クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

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10-12 No.26-2

2010年12月30日 19時14分40秒 | Weblog
NEOS 11053(SACD-Hybrid) \2650
「ドナウエッシンゲン音楽祭2009ライヴVol.3」
マノス・ツァンガリス(b.1956):《バチェバ、歴史を食らえ!》
-俳優、歌手、合唱、管弦楽とライヴ・エレクトロニクスのためのラジオ演劇
(2008/2009)
シルヴァイン・カンブルラン(指揮&俳優)、デニス・コンテ(指揮)、
SWRバーデンバーデン・フライブルク交響楽団、
SWRヴォーカル・アンサンブル、
シモン・シュトックハウゼン(電子音響監督)、
アルブレヒト・レウ(サウンド・スーパービジョン)他
ヨハンナ・ヴィンケル(Sop)、エルヴィラ・ビル(Alt)、
ジュリアン・ポッジャー(Ten)、
アンドレアス・ヴォルフ(Br)、クリストフ・グルント(Org)、
ケイト・ストリング(俳優)ほか
録音:2009年10月ドナウエッシンゲン音楽祭ライヴ
ツァンガリスはデュッセルドルフ出身の中堅作曲家で作曲をカーゲルに師事、
ヨーロッパの名だたる作曲賞を数多く受賞している。本作は旧約聖書に題材を
取ったシアター・ピースで、俳優の語り、ポルタメントを多く含む歌唱、打楽
器を含むノイジーな音響、電子音、サウンド・モンタージュ、オルガンのクラ
スターなど、現代音楽のおよそ考えられる技法が全て注ぎ込まれている。

NEOS11044 \2500
ペーター・ルジツカ(b.1948):ピアノ作品集
(1)5つの情景(2009)
(2)パレルゴン-ヘルダーリンの6つのスケッチ(2006/2007)
(3)前奏曲集(全6曲)/(4)「時間の内部摘出」-3つの夜想曲(1969)
(5)補償-ピアノのための回想(1966/2009)
ゾフィ=マユコ・フェッター(Pf)
録音:2009年12月
ルジツカは現代ドイツ作曲界の重鎮的存在。ヘンツェ、ハンス・オッテに作曲
を師事した彼は堅実でアカデミックな様式を保ちつつ色彩的な音楽を作りあげ
る。激しい音の塊やすばやいパッセージなど正統的な前衛音楽様式といえる。
ピアノを弾くフェッターは日本でも度々リサイタルを開き、絶賛されているド
イツの若手ピアニスト。大阪万博にシュトックハウゼンのアンサンブルで来日
した父と当時通訳にあたった日本人を母に持ち、マユコ自身も後にシュトック
ハウゼンの演奏に関わっている。レパートリーは現代曲にとどまらず、ショパ
ン、モーツァルトなども得意としザルツブルク音楽祭にも出演している。

NEOS11042 \2500
ジョン・ケージ(1912-1992):ASLSP(1985)
(第1番、第7番(2番目のピースとして)、第2番、第3番、第4番、第5番、第6番、
第7番、第8番)
ザビーネ・リープナー(Pf)
録音:2009年
ASLSPとはas slow as possible(できるだけ遅く)の略であり、奏者は文字通り
極めてゆっくりと弾くことを要求される。ケージは指示をas slow as
possibleとしか書いておらず、どれくらいの速さで弾くかは奏者に委ねられる。
何の脈絡もないように並べられた協和音、不協和音、単音が不規則な強さ、感
覚で延々と続く音空間は日本庭園の「ししおどし(鹿威し)」か「水琴窟(すい
きんくつ)」を聴くようでもあり、まさにケージ・ワールド。このディスクは
CD1枚に収まる良心的(?)な作りだが、本作のオルガン版は2001年5月に演奏が
開始され、演奏終了は2639年の予定とか。演奏はアメリカ実験音楽を得意とし、
目の覚めるようなクリアな音が持ち味。お休み(zzz)ミュージックにもおすすめ。

NEOS11043 \2500
ジョン・ケージ(1912-1992):
ONE-ピアノのための(1987)
ONE?(1の2乗)-1-4台のピアノのための(1989)
ONE?(1の5乗)-ピアノのための(1990)
ザビーネ・リープナー(Pf)
録音:2009年
上記のASLSPとほぼ同時期に作曲されたケージ晩年の作品。ナンバー・ピース
と呼ばれるシリーズの最初の作品。ONEはソロを意味する。ピアノの単音、
和音、内部奏法が間をおいてぽつりぽつりと連なってゆく静謐で美しいピアノ
作品。

