<MD+G>
3043952 \2080
サン=サーンス:木管楽器とピアノのための室内楽作品集
オーボエ・ソナタ ニ長調作品166
クラリネット・ソナタ変ホ長調作品167
バソン・ソナタ ト長調作品168
デンマークとロシアの歌による奇想曲作品79
ロマンス変ニ長調作品37
アンサンブル・ヴィラ・ムジカ
サン=サーンスは、ベルリオーズの次に登場した19世紀フランスの大作曲家。
交響曲第3番は「オルガン付き」として名高いが、これを聴いたグノーは、サ
ン=サーンスを「フランスのベートーヴェン」と称えている。サン=サーンス
は、最晩年の1921年に(彼の没年でもある)、管楽器(オーボエ、クラリネッ
ト、バソン)のためにそれぞれソナタを作曲した。当アルバムはそれらと、さ
らに初期に書かれた2作品を集めており、結果としてサン=サーンスが管楽器
とピアノのために書いた室内楽の全作品が収められている。管楽器が引き立つ
ように書かれているのは当然としても、自身がきわめて優れたピアニストでも
あったにもかかわらず、ピアノ・パートが出しゃばらないよう慎ましく抑えら
れているのはこの作曲家の才能と性格を表していると言えるだろう。
アンサンブル・ヴィラ・ムジカは1990年結成の団体。MDGレーベルには、これ
までにマルティヌーやヘンツェ、ヒンデミット、ヤナーチェク、キルヒナー、
モーツァルト、ペンデレツキ、ラフ、リヒャルト・シュトラウス、シュポアな
どの室内楽作品集を数多くリリースしている。
34113062 \2080
モーツァルト:鍵盤作品全集Vol.6
序曲ハ長調KV399(385i)[断章]
ジーグ ト長調KV574
ソナタ ヘ長調KV13
アレグロ変ロ長調KV3
ソナタ(第4番)変ホ長調KV282(189g)他
ジークベルト・ランペ(pf) (チェンバロ、クラヴィコード、フォルテピアノ)
ジークベルト・ランペの進めるモーツァルト鍵盤作品全集の第6弾。今回ラン
ペは4種の歴史的楽器を用意し万全を期している。今回はモーツァルトが初め
て書いたピアノ作品を含み、さらにヘ長調とロ長調の2つのソナタ(KV13と15)
は、ピアノ三重奏曲、あういはヴァイオリン(もしくはフルート)・ソナタ
でなく独奏ヴァージョンとしては当アルバムが初録音となる。それらは元々
は、英国王妃に捧げられ、1765年の春に同国で出版された《チェンバロのた
めの6つのソナタ集》に収められたものだ。モーツァルトはその頃は初のヨー
ロッパ演奏旅行中で、1764?65年にはロンドンに滞在し、そこでヨハン・クリ
スティアン・バッハの音楽に触れた。そのためこの作品にはJ.C.バッハの影
響があると言われる。また、パリでの同時代作曲家や、カール・フィリップ
・エマヌエル・バッハの影響を指摘する向きもある。
60614272 \2080
ユーリウス・ロイプケ:オルガン・ソナタ ハ短調《詩編第94番》
マックス・レーガー:ソナタ第2番ニ短調作品60
フランツ・リスト:
バッハの名(B-A-C-H)による前奏曲とフーガ[1855年初稿]
ミヒャエル・シェーンハイト(メルゼブルク大聖堂ラーデガスト・オルガン)
リストは1856年、ロイプケは翌1857年、そしてレーガーは1902年と、メルゼ
ブルク大聖堂で初演された重要な3つの作品を集めたアルバム。リストの《バ
ッハの名による前奏曲とフーガ》は、ヴァイマールでの演奏用に大幅に改訂
された第2版(1870年)が有名だが、ここに収録されたのは1855年に作曲され
た第1版である。(1855年の)メルゼブルク大聖堂のオルガン奉献式用に構想
されたが、実際には式には間に合わず、翌56年に初演された。その年(1856年)
にリストの弟子となったのがロイプケ。1857年には早くも彼の最重要作品で、
ドイツ・ロマン派様式の傑作と評されるソナタを2曲書いている。ピアノ・ソ
ナタ変ロ短調と、このアルバムで聴けるオルガン・ソナタである。詩編94の9
つの詩に基づいて作曲され、初演ではロイプケ自身が ラーデガスト・オルガ
ンを弾いた。
レーガーのソナタ第2番は、リストやロイプケの約50年を経た1901年に作曲。
