<harmonia mundi FRANCE>
HMA 1951084 \1050
モンテヴェルディ:マドリガーレ集
この暴虐なる愛の神は,静かにして、アルメリン,こうして私は少しずつ,
私はあなたを愛しています、愛しい人,おお、私の愛しい人,優雅な天使,
晴れやかで澄んだ眼差しよ,愛の別れ,おお、ミルティッロ、私の愛しい人,
裸足のニンファ,私の魂は,さらば,美しいフローリダよ,
ああ、優しく美しい太陽に向かうように
ルネ・ヤーコプス(指,CT)コンチェルト・ヴォカーレ
〔バルバラ・シュリック(S),マリウス・ヴァン・アルテナ(T),ギ・ドゥ・
メ(T),ミシェル・テン・オート・ド・ランジュ(T),ハリー・ヴァン・デア・
カンプ(Bs),コンラート・ユングヘーネル(Teorbo)〕
録音:1981年8月
かつてのカウンター・テナーの大御所にして、今やバロック指揮者の巨匠、ル
ネ・ヤーコプスが自身のリードで始めてモンテヴェルディのマドリガーレを録
音したアルバムです。ヤーコプスのみならず、バルバラ・シュリック、ギ・
ドゥ・メ、ハリー・ヴァン・デア・カンプ、コンラート・ユングヘーネルら
錚々たるメンバーによる演奏は、四半世紀前の録音とは全く思えない褪せない
鮮やかさを保っています。いまでこそソリストが各々役を持って演じているよ
うなマドリガーレの唱法は一般的ですが、マドリガーレがいまだ合唱の祖先と
して捉えられていた時代に、これだけ個が主張しながら確固とした統率のある
演奏を成し遂げたことは驚くべきことです。日本にはだいぶ遅れて1994年に紹
介されましたが、それでも「レコード芸術」誌の特選盤に選ばれたという、筋
金入りの名盤です。
HMA 1951320 \1050
ジェズアルド、ゴルリ:宗教音楽集
ジェズアルド:
聖土曜日のためのレスポンソリウム,モテット「いと優しきマリアを賛えよ」,
モテット「日々罪を犯す私を」,モテット「あなたの慈しみを」,
モテット「苦しみと嘆きを」
ゴルリ:レクイエム
フィリップ・ヘレヴェッヘ(指)シャペル・ロワイヤル
録音:1989年10月
カルロ・ジェズアルド(1561頃-1613)は、しばしば“ドン”が付けられるように
ナポリ王国の名門の出身。1593年にエステ家のアルフォンソ公の従妹エレオノ
ーレと結婚、フェラーラに移り、ここでの多くの優れた文化人と出会うことで
彼の才能が花開きました。職業作曲家でなかったジェズアルドは、依頼主の好
みに左右されることがなかったため、独自な音楽を確立しました。当時として
はかなり斬新な不協和音や半音階の用法は、しばしば“マニエリスティック”
とすら評されます。強い表現へのこだわりが、ジェズアルドの作品に独特の苦
悩と悲しみの緊張を生み出していることは間違いありません。この「聖土曜日
のためのレスポンソリウム」は晩年の作品で、過激さが後退し、大胆な手法も
ひたすら静かな悲しみを掘り下げるために使われています。胸が苦しくなるほ
どの美しく悲しい、稀代の天才ジェズアルドの一大成果がここに示されていま
す。ヘレヴェッヘとシャペル・ロワイヤルの演奏はこの作品の名演としてつと
に有名なもの。緊張感と柔らかさという両立しがたい要素を完璧に融合してい
ます。
HMA 1951077 \1050
デュモン:グラン・モテ集
思い出してください、ああとても慈悲深い聖母様,魂の対話,マニフィカト,
バビロン川のほとりで
フィリップ・ヘレヴェッヘ(指)シャペル・ロワイヤル
ギュメット・ロランス(A),アンリ・ルドロワ(CT),ハワード・クルック(T),
ウルリヒ・シュトゥーダー(Br),ペーター・コーイ(Bs)
録音:1981年7月
アンリ・デュモン(1610-1684)は、本名をアンリ・ド・ティエルといい、リエ
ージュ近郊に生まれた作曲家です。1652年にルイ14世の弟フィリップ(アン
ジュー公)のクラヴサン奏者に就任、これを足がかりにルイ王朝の中で着実な
地位を築き上げ、リュリより前の世代の最も重要な作曲家となりました。しか
し録音はいまだ少ないのは残念です。このCDはヘレヴェッヘが国際的に注目さ
れて間もない頃の意欲的なもの。デュモンのモテは儀式ばった仰々しいもので
はなく、自然な優しい感情で真摯に信仰を歌うような音楽です。ヘレヴェッヘ
の明るい柔らかさが生きている演奏が見事。さらに夭折の名カウンター・テナ
ー、アンリ・ルドロワの数少ない歌声の記録としても貴重です。
HMA 1951072 \1050
“16世紀パリのシャンソン集”
ジャヌカン:
パリの物売り声,ある夫が新妻と,美しい乳房,さあ、ここにおいでよ,戦争,
ヴェルノンの粉ひき娘は,愛と死と人生は,
マルタンは豚を市場へ連れていった,すてきな押し込み遊び
セルミジ:
あなたは私を悩ませる,私にはもう愛情はない,
私にはもう愛情はない(ロワ編),ラ・ラ・ピエール先生,
助けて下さい、愛するいとしいひとよ,どうしてあなたは,
ああ、悲しいこと(ミラノ編),私はあなたに楽しみをあげましょう,
きれいな森の金盞花の陰に,あなたはわたしがそれで死ぬっていったけど
