したがって、写真の黒ずんだゴシック建築は「火薬塔(火薬門)」と呼ばれる1475年に建てられた城壁の名物門らしい。実際、17世紀には火薬倉庫として使われていたそうな。こうして見ても異様で、手前の門の彫像どもも頭を抱えて困った風だ。本当はいつあるか分からない爆発に怖気(おじけ)づいているのであろう。
旧市街広場から南東の国立博物館の方へ行くつもりで人通りの多い路地を歩いていった。逆方向に広場へ向かう観光客が多い。皆、白人だ。ドイツ人が多い。次にイタリア人とイギリス人だ。日本人を含め東洋人はほとんど見かけない。日本からチェコはやはり遠い。あとで判明したことだが、この路地は国立博物館があるヴァーツラフ広場の方向ではなく、旧市街広場から東にのびたツェレトゥナー通りらしい。ガイドがいては道にも迷えない。彷徨は一人旅の醍醐味(だいごみ)である。