ミュンヘンで書かれたが、初演は勿論メルゼブルク。レーガーらしい完成度の
高い作品である。「音楽はバッハに始まり、バッハに終わる」と語ったレー
ガーをフィーチュアすることによって、リストに連結するという円環の仕組
みも意図された選曲と言えよう。
ミヒャエル・シェーンハイトは、MDGレーベルに、リスト・オルガン作品集
(現在第2集まで)や「オルガン・ランドスケイプ」シリーズのテューリンゲ
ンの回をリリースしている。
60114442 \2080
90114446(SACD-Hybrid) \2950
フランク・マルタン:
旗手クリストフ・リルケの愛と死の歌
(ライナー・マリーア・リルケの詩によるコントラルトと管弦楽のための)
クリスティアーネ・ストテイン(MS)
ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム管弦楽団
指揮:ヤク・ヴァン・ステーン
ヴァン・ステーン指揮ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム管弦楽団によ
るマルタン作品の第2弾録音。前回は7つの管楽器、打楽器と小オーケストラの
ための協奏曲とヴァイオリン協奏曲、そして2つのピアノと小オーケストラの
ための《恐怖の踊り》をリリースしていた(他にも新ウィーン楽派を中心とす
るアルバムがある)。
今回の《旗手クリストフ・リルケの愛と死の歌》は、1942年に歌曲集のための
詩を探していたマルタンが、妻に紹介されたライナー・マリーア・リルケのこ
の詩(1899年)に一目惚れして付曲した作品(ちなみに、ジークフリート・マ
トゥスもアルトとオーケストラのための同名作品を1995年に書いている)。
23曲の独特のスタイルによる歌曲が連なる作品で、アルト・サクソフォーンを
含む管楽器、ハープ、チェレスタ、ピアノ、打楽器、弦楽器から成る小オーケ
ストラが伴奏する。
クリスティアーネ・ストテインは、オランダ出身のメゾ・ソプラノ歌手。歌手
になる前はアムステルダム音楽院で学んだヴァイオリニストだったというユニ
ークな経歴を持つ。声楽はウード・ライネマンに師事し、その後はマリリン・
ホーンやジャネット・ベイカーらにも学んでいる。
64314542 \2080
ベートーヴェン:
交響曲第3番変ホ長調作品55『エロイカ』
[フェルディナント・リース編曲ピアノ四重奏版]
ピアノ四重奏曲変ホ長調作品16
モーツァルト・ピアノ四重奏団
室内楽ヴァージョンによるベートーヴェンの交響曲やピアノ協奏曲は、当時の
社会での音楽受容の様子を知る重要な資料として、近年ますます注目されてき
ている。気軽に家族や友人と流行りの交響曲や協奏曲を家で楽しめることと、
出版社の収入アップの目論みが合致したこともあって、当時は様々な作品が
様々なヴァージョンで出版されていた。
このベートーヴェンの交響曲第3番は、弟子のフェルディナント・リースがア
レンジしたもの。ここで興味深いのは、オーケストレーションの処理。それら
の処理方法によって、編曲者の作品理解や解釈が浮かび上がってもくるという
わけである。ピアノ四重奏曲作品16も編曲作品。モーツァルトの同編成作品に
倣って作曲されたピアノとオーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンのた
めの五重奏曲が原曲だ。但し、こちらは作曲者自身がピアノ四重奏曲版に作り
変えたものである。
モーツァルト・ピアノ四重奏団はこれまでMDGに、ドヴォルジャークのピアノ
四重奏曲集(作品23と87)、リヒャルト・シュトラウスのピアノ四重奏曲作品
13などを録音している
<Arbiter>
ARB152 2枚組 \2950
「モーツァルトからメシアンまで」
CD1
ドビュッシー:“8つの前奏曲” 1981年録音
バルトーク:「ミクロコスモス」より NO 135 “無窮動” 1953年録音
メシアン:アーメンの幻影
(第1ピアノ:ジョン・ランク第2ピアノ:イレン・マリク) 1956年録音
CD2
