----内田けんじって人、
『運命じゃない人』を作った監督だよね。
確かアメリカの大学で映画を学んだんでしょ。
「そう。サンフランシスコ州立大学芸術学部映画科ね。
8ミリから35ミリ。それに脚本技術までも。
そのキャリアを積んだ上で帰国してPFFに応募。
もう、これは戦略的としか言いようがない。
並みの日本人監督では追いつくのが大変だ」
----そんなに独自性があるの?
「うん。特に脚本がね。
じゃあ、それを分かってもらうために
まずは、この映画のプロットから説明しようか。
主人公は、母校の中学校で働く、人のよい教師・神野(大泉洋)。
彼は今日、親友の同級生・木村(堺雅人)の家へ。
美紀(常磐貴子)を病院に連れて行き、
その出産に立ち会ったばかり。
ところが、学校へ戻った彼を
中学時代の同級生と称する探偵(佐々木蔵之介)が訪ねてくる。
探偵は神野に、今朝撮られたばかりの
木村と若い女(田畑智子)が一緒の写真を見せる。
どうやら、この女はタチの悪いヤクザの情婦らしい。
果たしてふたりは駆け落ちしようとしているのか?
かくして、人を疑うことを知らない男と
人の裏側をばかりを見てきた男による
ちぐはぐな人探しが始まった…」
----うわあ、オモシロそうだ。
でも結局
「なんだ、よくある話だね」で終わっちゃうんじゃニャいの?
「いやいや。
それがそうじゃないんだ。
この映画、実は途中からとんでもない方向へ転がっていく。
“予想不可能”とは、まさにこのこと。
正直言うと、ぼくも二転三転する筋についていくのが精一杯。
上映中、ずっと頭をフル回転させていたつもりだけど、
それでもふと油断すると、
置いてきぼりになりそう----というヤバい瞬間もあったね」
----ふうん。
それってコン・ムービー(詐欺映画)みたいなもの?
「いや、それともちょっと違うな。
この映画を一言で言うと“人生はミステリー”。
自分の見えないところ、
もっと言えば自分以外の人間はミステリー。
その本質を、さりげない視点移動で見せてゆくんだ。
それまで探偵目線で描いていたものが
途中で木村目線に変わる。
すると当然ではあるけれど
それは探偵=主人公から見た木村と大きく違ってくる。
と同時に、ドラマ自体も次のステップへと移って
新たな展開を迎えていくんだ」
----それは俳優も大変だね。
「うん。
自分が、いまどの立ち位置にあるのか。
役の上の相手だけでなく、観客の目線も気にしなくちゃならないからね。
映画はクドカンや 『バンテージ・ポイント』のようなリワインド手法を使い、
“あのとき実はこんなドラマも起こっていた。
ここの真の意味はこうだ----”
と、伏線の見事な回収を見せてくれるけど、
それらの作品に比べて、
こちらはもっとスマート。
しかもそれは人間関係における攻守の逆転というスリリングな場面で
最大のクライマックスを迎えるんだ。
思うに彼はこの作品で
だれのものでもない『内田ワールド』を確立した気がするね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「そ、そんなにスゴいのかニャあ」
※前半の邦画マイ・ベストだ度
人気blogランキングもよろしく
☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※ここからはCM。
映画とは関係ありません。この車も出ていなかったと思います。
↑よかったらCLICKしてみてください。動画が現れます。
『運命じゃない人』を作った監督だよね。
確かアメリカの大学で映画を学んだんでしょ。
「そう。サンフランシスコ州立大学芸術学部映画科ね。
8ミリから35ミリ。それに脚本技術までも。
そのキャリアを積んだ上で帰国してPFFに応募。
もう、これは戦略的としか言いようがない。
並みの日本人監督では追いつくのが大変だ」
----そんなに独自性があるの?
「うん。特に脚本がね。
じゃあ、それを分かってもらうために
まずは、この映画のプロットから説明しようか。
主人公は、母校の中学校で働く、人のよい教師・神野(大泉洋)。
彼は今日、親友の同級生・木村(堺雅人)の家へ。
美紀(常磐貴子)を病院に連れて行き、
その出産に立ち会ったばかり。
ところが、学校へ戻った彼を
中学時代の同級生と称する探偵(佐々木蔵之介)が訪ねてくる。
探偵は神野に、今朝撮られたばかりの
木村と若い女(田畑智子)が一緒の写真を見せる。
どうやら、この女はタチの悪いヤクザの情婦らしい。
果たしてふたりは駆け落ちしようとしているのか?
かくして、人を疑うことを知らない男と
人の裏側をばかりを見てきた男による
ちぐはぐな人探しが始まった…」
----うわあ、オモシロそうだ。
でも結局
「なんだ、よくある話だね」で終わっちゃうんじゃニャいの?