クレマン・ジャヌカン・アンサンブル〔ドミニク・ヴィス(CT),ミシェル・ラ
プレニ(T),フィリップ・カントール(Br),アントワーヌ・シコ(Bs),クロー
ド・ドボーヴ(Lute)〕
録音:1981年4月
16世紀にパリで活躍した二人の人気作曲家、クレマン・ジャヌカン(1485-1558)
とクローダン・ド・セルミジ(1490頃-1562)のシャンソンを集めています。いず
れも高度な技巧で作られたもので、その作風の多彩さにも驚かされます。静謐
な感動に満ちた「愛と死と人生は」、市場の賑わいを模した「パリの物売りの
声」、しっとりとした悲しさに満ちた「きれいな森の金盞花の陰に」、ひたす
ら処女の胸の美しさを愛でる「美しい乳房」、そして猥雑さを短くカラッと露
わにした「ある夫が新妻と」などなど。美から俗まで、人生の様々な局面に結
び付いた音楽は生き生きとしており、450年という時を越えて我々の耳を楽しま
せてくれます。
絶大な人気を誇るカウンター・テナー、ドミニク・ヴィスと仲間たちによる歌
は、極めてレヴェルの高いもの。うっとりするほど美しいアンサンブルから、
時に悪ノリすらためらわない自由な愉悦まで、イマジネーションに満ちた演奏
は全世界で絶賛されました。ヴィスの驚異的な美声だけでも堪能できること間
違いありません。
HMA 1951370 \1050
ショパン,R.シュトラウス:チェロ・ソナタ集
ショパン:チェロ・ソナタ Op.65
R.シュトラウス:チェロソナタ Op.6
ルイス・クラレ(Vc) アラン・プラネス(P)
録音:1991年2月
ショパンのチェロ・ソナタは、ショパンのピアノ以外の作品の中では最も充実
した作品です。1845年から翌年にかけて作曲されたこの曲は、1832年以来交流
のあったチェリストのオーギュスト・フランショームとの友情の結実です。作
曲は難航し、出来上がった曲はチェロの独奏曲ではなく、チェロとピアノがと
もに高い技巧でぶつかり合う壮絶な二重奏曲になりました。情熱的なロマンティ
シズムの噴出はショパン以外のなにものでもありません。一方、シュトラウス
のチェロ・ソナタは1880年から1883年にかけて、シュトラウス十代後半の作品。
明らかなシューマンの影響を残しつつ、そこかしこに後のシュトラウスが顔を
出しているのもはっきり見て取れます。ことに第2楽章の憂いを帯びた歌い上
げの美しさは格別。青春の初々しさが感じられる佳曲です。
ルイス・クラレはピレネー山の小国アンドラ生まれのチェリスト。少年の頃に
カザルスのレッスンを受けてから、このチェロの神様に心酔し、自らも大変に
ヒューマンな味わいを持ったチェリストに成長しました。性格も異なるこの二
つの作品どちらにおいても自信に揺らぎが微塵もない堂々の弾きっぷりです。
伴奏が名手アラン・プラネスというのも豪華。
HMA 1951220 \1050
シュメルツァー,ムファット:ソナタ集
シュメルツァー:
フェルディナンド3世の死に寄せる哀歌,3つのヴァイオリンのソナタ,
シュメルツァー:三声のソナタ,三声のソナタ「ランテリー」,ソナタ10番
ムファット:
五声のソナタ第5番 ト長調,ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ
チャールズ・メドラム(指)ロンドン・バロック
録音:1985年10月
17世紀オーストリアで活躍したヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー(1623頃-
1680)とゲオルク・ムファット(1653-1704)の器楽作品を集めています。シュメ
ルツァーはウィーンのハプスブルク家の宮廷に仕え、皇帝レオポルド1世から
高く評価されたヴァイオリニストでした。そして当時イタリア人が宮廷楽長を
勤める慣例を破り、オーストリア人として始めて宮廷楽長に就任しました。当
然ヴァイオリン曲に優れた作品を残しています。ムファットは生まれはフラン
ス、パリでリュリらに学んだ後、ウィーン、プラハでの滞在を経てザルツブル
クで職を得、そこからローマに留学してイタリアの音楽をたっぷり吸収、結果
としてフランスとイタリアの音楽の混合をオーストリアに持ちこんだという大
変特色のある人です。五声のソナタは1682年にザルツブルクで出版された曲集
から採られたもの。
チャールズ・メドラム率いるロンドン・バロックの堅実な演奏は、昨今の過激
に走りがちなバロック・アンサンブルよりも落ち付いて作品本来の味を楽しめ
るように思われます。
HMA 195434 \1050
“物乞いたちの嘆き”
物乞いたちの嘆き,ほら私のいとしい人が山からやってきた,異国の人,
魚売り,死の日,サン・ミケーレ・デル・モンテ,私の御主人,祖国の人々,
二人の怠け者の物語,共和国讃歌,故郷のフランシスコ、羊飼い,渦巻く砂塵,
夜と美女
マッテオ・サルヴァトーレ(Vo)
録音:1967年
マッテオ・サルヴァトーレは1925年にイタリア南部プーリア州のフォッジャと