リスト:演奏会用練習曲“ため息”
ソナタ変ロ短調 1975年6月24日録音
モーツァルト:ロンドニ長調 K485
ベートーヴェン:ソナタ 第24番
シューベルト:即興曲 Op142 No.3
ブラームス:インテルメッツォ Op117No.1
シューマン:幻想小曲集Op12より “夕べに”、“飛翔”
ドビュッシー:「映像」より“水に映る影”
前奏曲より“アナカプリの丘” 1952年録音
ドビュッシー:月の光 1977年6月29日録音
イーレン・マリク(pf)、ジョン・ランク(pf)
録音:1952-1981年
イーレン・マリク(1905-1986)
ハンガリー出身の彼女は第二次世界大戦中、アメリカに移住しその存在が忘れ
られていたが、ARBITERレーベルの社長であるアラン・エヴァンスが彼女のLPを
偶然に入手、その演奏に興味を抱き探索の結果、カリフォルニア州東部の州境
シェラ・ネバダ山脈のそばにある小さな砂漠の町に彼女が住んでいることを知
り、彼女を訪問。インタヴューと、彼女自身の録音の存在を知り、「砂漠の中
のピアニスト」と銘打ったCDを発売したのが2005年2月のこと。翌年、第2弾の
アルバム「バッハからバルトークまで」(ARB149)が発売され、その強烈な個
性とバルトークの直弟子であった彼女の実力が一層評価され、そしてまだまだ
未発表とされる他の録音への期待が膨らんだものであった。
今回は待望の第3弾。「モーツァルトからメシアン」と、選ばれた作曲家の年
代の幅広さにまず驚愕。冒頭に置かれたドビュッシーからかなり個性的で、強
烈な打鍵でバリバリ演奏される“前奏曲”はまるでバルトーク。ゆったりめの
テンポで奏されるメシアン「アーメンの幻影」も不思議な肌触りに満ちている。
CD2で聴ける曲もなんとヴァラエティに富んでいることだろうか。お得意のリ
スト、そしてモーツァルト、シューマン・・・他全てが硬質で実の詰まった音
に溢れ、独特の光を帯びている。録音は1952年から1981年で、多少古めかしい
音もあるが概ね音質は良好。彼女の美質は何一つ損なわれることはない。
3043952 \2080
サン=サーンス:木管楽器とピアノのための室内楽作品集
オーボエ・ソナタ ニ長調作品166
クラリネット・ソナタ変ホ長調作品167
バソン・ソナタ ト長調作品168
デンマークとロシアの歌による奇想曲作品79
ロマンス変ニ長調作品37
アンサンブル・ヴィラ・ムジカ
サン=サーンスは、ベルリオーズの次に登場した19世紀フランスの大作曲家。
交響曲第3番は「オルガン付き」として名高いが、これを聴いたグノーは、サ
ン=サーンスを「フランスのベートーヴェン」と称えている。サン=サーンス
は、最晩年の1921年に(彼の没年でもある)、管楽器(オーボエ、クラリネッ
ト、バソン)のためにそれぞれソナタを作曲した。当アルバムはそれらと、さ
らに初期に書かれた2作品を集めており、結果としてサン=サーンスが管楽器
とピアノのために書いた室内楽の全作品が収められている。管楽器が引き立つ
ように書かれているのは当然としても、自身がきわめて優れたピアニストでも
あったにもかかわらず、ピアノ・パートが出しゃばらないよう慎ましく抑えら
れているのはこの作曲家の才能と性格を表していると言えるだろう。
アンサンブル・ヴィラ・ムジカは1990年結成の団体。MDGレーベルには、これ
までにマルティヌーやヘンツェ、ヒンデミット、ヤナーチェク、キルヒナー、
モーツァルト、ペンデレツキ、ラフ、リヒャルト・シュトラウス、シュポアな
どの室内楽作品集を数多くリリースしている。
34113062 \2080
モーツァルト:鍵盤作品全集Vol.6
序曲ハ長調KV399(385i)[断章]
ジーグ ト長調KV574
ソナタ ヘ長調KV13
アレグロ変ロ長調KV3
ソナタ(第4番)変ホ長調KV282(189g)他
ジークベルト・ランペ(pf) (チェンバロ、クラヴィコード、フォルテピアノ)
ジークベルト・ランペの進めるモーツァルト鍵盤作品全集の第6弾。今回ラン
ペは4種の歴史的楽器を用意し万全を期している。今回はモーツァルトが初め
