ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ヘアスタイル』

2005-04-02 12:58:31 | 新作映画
-----この映画、あんまり乗り気じゃなかったよね。
「うん。最近、この手の若手監督によるオムニバスって
あまりにも多すぎて少し閉口してたんだ。
ただ、ここでは浅見れいなという1人の女優を主演に、
3つのストーリーを語るというところが少し目新しいかな。
ヒロインはそれぞれ別のヘアスタイル。
“おさげ”“アフロアメリカン”“マッシュルーム”。
つまり1人が3つの別人格を演じると言うのがこの映画の特徴。
それぞれアプローチも違っているんだ」

-----アプローチも違うってどう言うこと?
「たとえば第1話は
古エロ本屋の娘と彼に思いを寄せる青年の物語。
青年がいまにも壊れそうな部屋に住み、
着古したセーターに喘息気味と、
70年代初頭の匂いがプンプン。
第2話は打って変わってニューヨーク、ブロンクスが舞台。
ポップな映像の中、今まで食事の支度をしたことのない女性が
日本料理店の料理人(ブラックアメリカン!?)によって
“愛のある”料理に目覚めるまでが短い時間の中に語られる。
第3話は、高校時代にいじめを受けていた女の子が
交通事故で記憶が回復しない憧れの先輩に、
自分はあなたの彼女だったと嘘をつくお話」

-----あれっ。それって『花とアリス』では?
「そうなんだよね。これは『花とアリス』の主要エピソードと同じ。
『花とアリス』は一年半前から、
ネットでいくつかのエピソードが公開され、
その後、3月にはロードショーされた。
けっこうお話の方も有名だよね。
まったく似た設定を使うなんて、
どうしてこういうことになったんだろう?」

-----ふたつを比較してどうにゃの?
「記憶喪失を利用する女性の心理、
どっちがリアルかというのは、
人それぞれだから何とも言えないよね。
となると、あとは、どっちに感情移入できるか?
その点からいくと、ぼくは『花とアリス』だな。
岩井俊二の演出もさることながら、
鈴木杏が役になりきっていて、その気持ちがよく伝わってきた。
もっとも、あの映画は蒼井優の方が印象深かったけど...。
それに比べると、残念ながら、
浅見れいなは、ただ脚本を読んでるだけにしか見えない」

-----3本の中では、どれがよかった?
「2本目のはショートショートみたいなものだし、
比べる対象にも入らない。
となると、必然的に最初のかな。
これって撮影が佐々木原保志、照明が安河内央之。
『ヌードの夜』などで知られる名コンビ。
このふたりが作り出す時代色豊かな映像だけでも観る価値あると思うよ」

      (byえいwithフォーン)

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