1stアルバム『Cultural Mixing』リリイベツアー中。怖いもの見たさ欲が刺激される。

幽世テロルArchitect "Hide and Seek" Official MusicVIdeo


死にまくれ
死に絶えまくれ
死ぬなかれ

14Generations Toilet hanakosan Interview in Tokyo (Otsuka 04/01/2018)


Noise JOJO HIROSHIGE (1993 audio)
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【QUEENに捧ぐ】ピストルズ/クイーン/ランナウェイズ/アバ/SCANDAL/スミス/ティナ/林檎/明菜/瑳里 #ネクロ魔

2018年04月12日 08時27分34秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


「TOKYO IDOL FILE」
2018.4.10.(tue) 渋谷Milkyway
Open18:00 / Start 18:30
Adv.3000yen / Day.3500yen with out drink
Candye♡Syrup/狂い咲けセンターロード/969/SO.ON project TOKYO/東京23区ガールズ/NaNoMoRaL/NECRONOMIDOL/littlemore.



ここ2ヶ月間アイドル雑誌『IDOL FILE』主催の「TOYKO IDOL QUEEN」というコンテストが一部のヲタクの間で話題になっていた。筆者の推しメンネクロ魔瑳里ちゃんも参加し3位を受賞。いずれ真のQUEENの称号を実力で勝ち取ることを誓う君にQUEENソングを捧げたい(年代順)。

●Queen『Killer Queen』(1974 UK)


パンクとは真逆の完成されたロックサウンドを誇る彼らの74年の全英2位のヒットシングル。男殺しの高級娼婦の歌と解釈できる。バンドはデビュー当時相当揶揄されたという(QUEENはオカマの隠語)。

Queen - Killer Queen (Top Of The Pops, 1974)



●Tina Turner『Acid Queen』(1975 USA)


60年代アイク&ティナ・ターナーとして成功したソウル・シンガーの2ndソロアルバム。ザ・フーの映画『トミー』でアシッド・クイーンを演じて話題になる一方で、2年間アルコール依存症とコカイン中毒、離婚騒動で活動が停滞する。

Tommy featuring Tina Turner The Acid Queen.



●Sex Pistols『God Save The Queen』(1976 UK)


筆者にとって最高のQUEENソングはパンクロックの最高峰のこの曲。最初は「NO FUTURE」というタイトルだったというが、イギリス国歌と同じタイトルにしたことで永遠に歴史に残る名曲になった。クイーンに未来は無い!と言い放つ青さにパンクの真髄を聴け。

Sex Pistols - God Save The Queen



●ABBA『Dancing Queen』(1976 Sweden)


スウェーデンの男女4人グループが大ヒットさせた名曲。世界13国でNo.1に輝いた。踊る女王の歌として、ディスコの定番でもある。

Abba - Dancing Queen



●The Runaways『Queen Of Noise』(1977 USA)


ガールズロックバンドの草分けランナウェイズの2ndアルバム。パンクの女王」と呼ばれ下着コスチュームが大人気となり<パンクとは裸になること>という誤った認識が広まったことには、スターリンの遠藤ミチロウにも罪がある。

The Runaways - Queens Of Noise



●中森明菜『ジプシー・クイーン』(1986 日本)


松田聖子と並ぶ80年代アイドルの実力派、明菜の15thシングル。オリコン週間チャート1位。エキゾチック路線の曲だが、都市にいる寄る辺のない女性の心理に秘められた隔絶した世界を描いている。

ジプシー・クイーン 中森明菜



●The Smiths『Queen Is Dead』(1986 UK)


80年代イギリスのギターロックを代表するバンド、ザ・スミスの3rdアルバム。ジム・ジャームッシュによる実験的フィルムも制作された。文学性とリリシズムにあふれる作風で評価と人気が高い。

The Smiths - The Queen Is Dead - A Film By Derek Jarman (Official Music Video)



●椎名林檎『歌舞伎町の女王』(1998 日本)


シンガーソングライター椎名林檎の2ndシングル。TV:TBS系「POP FILE」テーマ・ソングだが、椎名の歌手としての特異性を世界に強烈に印象づけた作品である。近年かなり体制寄りになったような?

椎名林檎 - 歌舞伎町の女王



SCANDAL『Queens are trumps -切り札はクイーン-』(2012 日本)


日本に女子バンドブームをもたらした4人組スキャンダルの2012年の4thアルバム。同年3月ガールズバンド史上最速の結成から5年7か月で、日本武道館でのワンマンライブ公演を成功させた自信がQUEENを名乗らせたのだろう。

SCANDAL -「 Queens are trumps 」



●E-Girls『Love ☆ Queen』(2017 日本)


EXILEの妹グループE-girlsの19thシングル。オリコン週間チャート2位。地下アイドルとは真逆というより別次元の女子グループなので筆者とはまったく接点がないが、女子の人気度は圧倒的。

E-girls / Love ☆ Queen (Music Video) ~歌詞有り~


QUEENと
KINGの子供
PRINCESS

●NECRONOMIDOL『DAWN SLAYER』


6月UK,ヨーロッパツアーに続き8月アメリカ公演「EAST MEETS WEST MUSIC FEST」出演が決定したネクロ魔は日本より先に海外でQUEENの称号を授かるかもしれない。

NECRONOMIDOL - DAWNSLAYER Music Video




▼EAST MEETS WEST MUSIC FEST主催者によるチェキの説明(英文訳)。たいへんわかりやすい。
チェキは、日本のアイドルを象徴するものです。好きなメンバーの列に並んで、一緒にポラロイド写真を撮ったり、同じポーズを取ったりして、チェキにサインしてもらえます。その後、好きなメンバーと話をして、望んでいた関係を築くことで、アイドル体験は世界で最高のものになります。それから、もう一度、そしてまた、そしてまた繰り返し。これが私がアイドルファンになった主な理由の1つです。崇拝するアイドルに初めて会って、尊敬と信頼に基づいて構築された素敵な関係を発展させることほどエキサイティングなことは世の中に他にありません。あなたはファンであり、彼女たちは普通は話したり見つめたりできない女神です。しかし、彼女たちは例外なく外見も内面も完全に謙虚で美しく接してくれます。

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