いう町に生まれています。フォッジャは悪い意味で南イタリアらしい町で、
7歳のサルヴァトーレは貧しく靴もなく、学校にも行けませんでした。彼は盲
目のヴァイオリン弾きの弟子になり、老人から様々な歌を教え込まされました。
その数は14年間に150曲ほど。それらの歌も何世紀に渡って口伝されてきた、
誰が作ったかも分からない、しかし南イタリアの貧しい人々の生活にしっかり
根付いたもの。20歳になってヴァイオリン弾きが亡くなると、5日間歩きずく
めでローマに旅して街のレストランで歌を聞かせました。そこで彼の歌の素晴
らしさに気付いた人によって豊かな北部に行き、その歌の素晴らしさが一気に
広まったのです。「ほら私のいとしい人が山からやってきた」は映画「リスト
ランテの夜」でも効果的に使われていました。南イタリアの魂が詰まった1枚
です。
HMA 1951382 \1050
“古いローマの聖歌集(7世紀と13世紀)”
十字架の礼拝(聖金曜日の聖務)
聖マルセルのミサ
マルセル・ペレス(指)アンサンブル・オルガヌム
録音:1991年6月
近年、癒しの音楽としてグレゴリオ聖歌の人気は根付いたようです。しかしそ
れ以前のカトリック音楽となると、再現が極めて難しいためほとんど知られて
いません。こうしたグレゴリオ聖歌以前の単旋聖歌の研究者として名高いのが、
マルセル・ペレスです。彼は粘り強い調査によって、中世のローマの宗教音楽
を蘇らせました。いまだビザンチン的な要素が色濃く残りつつも、敬虔な祈り
に満ちた音楽は、当時ローマを訪れたキリスト教使節たちを驚かせたに違いあ
りません。グレゴリオ聖歌とはまた違った趣の宗教曲になっています。
HMA 1951638 \1050
“ロシア正教会聖歌集”
ボルトニャンスキー:あなたを讃えるにふさわしい,グローリア
ヴェデル:悔悟の門よ私に開け
ルヴォフスキ:天使ケルビムの歌
ロマキネ:私たちはあなたに歌う
アルカンジェルスキ:苦悩を収めよ
グレチャニノフ:クレド,三位一体の栄光
ケドロフ:我らが父
ルビモフ:人は幸いなるかな
クリストフ:
天使ケルビムの歌,あなたの王国で,主の名を讃えよう,
私たちはあなたに歌う,あなたを讃えるにふさわしい
チェスノコフ:神よ、あなたの人々を救ってください
ヴァレリー・ルィビン(指)ルィビン合唱団
録音:1996年2月
長い伝統のあるロシア正教の音楽は、ともするとエキゾチックなものと思われ
がちです。しかしそれは大昔の話。18世紀にイタリア留学から帰国したディミ
トリ・ボルトニャンスキー(1751-1825)が、ロシア伝統の旋律と最先端の音楽と
を結び付けてから、ロシア正教の音楽は無伴奏合唱曲として独自の発展を遂げ、
豊かな作品を多数残しています。このCDには、ボルトニャンスキーの他、アル
テミ・ヴェデル(1767-1806)、グリゴリ・ルヴォフスキ(1830-1894)、ガヴリル
・ロマキネ(1812-1885)、アレクサンドル・アルカンジェルスキ(1846-1924)、
アレクサンドル・グレチャニノフ(1864-1956)、ニコライ・ケドロフ(1871-
1940)、ニコライ・ルビモフ(19世紀?20世紀)、ドブリ・クリストフ(1875-
1941)、パヴェル・チェスノコフ(1877-1944)といった、19世紀から20世紀に
かけて活躍した作曲家の優れた作品が収録されています。
HMA 1957015 \1050
“スペインのセファルディの音楽”
ミゲル・サンチェスアリア・ムジカ
セファルディ、あるいはその複数形のセファルディムとはスペインやポルトガ
ルのユダヤ系民族のこと。彼らはかつてイベリア半島で繁栄し、豊かな文化を
生み出していました。10-12世紀頃にその繁栄は頂点に達しました。しかし
1492年、イサベルとフェルナンドのカトリック両王によって、スペインからの
ユダヤ人追放の命が出され、改宗に応じなかったユダヤ人たちは放浪の身とな
り、北アフリカや中近東にたどり付きました。しかし彼らは独自の文化を今に
守り伝えてきました。このアルバムには、ヘブライ語とラディノ語(スペイン
語がユダヤ人の中で変化したもの)の伝承曲を、歌とカーヌーン(琴の一種)、
ウード(リュート)、ナイ(縦笛の一種)、カヴァル(これも縦笛の一種)な
どの民族楽器を用いて演奏したものです。
HMA 1951637 \1050
シューベルト:
ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D.959
4つの即興曲 D.935
アラン・プラネス(P)
録音:1997年5月
フランスのピアニスト、アラン・プラネスは、1990年代の後半にシューベルト
の後期のピアノ・ソナタを集中して録音し、高い評価を得ました。シューベル
トの後期ピアノ・ソナタは、規模が大きく、ピアニストにとっては至難の作品。
この第20番ソナタも、実に40分を超える大曲です。こうなると単に弾きこなせ
るという程度ではない、見通しの良い説得力が必要となります。プラネスは、
フランス人らしい知的で洗練されたピアニズムを駆使し、従来理解されづら