NEOS11035 \2500
コンスタンティア・グルズィ(b.1962):作品集
(1)イラティキ・ポリシ(修道士の詩)(2007/2009)
(2)火炎Op.44(2009)/(3)南風-物語IOp.43(2009)
(4)サッフォーの歌-クルタークへのオマージュOp.12(1995/2009)
(5)南風-物語IIOp.43(2009)/(6)化合物Op.32(2007/2009)
(7)カスタリアOp.35(2008/2009)
※全曲世界初録音
コンスタンティア・グルズィ((1)(7)指揮、(4)(6)Pf)
(1)(7)アポロン・ミュサゲート四重奏団
(1)(2)(4)(6)ヴァシリス・アグロコスタス(ビザンチン詩篇朗唱)、
(1)-(3)(5)-(7)ミカリス・コレバス(タルフー、サズ、ネイ)
(1)(2)C.エルゼッサー(Pf)、
録音:2009年
コンスタンティア・グルズィは1962年ギリシャ生まれの作曲家。作曲のみなら
ず指揮、教育、コンサート・プロデュースなど多方面に渡って活動している。
また2009年にベルリン・ドイツ・オペラのために楽譜が断片しか残されていな
いハイドンの歌劇《フィレモンとバチウス》の補作・校訂も行っている。彼女
の音楽はギリシャ正教の伝統的な朗唱や民族音楽と現代音楽の語法を対立させ
るのではなく、むしろそれら双方を生かすように作られており、新しいタイプ
のワールド・ミュージックのように聴こえる。ビザンチン聖歌の神秘的でメリ
スマティックな朗唱に斬新な響きがつけ加えられ、濃厚な香りと麻薬のような
魅力を放つ。(3)(5)はペルシャの葦笛「ネイ」の独奏曲。他にもヴァイオリン
系の民族楽器「タルフー」や、ギター系の民族楽器「サズ」が使用されている。

NEOS10906(SACD-Hybrid) \2650
アルトゥーロ・フエンテス(b.1975):作品集
(1)モジュラー(2009)-ヴァイオリンとバス・クラリネットのための
(2)先行詞X(2006)-テナー・サックス、ピアノと打楽器のための
(3)光(2009)-ヴァイオリンとライヴ・エレクトロニクスのための
(4)パッサテンポ(2009)-アンサンブルのための/
(5)プレクサス(2009)-テナー・サックスとライヴ・エレクトロニクスのための
(6)フォルマンテス(2008)-フルート、バス・クラリネットとピアノのための
アンサンブル・アンテグラル
録音:2009年
フエンテスは地元メキシコ・シティで学んだ後、パリのIRCAMで電子音響を学
んだ。その後ミラノでドナトーニに師事しポルトガルのムジカ・ヴィヴァ現代
音楽祭の第8回エレクトロ・アコースティック作曲コンクールに優勝。以後多く
の賞を受賞。作品はアコースティックな楽器のための作品でも電子音響の影響
が感じられ、劇的要素を排除した禁欲的な音響の中に独自のユーモアが感じら
れる。

NEOS11023(SACD-Hybrid) \2650
マルティーノ・トラヴェルサ(b.1960):作品集
(1)エコーの残り(2004)-7楽器のための
(2)白い広場、白い背景の上に(2000)-バス・クラリネットのための
(3)四重奏曲第2番(2007)-弦楽四重奏のための
(4)無伴奏ヴィオラのための四重奏曲(2007)-ヴィオラとテープ
(5)マンハッタン橋午前4時30分(2008)
(6)白く、しかし過ぎずに(1995-96)-バス・フルートとテープのための
(7)呼吸の後に(2003)-フルートのための
(1)(5)マルコ・アンギス指揮アンサンブル・アルゴリツモ
(2)R.ゴッタルディ(Cl)
(3)アルディティ四重奏団
(4)ガース・ノックス(Va)
(6)(7)マリオ・カローリ((6)バスFl、(7)Fl)
録音:2008年
マルティーノ・トラヴェルサはイタリアの作曲家で作曲、ジャズ、電子音楽を
学んだ後、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院で研鑽を積んだ。1987年か
ら89年までルイジ・ノーノに師事し影響を受けた。限られた素材をもとに静寂
な音を作り出す作法は典型的なポスト・セリエリズムといえよう。

NEOS11032(SACD-Hybrid) \2650
(1)W.リーム(b.1952):シュリフト・ウム・シュリフト
-2台ピアノと2人の打楽器奏者のための(1993/2007)
(2)バルトーク(1881-1945):2台のピアノと打楽器のためのソナタ(1937)
グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ、
F.シンドルベック&ヤン・シュリヒテ(Perc)
録音:2008/2009年
2台ピアノと打楽器という編成での古典的傑作、バルトークのソナタに呼応す
る形で作曲されたリームの《シュリフト・ウム・シュリフト(フォントにフォ
ント)》はバルトークとは全く対照的な作風。フォントにフォントというタイ
トル通り、楽器間で点描的な音がやりとりされる静謐な作品。