て書いたピアノ作品を含み、さらにヘ長調とロ長調の2つのソナタ(KV13と15)
は、ピアノ三重奏曲、あういはヴァイオリン(もしくはフルート)・ソナタ
でなく独奏ヴァージョンとしては当アルバムが初録音となる。それらは元々
は、英国王妃に捧げられ、1765年の春に同国で出版された《チェンバロのた
めの6つのソナタ集》に収められたものだ。モーツァルトはその頃は初のヨー
ロッパ演奏旅行中で、1764?65年にはロンドンに滞在し、そこでヨハン・クリ
スティアン・バッハの音楽に触れた。そのためこの作品にはJ.C.バッハの影
響があると言われる。また、パリでの同時代作曲家や、カール・フィリップ
・エマヌエル・バッハの影響を指摘する向きもある。
60614272 \2080
ユーリウス・ロイプケ:オルガン・ソナタ ハ短調《詩編第94番》
マックス・レーガー:ソナタ第2番ニ短調作品60
フランツ・リスト:
バッハの名(B-A-C-H)による前奏曲とフーガ[1855年初稿]
ミヒャエル・シェーンハイト(メルゼブルク大聖堂ラーデガスト・オルガン)
リストは1856年、ロイプケは翌1857年、そしてレーガーは1902年と、メルゼ
ブルク大聖堂で初演された重要な3つの作品を集めたアルバム。リストの《バ
ッハの名による前奏曲とフーガ》は、ヴァイマールでの演奏用に大幅に改訂
された第2版(1870年)が有名だが、ここに収録されたのは1855年に作曲され
た第1版である。(1855年の)メルゼブルク大聖堂のオルガン奉献式用に構想
されたが、実際には式には間に合わず、翌56年に初演された。その年(1856年)
にリストの弟子となったのがロイプケ。1857年には早くも彼の最重要作品で、
ドイツ・ロマン派様式の傑作と評されるソナタを2曲書いている。ピアノ・ソ
ナタ変ロ短調と、このアルバムで聴けるオルガン・ソナタである。詩編94の9
つの詩に基づいて作曲され、初演ではロイプケ自身が ラーデガスト・オルガ
ンを弾いた。
レーガーのソナタ第2番は、リストやロイプケの約50年を経た1901年に作曲。
ミュンヘンで書かれたが、初演は勿論メルゼブルク。レーガーらしい完成度の
高い作品である。「音楽はバッハに始まり、バッハに終わる」と語ったレー
ガーをフィーチュアすることによって、リストに連結するという円環の仕組
みも意図された選曲と言えよう。
ミヒャエル・シェーンハイトは、MDGレーベルに、リスト・オルガン作品集
(現在第2集まで)や「オルガン・ランドスケイプ」シリーズのテューリンゲ
ンの回をリリースしている。
60114442 \2080
90114446(SACD-Hybrid) \2950
フランク・マルタン:
旗手クリストフ・リルケの愛と死の歌
(ライナー・マリーア・リルケの詩によるコントラルトと管弦楽のための)
クリスティアーネ・ストテイン(MS)
ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム管弦楽団
指揮:ヤク・ヴァン・ステーン
ヴァン・ステーン指揮ヴィンタートゥール・ムジークコレギウム管弦楽団によ
るマルタン作品の第2弾録音。前回は7つの管楽器、打楽器と小オーケストラの
ための協奏曲とヴァイオリン協奏曲、そして2つのピアノと小オーケストラの
ための《恐怖の踊り》をリリースしていた(他にも新ウィーン楽派を中心とす
るアルバムがある)。
今回の《旗手クリストフ・リルケの愛と死の歌》は、1942年に歌曲集のための
詩を探していたマルタンが、妻に紹介されたライナー・マリーア・リルケのこ
の詩(1899年)に一目惚れして付曲した作品(ちなみに、ジークフリート・マ
トゥスもアルトとオーケストラのための同名作品を1995年に書いている)。
23曲の独特のスタイルによる歌曲が連なる作品で、アルト・サクソフォーンを
含む管楽器、ハープ、チェレスタ、ピアノ、打楽器、弦楽器から成る小オーケ
ストラが伴奏する。
クリスティアーネ・ストテインは、オランダ出身のメゾ・ソプラノ歌手。歌手
