折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

もう年輪は刻まれない

2007-06-05 | 日常生活
我が家のさくらんぼの木が枯れてしまった。


例年青々と葉を茂らせ、白い可憐な花を咲かせ、赤い実をつけて我々の目を楽しませてくれたさくらんぼの木が、唐突にその一生を閉じてしまった。


そんな事態は予想だにしていなかっただけに、少なからずショックであった。

今の家を建てた時に、玄関の横に小さな苗木を植えた。

爾来27年余、我が家の歴史をその年輪に刻んできたさくらんぼの木であった。


もうその年輪が刻まれることはないのだと思うと胸が痛む。


特に、この数年は大きな赤い実をたくさんつけるようになっていた。

それまでは、余り食べようとは思っていなかったので、鳥たちが啄ばむに任せていたのだが、昨年は実に大きな実をつけたので、鳥に食べさせるには余りにももったいないと、鳥たちと張り合い、赤く実ったさくらんぼを我先にと食したものである。



木を立ち枯れたままにしておくのは良くないというので、いよいよ伐ろうと言うことになって、根もと付近の幹の周りを測ったところ40センチもあり、鋸を挽くのに苦労した。 


『ここまで大きくなったのに、枯れさせてしまって本当にごめん。』


と心の中で手を合わせた。

いざ伐ってしまうと、さくらんぼの木があった辺りだけが歯が抜けたようになっていて、何とも落ち着かず、しっくりこない光景である。

見なれた景色が変わってしまうと言うのは、実に寂しいものである。

近所のお風呂屋さんに植えられているさくらんぼの木が今年も赤い実をいっぱいつけているのを見るにつけ、やるせない思いが募る今日この頃である。