NEOS11041 \2500
「シューマン変容とピアノ・ソナタ」
-ヘルマン・ケラー(b.1945):作品集
(1)胚葉-「シューマン変容」-ピアノのための(2001)
(2)「シューマン変容」-ヴァイオリンとピアノのための(1996)
(3)ピアノ・ソナタ第2番(2001)/(4)ピアノ・ソナタ第3番(2008)
(1)(2)(4)ヘルマン・ケラー(Pf)、
(2)A.メッサーシュミット(Vn)、
(3)トマス・ベーヒリ(Pf)
録音:2005-09年
ヘルマン・ケラーは1945年ドイツ生まれの作曲家、即興演奏家で、ジャズ・ベ
ーシストとして活動したこともある。ハインツ・ホリガー、ヴィンコ・グロボ
カール、インゴ・メッツマッヒャーらとともに現代音楽アンサンブルを度々組
んでいる。この作品集はタイトル通り、今年生誕200年を迎えたロベルト・シュ
ーマンの作品を素材にした一種のパラフレーズ。ピアノの内部奏法、クラスタ
ーありと殆ど原型を留めないほど素材はデフォルメされるが時折、もとの素材
がよみがえりそのアンバランス感に独自のシュール・レアリスティックな詩学
が聴き取れる。ピアノ・ソナタ第3番は2台の片方を四分音下に調律を変え、
2台のピアノを独りで弾く作品で、めまいのするような幻想的な雰囲気を作り
出す。

NEOS11047 \2500
「パサヘス(通路)」-メキシコの現代音楽
(1)ガブリエラ・オルティス(b.1964):トリフォリウム(2005)(ピアノ三重奏)
(2)アルトゥーロ・フエンテス(b.1975):ロワイン(2009)
-ヴィオラと予め録音されたCDのための
(3)アレハンドロ・カスタニョス(b.1978):交差点(2009)
-ヴァイオリン、アルト・サックス、打楽器とエレクトロニクスのための(2009)
(4)ジョルジーナ・デルベス・ロケ(b.1968):これ以上悲惨な(2009)
-ヴァイオリン、チェロ、テナー・サックスと打楽器のための
(5)フアン・ホセ・バルセナス(b.1982):ウン・レンコル・ヴィヴォ(2008)
-エレクトリックVn、Vc、テナーSax、打楽器とエレクトロニクスのための
(6)アレイダ・モレノ(b.1982):夜の音楽(2009)
-エレクトリック・ヴァイオリン、アルト・サックス、ピアノ、打楽器、
予め録音されたCDとライヴ・エレクトロニクスのための
アンサンブル・アンテグラル、
ヘンリー・ヴェガ(ライヴ・エレクトロニクス)
録音:2009年
メキシコの若い世代の作曲家の作品を収録。作曲家の殆どが地元で学んだ後、
ヨーロッパに留学しヨーロッパの前衛技法を学んでいる。オルティスはストラ
ヴィンスキーをポップな語法に組み替えた上で新しい音響を取り込んでゆく秀
作。そのほかの作品は楽器の新しい奏法が作る特殊な音響に電子音響が絡み、
アコースティックとも電子とも分かちがたい新たなアンサンブル作品を生み出
している。1970年代以降の出身の作曲家にこの傾向が強い。その中でもバルセ
ナスの《ウン・レンコル・ヴィヴォ》はエリオット・シャープらのアヴァン・
ポップのような都市の落書きを思わせるノイズ・ミュージックで際立った面白
さがある。

NEOS90902 \2500
メリー・クリスマス-クリスマスの伝統的な音楽と新しい音楽
(1)バッハ:「まぶねのかたえに我は立ちて」-クリスマス・カンタータ
(2)ウォーロック:ベツレヘムの夜明け/(3)パッヘルベル:カノン
(4)楽しいクリスマス(ドイツのクリスマス・キャロル)
(5)J.S.バッハ:G線上のアリア、永遠の父なる神よ
(6)清しこの夜(クリスマス・キャロル)/(7)A.コレルリ:クリスマス協奏曲
(8)アール・J.ライスドルフ(b.1958):幼子イエスのキャロル(2007/09)
(9)ローランド・ファッジ(b.1947):化身(2009)
(10)アンディ・エヴァンス(b.1962):そしてマリアは言われた(2009)
(11)デレク・スミス(b.1930):カロリンガ(2009)
ヘンシェル四重奏団、
テルツ児童合唱団ソロイスツ、
M.ショイリヒ=ヘンシェル(Cemb)、
フランク・ライネッケ(Cb)
録音:2009/2010年
硬派レーベルNEOSには珍しいクリスマス・アルバム。だからと言って斜に構え
た内容ではなく普通に楽しくクリスマス・アルバム(?)している。バッハ、パ
ッヘッルベル、コレルリは厳格な古楽スタイルの中に即興的な遊びの精神も宿
って楽しい。現代の作曲家のクリスマス音楽も現代曲的な硬い作品ではなく親
しみ易いもの。


●NEOSジャズ・シリーズ
NEOS41006/07(SACD-Hybrid) 2枚組 \5300
ドナウエッシンゲン音楽祭2005・SWR2 ナウ・ジャズ
「クァルテット」-大友良英、アクセル・ドルメル、サチコ・M、
マーティン・ブランドルマイヤー
CD1)誘惑1、誘惑2/CD2)誘惑3、誘惑4
大友良英(ターンテーブル、G、エレクトロニクス)、アクセル・ドルメル(Trp)、
サチコ・M(サインウェーブ)、マーティン・ブランドルマイヤー(Drms)
録音:2005年ライヴ、ドナウエッシンゲン
日本を代表する前衛ジャズ・ミュージシャン大友良英とその仲間によるセッ
ション。ノイズと喧騒と沈黙の交錯する幻覚的世界。

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