かったシューベルトの後期ピアノ・ソナタから、明確な意志の魅力を引き出し
ています。
HMA 1951668 \1050
シューマン:「ばらの巡礼」 Op.112
マーカス・クリード(指)RIAS室内合唱団
クリスティアーネ・エルツェ(S) ビルギット・レンメルト(A)
ウェルナー・ギューラ(T) ハンノ・ミューラー=ブラッハマン(Bs)
フィリップ・マイアーズ(フォルテピアノ)
録音:1998年5月
シューマンの「ばらの巡礼」は、モーリッツ・ホルンの詩による独唱、合唱と
ピアノによるオラトリオ。二部からなる24の曲によって、人間世界に降り立っ
た薔薇の精の物語を描いています。ドイツ・ロマン色の濃いシューマンの作品
の中にあっても、とりわけメルヘン的な美しさに満ちた“知られざる傑作”と
言うべきもの。音楽は一貫して優しく、聞く者をメルヘンのファンタジックな
世界へと舞い上げてくれます。
名作のわりに知名度が低いのは、ソロ、合唱、ピアノ、いずれにも高い技量と
豊かな表現力が求められるからでしょう。このCDは、合唱指揮の御大マーカス
・クリードの見事な統率力が遺憾なく発揮されています。薔薇を歌うクリス
ティアーネ・エルツェの可憐な声、またフィリップ・マイアーズの奏でる1850
年シュトライヒャー製のピアノのひたむきな音色など、様々な点で考え抜かれ
た名盤です。
HMA 1951426 \1050
モンテヴェルディ:戦いと愛のマドリガル集
1 タンクレーディとクロリンダの戦い
2 やさしいアンジョレッタが
3 何とかぐわしく
4 あなたはかつて私のものだった
5 あの軽蔑した眼差し
6 眠っているのか
7 静かな川のほとりで
8 西風が帰り
9 ああ、お前はなんと優しい
10 私は恋に燃えているが
ウィリアム・クリスティ(指)レザール・フロリサン
録音:1992年12月
バロック音楽界の大御所ウィリアム・クリスティは、どういうわけかモンテ
ヴェルディの録音に非常に慎重で、CDは多くありません。この録音はその一つ。
完璧主義者のクリスティらしく、隅々まで鋭い目が行き届いた緊張感があり、
彼ならでは強い主張の感じられる演奏です。
歌手にはサンドリーヌ・ピオー、ジャン=ポール・フシェクール、マーク・パ
ドモア、ニコラ・リヴェンクなどが参加、またオーケストラにもヒロ・クロサ
キや上村かおりの名前も見られます。
HMA 1951572 \1050
ハイドン:ピアノ三重奏曲集
ピアノ三重奏曲第43番 ハ長調 Hob.XV:27
ピアノ三重奏曲第44番 ホ長調 Hob.XV:28
ピアノ三重奏曲第45番 変ホ長調 Hob.XV:29
パトリック・コーエン(フォルテピアノ)
エーリヒ・ヘーバルト(Vn) クリストフ・コワン(Vc)
録音:1995年7月
発売当時に大きな話題となった録音です。パトリック・コーエン、エーリヒ・
ヘーバルト、クリストフ・コワンという三人名手が、ハイドンの時代の楽器を
使用することで、あまり知名度のないハイドンのピアノ三重奏曲から真の魅力
を引き出すことに成功しています。ウィーン生まれで、ウィーン交響楽団、
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスのコンサートマスターを務めたエーリ
ッヒ・ヘーバルトのヴァイオリンの美しさが全体を強くリードしています。ま
たコーエンが奏でる1790年アントン・ワルター製のフォルテピアノも非常に心
地よい響きです。
HMA 1951153 \1050
合唱倶楽部
1 レイヴンズクロフト:3つの田舎舞曲が1つになるラウンド
2 同:3羽のカラス
3 ヒルトン:ジョージまた注文だ,小僧やぃ
4 ローズ:月夜の今晩、酒を飲み
5 同:女は夜もすがらいたく泣き悲しみ
6 同:美味しいアニスの水だよ
7 ウィルソン:蜜蜂の吸う蜜吸って
8 同:ばらの花は摘めるうちに
9 パーセル:女が俺達に恋をさせ
10 同:サー・ウォルターは娘とお楽しみ
11 不詳:イニゴウ・ジョーンズ
12 バッティシル:墓銘碑
13 アーン:合唱クラブ
14 スミス:アナクレオンの歌
15 アーン:不安を和らげるため
16 ビショップ:森びとよ、陽気な角笛吹きならせ
17 アーン:シェンストン氏の死を悼む哀歌
18 同:嘆くな乙女
19 ピスアル:地上に楽園あり
20 同:誰か一緒に丘を越えてはくれないか
21 バーンビ:心地よく靜かに
ヒリヤード・アンサンブル
録音:1984年9月
国内盤でも2度発売され、大人気だったヒリヤード・アンサンブルの名盤、復
活です。17-19世紀にロンドンなど英国で歌われたアマチュアの合唱曲を収録
しています。前半は「キャッチ」と呼ばれる音楽。かつては家庭から抜け出し
た親父たちが、日頃の鬱憤を歌で晴らすというもので、当然酒と女を歌ったき
わどいものもあったりします。後半に収録されているのは、「グリー」と呼ば
れる18世紀の中頃からのもの。ポール・ヒリアーがリーダーを務めていた時期
のヒリヤード・アンサンブルが実に楽しく歌ってくれています。
