----この映画って
さだまさしの歌がモチーフだよね。
あの歌って確か、
アフリカを舞台にしたお医者さんの話。
う~ん。
監督・三池崇史っていうのが
ニャんとも結びつかないニャ。
「あっ、それは分かる。
三池崇史監督には
村上龍原作『オーディション』や
椎名誠原作『中国の鳥人』みたいな
文学作品の映画化もあるけど、
今回は、いわゆるヒューマニズム系の物語。
これまでの彼とはフィールドが違うって感じがしたもの」
----そうそう。
でも、かなり感動していたようだよね。
「そうだね。
まあ、自分がこの手の話に弱いというのもあるけど、
なぜ、いまこの時期に三池監督が本作の企画に乗ったか、
それが垣間見えた気がしたんだ。
フォーンは、最近、
海外、特に紛争地でのジャーナリストの活動が
一部で無謀と言われ、
何か命に関わることがあっても、
それは自己責任と言われていることは知っているよね」
----うん。
この前も
二人が命を失ってしまったよね。
その中の一人は戦場ジャーナリストだった。
でも、今回はお医者さんのお話でしょ?
「うん。
でもそれぞれに、
自分が生まれてきたからには、
少しでもこの世をよくしたいと思っていることに変わりはない。
よく『そんなにまでしてお金が…』みたいなことをいう人もいるけど、
それはそのように批判する人の価値観であって、
ジャーナリスト、あるいはこの映画のようにドクターとなった人が
金銭でばかり動いているとは限らない。
『風に立つライオン』で
大沢たかおが演じる日本人医師・島田航一郎は、
子供の頃にクリスマスプレゼントにもらった
シュアヴァイツァー博士の伝記を読んだことがきっかけで将来の道を決めた、
まっすぐな心の持ち主。
やがて大学の医学部へと進んだ彼は、
ケニアの熱帯医学研究所、そして戦傷病院へと派遣される。
そこで航一郎が目にしたものは、
スーダンの内戦で負傷した少年兵たち。
年端もいかない彼らの命を救えなかった彼は自分の無力さを痛感。
傷が癒えたら戦地へ戻り、また敵を殺すという少年たちの姿を見て、
彼らには心のケアが必要と考えるようになる」
----ニャるほど。
そういえば、この映画、
石原さとみと真木よう子が出てくるよね?
「石原さとみは、
戦傷病院で新たに働くようになる看護師・草野和歌子。
真木よう子は、航一郎が大学時代、
結婚を心に決めていた同僚の医師・秋島貴子。
貴子は長崎の離島で父親が診療所を開いている。
そこを継ぐか否かということをめぐって
彼女にも大きな決断の日が訪れる。
と、こう話してみて思ったけど、
この映画、脚本がかなりよくまとまっている。
冒頭には、3.11震災の跡地に立つアフリカ人青年の姿が…。
途中で、彼が誰かは分かるけど、
“受け継がれる希望”というテーマをうまく表している」
----そういえば、
観る前までは、
この『主題歌』が延々と流れたら
映画の二重説明になってしまうって、
危惧していたよね?
「そうなんだけどね。
ところがそこも問題なし。
いやそれどころか、
『アメリカン・スナイパー』ともつながる、
ある映画的表現でテーマを強く印象付ける。
この歌の中には、
いまの日本について言及した歌詞が二か所ある。
ひとつは
『やはり僕たちの国は残念だけれど何か
大切な処で道を間違えたようですね』、
もうひとつは
『あなたや日本を捨てたわけではなく
僕は「現在(いま)」を生きることに思い上がりたくないのです』。
ちょっとドキッとするこの歌詞の時、
三池監督は映像をどう処理したか…
ここが見モノだね」
----でも、それって
人によって
戦後日本の民主主義否定と取っちゃうのでは?
「そういう逆の見方をされてしまうところも
『アメリカン・スナイパー』と似ているなと…。
でもそれはあり得ない解釈、。
だって、これは日本という土地を離れて
遠い国の人々の命を救う意思の話だよ。
その基本を踏まえれば、
地球で一番重いものが何か…の答は
すぐに出てくるはずだよ」
----ニャるほど。
フォーンの一言「この映画化の話って、大沢たかおがさだまさしに持ち掛けたらしいのニャ」
※「大沢たかおといえば『深夜特急』。そのときの経験も大きいのかもだ度
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