火花で芥川賞を受賞。一躍大人気となった又吉直樹の受賞後初めての作品である。新潮の売れ行きは好調ときく。
読み始めて、彼の風貌、話しぶりが出てきて、作品の人物と重なるのだが、繊細な感情表現などみると、これは創作だなと感じる。
彼の実物は、そこまで繊細ではないのではないかと思えてしまうからだが、文字にできるということは、やはり実際に繊細でなければかけないわけで、神経をとぎすまして作品化しているのだろう。
劇作のアイデアとか、演出のこととか、現実に取り組んでいる彼の仕事とダブっているから、その仕事の秘密とか舞台裏を見せてもらっている感じもある。
大事なことを、隠すというのではなく、拡げて見せてくれている感じがある。そこまで見せなくてもいいのではないか、勿体無いではないかとすら感じる。そこに彼の人の好さを感じさせる。
構えたような、格好つけがまったくなく、好ましい。