HMA 1951084 \1050
モンテヴェルディ:マドリガーレ集
この暴虐なる愛の神は,静かにして、アルメリン,こうして私は少しずつ,
私はあなたを愛しています、愛しい人,おお、私の愛しい人,優雅な天使,
晴れやかで澄んだ眼差しよ,愛の別れ,おお、ミルティッロ、私の愛しい人,
裸足のニンファ,私の魂は,さらば,美しいフローリダよ,
ああ、優しく美しい太陽に向かうように
ルネ・ヤーコプス(指,CT)コンチェルト・ヴォカーレ
〔バルバラ・シュリック(S),マリウス・ヴァン・アルテナ(T),ギ・ドゥ・
メ(T),ミシェル・テン・オート・ド・ランジュ(T),ハリー・ヴァン・デア・
カンプ(Bs),コンラート・ユングヘーネル(Teorbo)〕
録音:1981年8月
かつてのカウンター・テナーの大御所にして、今やバロック指揮者の巨匠、ル
ネ・ヤーコプスが自身のリードで始めてモンテヴェルディのマドリガーレを録
音したアルバムです。ヤーコプスのみならず、バルバラ・シュリック、ギ・
ドゥ・メ、ハリー・ヴァン・デア・カンプ、コンラート・ユングヘーネルら
錚々たるメンバーによる演奏は、四半世紀前の録音とは全く思えない褪せない
鮮やかさを保っています。いまでこそソリストが各々役を持って演じているよ
うなマドリガーレの唱法は一般的ですが、マドリガーレがいまだ合唱の祖先と
して捉えられていた時代に、これだけ個が主張しながら確固とした統率のある
演奏を成し遂げたことは驚くべきことです。日本にはだいぶ遅れて1994年に紹
介されましたが、それでも「レコード芸術」誌の特選盤に選ばれたという、筋
金入りの名盤です。
HMA 1951320 \1050
ジェズアルド、ゴルリ:宗教音楽集
ジェズアルド:
聖土曜日のためのレスポンソリウム,モテット「いと優しきマリアを賛えよ」,
モテット「日々罪を犯す私を」,モテット「あなたの慈しみを」,
モテット「苦しみと嘆きを」
ゴルリ:レクイエム
フィリップ・ヘレヴェッヘ(指)シャペル・ロワイヤル
録音:1989年10月
カルロ・ジェズアルド(1561頃-1613)は、しばしば“ドン”が付けられるように
ナポリ王国の名門の出身。1593年にエステ家のアルフォンソ公の従妹エレオノ
ーレと結婚、フェラーラに移り、ここでの多くの優れた文化人と出会うことで
彼の才能が花開きました。職業作曲家でなかったジェズアルドは、依頼主の好
みに左右されることがなかったため、独自な音楽を確立しました。当時として
はかなり斬新な不協和音や半音階の用法は、しばしば“マニエリスティック”
とすら評されます。強い表現へのこだわりが、ジェズアルドの作品に独特の苦
悩と悲しみの緊張を生み出していることは間違いありません。この「聖土曜日
のためのレスポンソリウム」は晩年の作品で、過激さが後退し、大胆な手法も
ひたすら静かな悲しみを掘り下げるために使われています。胸が苦しくなるほ
どの美しく悲しい、稀代の天才ジェズアルドの一大成果がここに示されていま
す。ヘレヴェッヘとシャペル・ロワイヤルの演奏はこの作品の名演としてつと
に有名なもの。緊張感と柔らかさという両立しがたい要素を完璧に融合してい
ます。
HMA 1951077 \1050
デュモン:グラン・モテ集
思い出してください、ああとても慈悲深い聖母様,魂の対話,マニフィカト,
バビロン川のほとりで
フィリップ・ヘレヴェッヘ(指)シャペル・ロワイヤル
ギュメット・ロランス(A),アンリ・ルドロワ(CT),ハワード・クルック(T),
ウルリヒ・シュトゥーダー(Br),ペーター・コーイ(Bs)
録音:1981年7月
アンリ・デュモン(1610-1684)は、本名をアンリ・ド・ティエルといい、リエ
ージュ近郊に生まれた作曲家です。1652年にルイ14世の弟フィリップ(アン
ジュー公)のクラヴサン奏者に就任、これを足がかりにルイ王朝の中で着実な
地位を築き上げ、リュリより前の世代の最も重要な作曲家となりました。しか
し録音はいまだ少ないのは残念です。このCDはヘレヴェッヘが国際的に注目さ
れて間もない頃の意欲的なもの。デュモンのモテは儀式ばった仰々しいもので
はなく、自然な優しい感情で真摯に信仰を歌うような音楽です。ヘレヴェッヘ
の明るい柔らかさが生きている演奏が見事。さらに夭折の名カウンター・テナ
ー、アンリ・ルドロワの数少ない歌声の記録としても貴重です。
HMA 1951072 \1050
“16世紀パリのシャンソン集”
ジャヌカン:
パリの物売り声,ある夫が新妻と,美しい乳房,さあ、ここにおいでよ,戦争,
ヴェルノンの粉ひき娘は,愛と死と人生は,
マルタンは豚を市場へ連れていった,すてきな押し込み遊び
セルミジ:
あなたは私を悩ませる,私にはもう愛情はない,
私にはもう愛情はない(ロワ編),ラ・ラ・ピエール先生,
助けて下さい、愛するいとしいひとよ,どうしてあなたは,
ああ、悲しいこと(ミラノ編),私はあなたに楽しみをあげましょう,
きれいな森の金盞花の陰に,あなたはわたしがそれで死ぬっていったけど