になる前はアムステルダム音楽院で学んだヴァイオリニストだったというユニ
ークな経歴を持つ。声楽はウード・ライネマンに師事し、その後はマリリン・
ホーンやジャネット・ベイカーらにも学んでいる。
64314542 \2080
ベートーヴェン:
交響曲第3番変ホ長調作品55『エロイカ』
[フェルディナント・リース編曲ピアノ四重奏版]
ピアノ四重奏曲変ホ長調作品16
モーツァルト・ピアノ四重奏団
室内楽ヴァージョンによるベートーヴェンの交響曲やピアノ協奏曲は、当時の
社会での音楽受容の様子を知る重要な資料として、近年ますます注目されてき
ている。気軽に家族や友人と流行りの交響曲や協奏曲を家で楽しめることと、
出版社の収入アップの目論みが合致したこともあって、当時は様々な作品が
様々なヴァージョンで出版されていた。
このベートーヴェンの交響曲第3番は、弟子のフェルディナント・リースがア
レンジしたもの。ここで興味深いのは、オーケストレーションの処理。それら
の処理方法によって、編曲者の作品理解や解釈が浮かび上がってもくるという
わけである。ピアノ四重奏曲作品16も編曲作品。モーツァルトの同編成作品に
倣って作曲されたピアノとオーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンのた
めの五重奏曲が原曲だ。但し、こちらは作曲者自身がピアノ四重奏曲版に作り
変えたものである。
モーツァルト・ピアノ四重奏団はこれまでMDGに、ドヴォルジャークのピアノ
四重奏曲集(作品23と87)、リヒャルト・シュトラウスのピアノ四重奏曲作品
13などを録音している
<Arbiter>
ARB152 2枚組 \2950
「モーツァルトからメシアンまで」
CD1
ドビュッシー:“8つの前奏曲” 1981年録音
バルトーク:「ミクロコスモス」より NO 135 “無窮動” 1953年録音
メシアン:アーメンの幻影
(第1ピアノ:ジョン・ランク第2ピアノ:イレン・マリク) 1956年録音
CD2
リスト:演奏会用練習曲“ため息”
ソナタ変ロ短調 1975年6月24日録音
モーツァルト:ロンドニ長調 K485
ベートーヴェン:ソナタ 第24番
シューベルト:即興曲 Op142 No.3
ブラームス:インテルメッツォ Op117No.1
シューマン:幻想小曲集Op12より “夕べに”、“飛翔”
ドビュッシー:「映像」より“水に映る影”
前奏曲より“アナカプリの丘” 1952年録音
ドビュッシー:月の光 1977年6月29日録音
イーレン・マリク(pf)、ジョン・ランク(pf)
録音:1952-1981年
イーレン・マリク(1905-1986)
ハンガリー出身の彼女は第二次世界大戦中、アメリカに移住しその存在が忘れ
られていたが、ARBITERレーベルの社長であるアラン・エヴァンスが彼女のLPを
偶然に入手、その演奏に興味を抱き探索の結果、カリフォルニア州東部の州境
シェラ・ネバダ山脈のそばにある小さな砂漠の町に彼女が住んでいることを知
り、彼女を訪問。インタヴューと、彼女自身の録音の存在を知り、「砂漠の中
のピアニスト」と銘打ったCDを発売したのが2005年2月のこと。翌年、第2弾の
アルバム「バッハからバルトークまで」(ARB149)が発売され、その強烈な個
性とバルトークの直弟子であった彼女の実力が一層評価され、そしてまだまだ
未発表とされる他の録音への期待が膨らんだものであった。
今回は待望の第3弾。「モーツァルトからメシアン」と、選ばれた作曲家の年
代の幅広さにまず驚愕。冒頭に置かれたドビュッシーからかなり個性的で、強
烈な打鍵でバリバリ演奏される“前奏曲”はまるでバルトーク。ゆったりめの
テンポで奏されるメシアン「アーメンの幻影」も不思議な肌触りに満ちている。
CD2で聴ける曲もなんとヴァラエティに富んでいることだろうか。お得意のリ
スト、そしてモーツァルト、シューマン・・・他全てが硬質で実の詰まった音
に溢れ、独特の光を帯びている。録音は1952年から1981年で、多少古めかしい
音もあるが概ね音質は良好。彼女の美質は何一つ損なわれることはない。