韓式中華なるものがある。中華料理の韓国的解釈で、それが微妙に日本とちがっていてかなりオモロイ。場所は生野区今里の色町・今里新地。
界隈はコリアン密集地で、鶴橋のような在日二世・三世の街ではなく、本国から直接やってくる人が多いので、ハングルの飛び交う量もハンパではない。『紫金城』はそんなコリアンの水商売のアガシたちが食べに来る店なのだスミダ。
まずカクテキ・生玉葱・タクアンの3種類と甜麺醤が出て来る。玉葱を味噌つけてバリバリ食うが、辛くて甘い。血流にはよさそうだ。中国東北部では生のニンニクを齧りながら餃子を食ったりするから、その翻案というわけか。看板メニューは炸醤麺(ジャージャー麺)。普通のジャージャー麺の他、「特別…」「海鮮…」「昔の…」「四川…」とあり、唯一日本語が通じる主人お勧めの「昔の炸醤麺¥1200」を注文。韓国人はこの昔の…という言葉に、想像以上の思い入れがあると見える。出てくると優に二人前はある。一人で来るとこれだけで終わってしまう。具は豚ミンチ、ネギ、玉葱、ジャガイモなど。甜麺醤を油で炒め、そこに材料を加えてソースを作る。それを客がキュウリの細切りが添えられた茹で麺(中国では平麺)の上に掛け、韓国流のピビン!一心不乱に混ぜる!真っ黒でギトギト。しかし味は決して濃くない。同胞はここへ備え付けの一味をドッとかけるとみえる。ピリッと来た方が美味いはずハムニダ。
謎のメニュー、ギース麺(下)¥1200も所望。ギース、調べれば雁のことらしいが、何のことはない鶏の汁そば。半透明の干し椎茸みたいな切り身はよく見るとナマコだった。麺は柔らかくスープが薄味で頼りないな~。これはもう一つ、もう三つぐらいである。オムライス¥800にもたまげた。玉子入り炒飯の上に焼きすぎ玉子焼きが一枚ペロッと乗っかっち、Too Muchケチャップがかかる。付いてきた味噌汁もどきがまた辛い汁で汗タラタラ。辛口干豆腐炒め¥900は、六浄豆腐のような麺状の豆腐を使った炒め物で、青唐辛子と一緒に炒めてあり、これがじんわり効いてくる。汗ダクダク、食えば食うほど痩せて行きそう…
他にセロリ水餃子(これはイケる)、ニラ水餃子、春雨炒め、日本式中華からイカ・春巻・海老の唐揚げ、鶏の骨無し唐揚げなど。ハタ目も気にせずシャツイチになり食う。お~大陸的アルね!6人で¥9700。ソウル辺りに行き、友人に「美味い食堂がある」と連れて行ってもらったような、丁度そんな感じ。外へ出ると、目の前は鋼鉄製のドアが光るナントカ総業。安さにウカレて爆竹なんか鳴らしてみると、きっと中を拝見することができるだらうハシムニカ。
韓国式中華料理 紫金城 生野区新今里3丁目10-26