クレマン・ジャヌカン・アンサンブル〔ドミニク・ヴィス(CT),ミシェル・ラ
プレニ(T),フィリップ・カントール(Br),アントワーヌ・シコ(Bs),クロー
ド・ドボーヴ(Lute)〕
録音:1981年4月
16世紀にパリで活躍した二人の人気作曲家、クレマン・ジャヌカン(1485-1558)
とクローダン・ド・セルミジ(1490頃-1562)のシャンソンを集めています。いず
れも高度な技巧で作られたもので、その作風の多彩さにも驚かされます。静謐
な感動に満ちた「愛と死と人生は」、市場の賑わいを模した「パリの物売りの
声」、しっとりとした悲しさに満ちた「きれいな森の金盞花の陰に」、ひたす
ら処女の胸の美しさを愛でる「美しい乳房」、そして猥雑さを短くカラッと露
わにした「ある夫が新妻と」などなど。美から俗まで、人生の様々な局面に結
び付いた音楽は生き生きとしており、450年という時を越えて我々の耳を楽しま
せてくれます。
絶大な人気を誇るカウンター・テナー、ドミニク・ヴィスと仲間たちによる歌
は、極めてレヴェルの高いもの。うっとりするほど美しいアンサンブルから、
時に悪ノリすらためらわない自由な愉悦まで、イマジネーションに満ちた演奏
は全世界で絶賛されました。ヴィスの驚異的な美声だけでも堪能できること間
違いありません。
HMA 1951370 \1050
ショパン,R.シュトラウス:チェロ・ソナタ集
ショパン:チェロ・ソナタ Op.65
R.シュトラウス:チェロソナタ Op.6
ルイス・クラレ(Vc) アラン・プラネス(P)
録音:1991年2月
ショパンのチェロ・ソナタは、ショパンのピアノ以外の作品の中では最も充実
した作品です。1845年から翌年にかけて作曲されたこの曲は、1832年以来交流
のあったチェリストのオーギュスト・フランショームとの友情の結実です。作
曲は難航し、出来上がった曲はチェロの独奏曲ではなく、チェロとピアノがと
もに高い技巧でぶつかり合う壮絶な二重奏曲になりました。情熱的なロマンティ
シズムの噴出はショパン以外のなにものでもありません。一方、シュトラウス
のチェロ・ソナタは1880年から1883年にかけて、シュトラウス十代後半の作品。
明らかなシューマンの影響を残しつつ、そこかしこに後のシュトラウスが顔を
出しているのもはっきり見て取れます。ことに第2楽章の憂いを帯びた歌い上
げの美しさは格別。青春の初々しさが感じられる佳曲です。
ルイス・クラレはピレネー山の小国アンドラ生まれのチェリスト。少年の頃に
カザルスのレッスンを受けてから、このチェロの神様に心酔し、自らも大変に
ヒューマンな味わいを持ったチェリストに成長しました。性格も異なるこの二
つの作品どちらにおいても自信に揺らぎが微塵もない堂々の弾きっぷりです。
伴奏が名手アラン・プラネスというのも豪華。
HMA 1951220 \1050
シュメルツァー,ムファット:ソナタ集
シュメルツァー:
フェルディナンド3世の死に寄せる哀歌,3つのヴァイオリンのソナタ,
シュメルツァー:三声のソナタ,三声のソナタ「ランテリー」,ソナタ10番
ムファット:
五声のソナタ第5番 ト長調,ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ
チャールズ・メドラム(指)ロンドン・バロック
録音:1985年10月
17世紀オーストリアで活躍したヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー(1623頃-
1680)とゲオルク・ムファット(1653-1704)の器楽作品を集めています。シュメ
ルツァーはウィーンのハプスブルク家の宮廷に仕え、皇帝レオポルド1世から
高く評価されたヴァイオリニストでした。そして当時イタリア人が宮廷楽長を
勤める慣例を破り、オーストリア人として始めて宮廷楽長に就任しました。当
然ヴァイオリン曲に優れた作品を残しています。ムファットは生まれはフラン
ス、パリでリュリらに学んだ後、ウィーン、プラハでの滞在を経てザルツブル
クで職を得、そこからローマに留学してイタリアの音楽をたっぷり吸収、結果
としてフランスとイタリアの音楽の混合をオーストリアに持ちこんだという大
変特色のある人です。五声のソナタは1682年にザルツブルクで出版された曲集
から採られたもの。
チャールズ・メドラム率いるロンドン・バロックの堅実な演奏は、昨今の過激
に走りがちなバロック・アンサンブルよりも落ち付いて作品本来の味を楽しめ
るように思われます。
HMA 195434 \1050
“物乞いたちの嘆き”
物乞いたちの嘆き,ほら私のいとしい人が山からやってきた,異国の人,
魚売り,死の日,サン・ミケーレ・デル・モンテ,私の御主人,祖国の人々,
二人の怠け者の物語,共和国讃歌,故郷のフランシスコ、羊飼い,渦巻く砂塵,
夜と美女
マッテオ・サルヴァトーレ(Vo)
録音:1967年
マッテオ・サルヴァトーレは1925年にイタリア南部プーリア州のフォッジャと
