折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

一期一会~老母96歳の誕生会

2012-05-14 | 家族・母・兄弟
昨日、今月96歳になった老母の誕生会を催した。

我々兄弟4人とその連れ合い及び2人の孫が集まって和気藹藹、楽しいひと時を過ごした。

このところ、「口の中が乾いてうまく言葉が話せないんだ」と口数がめっきり少なくなった老母に代わって一緒に暮らしている長兄から、

・おばあちゃんは、数日前に美容院に行くなど、この誕生会をとても楽しみにしていて、指折り数えて待っていたこと。

・外見だけ見ると元気そうで、とても96歳には見えないが、毎日一緒に生活していると日々体調に変化があり、今日はみんなに会えると言うので朝から顔色が良くて、いつもより元気であること。

・体はこのところとみに衰えているが、頭の方はしっかりしていて、全く「ボケ」ていないこと。

・96歳になっても、おしゃれをするという気持ちを忘れずに、毎日化粧をしていること。

・今年になって、それまでしていなかった「介護認定」の申請をしたこと。

などの近況報告があった。

 プレゼントを手に取って喜ぶ老母(左)、誕生日ケーキのろうそくを吹き消す老母(右)


我々が子どもの頃の思い出話などに花を咲かせているのを横で聞きながら、ニコニコと相槌を打つ老母は楽しそうである。

そして、宴もたけなわになった頃、老母が

「この日が来るのを指折り数えて楽しみに待ってたんだけど、楽しい時間もあっという間に過ぎて、みんなもうじきに帰っちゃうんだ。みんなが一度に帰ると寂しくなっちまうよ」

と、ポッツリつぶやいた。

一瞬、切なさがこみ上げて来て胸をつかれる。

「今度はお盆に会えるんだからそれを楽しみに待っていて」と慰めの言葉をかける。

「そうだね、お盆まで何とか頑張るよ」と老母。

「おばあちゃん、お盆の次は、今度は正月だから」と次兄。

96歳になった老母にとって、子どもや孫たちと過ごせる機会はまさに「一期一会」なのだ、ということを感じさせられた今回の誕生会であった。

誕生日     指折り数え      待つ老母