いう町に生まれています。フォッジャは悪い意味で南イタリアらしい町で、
7歳のサルヴァトーレは貧しく靴もなく、学校にも行けませんでした。彼は盲
目のヴァイオリン弾きの弟子になり、老人から様々な歌を教え込まされました。
その数は14年間に150曲ほど。それらの歌も何世紀に渡って口伝されてきた、
誰が作ったかも分からない、しかし南イタリアの貧しい人々の生活にしっかり
根付いたもの。20歳になってヴァイオリン弾きが亡くなると、5日間歩きずく
めでローマに旅して街のレストランで歌を聞かせました。そこで彼の歌の素晴
らしさに気付いた人によって豊かな北部に行き、その歌の素晴らしさが一気に
広まったのです。「ほら私のいとしい人が山からやってきた」は映画「リスト
ランテの夜」でも効果的に使われていました。南イタリアの魂が詰まった1枚
です。
HMA 1951382 \1050
“古いローマの聖歌集(7世紀と13世紀)”
十字架の礼拝(聖金曜日の聖務)
聖マルセルのミサ
マルセル・ペレス(指)アンサンブル・オルガヌム
録音:1991年6月
近年、癒しの音楽としてグレゴリオ聖歌の人気は根付いたようです。しかしそ
れ以前のカトリック音楽となると、再現が極めて難しいためほとんど知られて
いません。こうしたグレゴリオ聖歌以前の単旋聖歌の研究者として名高いのが、
マルセル・ペレスです。彼は粘り強い調査によって、中世のローマの宗教音楽
を蘇らせました。いまだビザンチン的な要素が色濃く残りつつも、敬虔な祈り
に満ちた音楽は、当時ローマを訪れたキリスト教使節たちを驚かせたに違いあ
りません。グレゴリオ聖歌とはまた違った趣の宗教曲になっています。
HMA 1951638 \1050
“ロシア正教会聖歌集”
ボルトニャンスキー:あなたを讃えるにふさわしい,グローリア
ヴェデル:悔悟の門よ私に開け
ルヴォフスキ:天使ケルビムの歌
ロマキネ:私たちはあなたに歌う
アルカンジェルスキ:苦悩を収めよ
グレチャニノフ:クレド,三位一体の栄光
ケドロフ:我らが父
ルビモフ:人は幸いなるかな
クリストフ:
天使ケルビムの歌,あなたの王国で,主の名を讃えよう,
私たちはあなたに歌う,あなたを讃えるにふさわしい
チェスノコフ:神よ、あなたの人々を救ってください
ヴァレリー・ルィビン(指)ルィビン合唱団
録音:1996年2月
長い伝統のあるロシア正教の音楽は、ともするとエキゾチックなものと思われ
がちです。しかしそれは大昔の話。18世紀にイタリア留学から帰国したディミ
トリ・ボルトニャンスキー(1751-1825)が、ロシア伝統の旋律と最先端の音楽と
を結び付けてから、ロシア正教の音楽は無伴奏合唱曲として独自の発展を遂げ、
豊かな作品を多数残しています。このCDには、ボルトニャンスキーの他、アル
テミ・ヴェデル(1767-1806)、グリゴリ・ルヴォフスキ(1830-1894)、ガヴリル
・ロマキネ(1812-1885)、アレクサンドル・アルカンジェルスキ(1846-1924)、
アレクサンドル・グレチャニノフ(1864-1956)、ニコライ・ケドロフ(1871-
1940)、ニコライ・ルビモフ(19世紀?20世紀)、ドブリ・クリストフ(1875-
1941)、パヴェル・チェスノコフ(1877-1944)といった、19世紀から20世紀に
かけて活躍した作曲家の優れた作品が収録されています。
HMA 1957015 \1050
“スペインのセファルディの音楽”
ミゲル・サンチェスアリア・ムジカ
セファルディ、あるいはその複数形のセファルディムとはスペインやポルトガ
ルのユダヤ系民族のこと。彼らはかつてイベリア半島で繁栄し、豊かな文化を
生み出していました。10-12世紀頃にその繁栄は頂点に達しました。しかし
1492年、イサベルとフェルナンドのカトリック両王によって、スペインからの
ユダヤ人追放の命が出され、改宗に応じなかったユダヤ人たちは放浪の身とな
り、北アフリカや中近東にたどり付きました。しかし彼らは独自の文化を今に
守り伝えてきました。このアルバムには、ヘブライ語とラディノ語(スペイン
語がユダヤ人の中で変化したもの)の伝承曲を、歌とカーヌーン(琴の一種)、
ウード(リュート)、ナイ(縦笛の一種)、カヴァル(これも縦笛の一種)な
どの民族楽器を用いて演奏したものです。
HMA 1951637 \1050
シューベルト:
ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D.959
4つの即興曲 D.935
アラン・プラネス(P)
録音:1997年5月
フランスのピアニスト、アラン・プラネスは、1990年代の後半にシューベルト
の後期のピアノ・ソナタを集中して録音し、高い評価を得ました。シューベル
トの後期ピアノ・ソナタは、規模が大きく、ピアニストにとっては至難の作品。
この第20番ソナタも、実に40分を超える大曲です。こうなると単に弾きこなせ
るという程度ではない、見通しの良い説得力が必要となります。プラネスは、
フランス人らしい知的で洗練されたピアニズムを駆使し、従来理解されづら
かったシューベルトの後期ピアノ・ソナタから、明確な意志の魅力を引き出し
ています。
HMA 1951668 \1050
シューマン:「ばらの巡礼」 Op.112
マーカス・クリード(指)RIAS室内合唱団
クリスティアーネ・エルツェ(S) ビルギット・レンメルト(A)
ウェルナー・ギューラ(T) ハンノ・ミューラー=ブラッハマン(Bs)
フィリップ・マイアーズ(フォルテピアノ)
録音:1998年5月
シューマンの「ばらの巡礼」は、モーリッツ・ホルンの詩による独唱、合唱と
ピアノによるオラトリオ。二部からなる24の曲によって、人間世界に降り立っ
た薔薇の精の物語を描いています。ドイツ・ロマン色の濃いシューマンの作品
の中にあっても、とりわけメルヘン的な美しさに満ちた“知られざる傑作”と
言うべきもの。音楽は一貫して優しく、聞く者をメルヘンのファンタジックな
世界へと舞い上げてくれます。
名作のわりに知名度が低いのは、ソロ、合唱、ピアノ、いずれにも高い技量と
豊かな表現力が求められるからでしょう。このCDは、合唱指揮の御大マーカス
・クリードの見事な統率力が遺憾なく発揮されています。薔薇を歌うクリス
ティアーネ・エルツェの可憐な声、またフィリップ・マイアーズの奏でる1850
年シュトライヒャー製のピアノのひたむきな音色など、様々な点で考え抜かれ
た名盤です。
HMA 1951426 \1050
モンテヴェルディ:戦いと愛のマドリガル集
1 タンクレーディとクロリンダの戦い
2 やさしいアンジョレッタが
3 何とかぐわしく
4 あなたはかつて私のものだった
5 あの軽蔑した眼差し
6 眠っているのか
7 静かな川のほとりで
8 西風が帰り
9 ああ、お前はなんと優しい
10 私は恋に燃えているが
ウィリアム・クリスティ(指)レザール・フロリサン
録音:1992年12月
バロック音楽界の大御所ウィリアム・クリスティは、どういうわけかモンテ
ヴェルディの録音に非常に慎重で、CDは多くありません。この録音はその一つ。
完璧主義者のクリスティらしく、隅々まで鋭い目が行き届いた緊張感があり、
彼ならでは強い主張の感じられる演奏です。
歌手にはサンドリーヌ・ピオー、ジャン=ポール・フシェクール、マーク・パ
ドモア、ニコラ・リヴェンクなどが参加、またオーケストラにもヒロ・クロサ
キや上村かおりの名前も見られます。
HMA 1951572 \1050
ハイドン:ピアノ三重奏曲集
ピアノ三重奏曲第43番 ハ長調 Hob.XV:27
ピアノ三重奏曲第44番 ホ長調 Hob.XV:28
ピアノ三重奏曲第45番 変ホ長調 Hob.XV:29
パトリック・コーエン(フォルテピアノ)
エーリヒ・ヘーバルト(Vn) クリストフ・コワン(Vc)
録音:1995年7月
発売当時に大きな話題となった録音です。パトリック・コーエン、エーリヒ・
ヘーバルト、クリストフ・コワンという三人名手が、ハイドンの時代の楽器を
使用することで、あまり知名度のないハイドンのピアノ三重奏曲から真の魅力
を引き出すことに成功しています。ウィーン生まれで、ウィーン交響楽団、
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスのコンサートマスターを務めたエーリ
ッヒ・ヘーバルトのヴァイオリンの美しさが全体を強くリードしています。ま
たコーエンが奏でる1790年アントン・ワルター製のフォルテピアノも非常に心
地よい響きです。
HMA 1951153 \1050
合唱倶楽部
1 レイヴンズクロフト:3つの田舎舞曲が1つになるラウンド
2 同:3羽のカラス
3 ヒルトン:ジョージまた注文だ,小僧やぃ
4 ローズ:月夜の今晩、酒を飲み
5 同:女は夜もすがらいたく泣き悲しみ
6 同:美味しいアニスの水だよ
7 ウィルソン:蜜蜂の吸う蜜吸って
8 同:ばらの花は摘めるうちに
9 パーセル:女が俺達に恋をさせ
10 同:サー・ウォルターは娘とお楽しみ
11 不詳:イニゴウ・ジョーンズ
12 バッティシル:墓銘碑
13 アーン:合唱クラブ
14 スミス:アナクレオンの歌
15 アーン:不安を和らげるため
16 ビショップ:森びとよ、陽気な角笛吹きならせ
17 アーン:シェンストン氏の死を悼む哀歌
18 同:嘆くな乙女
19 ピスアル:地上に楽園あり
20 同:誰か一緒に丘を越えてはくれないか
21 バーンビ:心地よく靜かに
ヒリヤード・アンサンブル
録音:1984年9月
国内盤でも2度発売され、大人気だったヒリヤード・アンサンブルの名盤、復
活です。17-19世紀にロンドンなど英国で歌われたアマチュアの合唱曲を収録
しています。前半は「キャッチ」と呼ばれる音楽。かつては家庭から抜け出し
た親父たちが、日頃の鬱憤を歌で晴らすというもので、当然酒と女を歌ったき
わどいものもあったりします。後半に収録されているのは、「グリー」と呼ば
れる18世紀の中頃からのもの。ポール・ヒリアーがリーダーを務めていた時期
のヒリヤード・アンサンブルが実に楽しく歌ってくれています。