「いやいや。
それがそうじゃないんだ。
この映画、実は途中からとんでもない方向へ転がっていく。
“予想不可能”とは、まさにこのこと。
正直言うと、ぼくも二転三転する筋についていくのが精一杯。
上映中、ずっと頭をフル回転させていたつもりだけど、
それでもふと油断すると、
置いてきぼりになりそう----というヤバい瞬間もあったね」
----ふうん。
それってコン・ムービー(詐欺映画)みたいなもの?
「いや、それともちょっと違うな。
この映画を一言で言うと“人生はミステリー”。
自分の見えないところ、
もっと言えば自分以外の人間はミステリー。
その本質を、さりげない視点移動で見せてゆくんだ。
それまで探偵目線で描いていたものが
途中で木村目線に変わる。
すると当然ではあるけれど
それは探偵=主人公から見た木村と大きく違ってくる。
と同時に、ドラマ自体も次のステップへと移って
新たな展開を迎えていくんだ」
----それは俳優も大変だね。
「うん。
自分が、いまどの立ち位置にあるのか。
役の上の相手だけでなく、観客の目線も気にしなくちゃならないからね。
映画はクドカンや 『バンテージ・ポイント』のようなリワインド手法を使い、
“あのとき実はこんなドラマも起こっていた。
ここの真の意味はこうだ----”
と、伏線の見事な回収を見せてくれるけど、
それらの作品に比べて、
こちらはもっとスマート。
しかもそれは人間関係における攻守の逆転というスリリングな場面で
最大のクライマックスを迎えるんだ。
思うに彼はこの作品で
だれのものでもない『内田ワールド』を確立した気がするね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「そ、そんなにスゴいのかニャあ」
※前半の邦画マイ・ベストだ度
人気blogランキングもよろしく
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※ここからはCM。
映画とは関係ありません。この車も出ていなかったと思います。
↑よかったらCLICKしてみてください。動画が現れます。
おふざけでなく、映画をオモシロく見せる術を心得ている。
でも、次回作のハードルが高いだろうなあ。
出演者のキャラも巧く用いた傑作でしたね。
ノラネコさんにそう言っていただけると、
勇気リンリン。
自信を持って、この映画が好きだと
周囲に話せます。
『内田ワールド』は唯一無比。
これこそ映画ならではの世界という気がします。
観客の心配をよそに、軽々と前作を超えてしまったという感じです。
おっしゃる様に、今現在の誰の映画にも似てない。
二作目にして孤高の世界を確立したと言っていいかもしれませんね。
僕はこの映画は、
“それ”をうたっていたにもかかわらず、
展開が読めませんでした。
でも『幻影師アイゼンハイム』はなあ。
最近は『ミスト』もそうですが、
内容の見せ方が難しい。
キャッチコピー作りも大変ですよね。
>「どんでん返し」を使うと、
>かえって最初から身構えてしまうのでは?
に一票を投じます~。
キャッチコピーもね、サービスし過ぎかな?
逆に、面白さを削いでしまう気がしました。
レビュー拝見しました。
実は、私の周りでは
この映画に「ダマされた」とか
「どんでん返し」を使うと、
かえって最初から身構えてしまうのでは?
と、いうような論議が起こっていました。
う~ん。逆のケースもあるということですね。
私は真剣に見すぎてしまったようです。
アチコチチグハクなところに居心地の悪さを感じながらの鑑賞になってしまいました。
ドンデン系の作品と思っていなかったのが敗因だったと種明かしになって思い至った次第です。
気持ちよく騙されるに限りますねー。この手の作品は(^^;
自分の紹介がきっかけで、その映画をご覧いただき、
なおかつ気に入っていただけると、
早めに観る機会をいただいている自分にとって
こんなに嬉しいことはありません。
この映画、2度目は、構造も分かっているため
それぞれの表情などを追っていたのですが、
彼らに感情移入しすぎてしまい、
思わず胸がつまりました。
これ、けっこう泣ける映画でもあるんですね。
いいですよと言う、えいさんのコメントで、
この映画の存在を知った私です^^
さらに予告編を観て、面白そうだと思って
観に行きました。
この監督の作品は初めてでしたので、後半の
種明かし部分にかなりやられた感を持った
私でした。
えいさんはもう2回目の鑑賞に
行かれたんですね(^_^;)
私は練られた脚本とか映像(見せ方)がすごい
なあと思ったのですが
学校卒業後の愛と友情の物語りにもなっていて
泣ける作品でもあるんですね・・・
いろいろな意味でまた観たい作品です^^
実はこの映画、今日2回目を観てきたのですが、
やはり巧い。
というのも、今回は大筋が分かっているため、
余裕を持って観ていたのですが、
実はそのような
(話題になっている)脚本上のギミック部分ではなく、
「アフタースクール」、
学校を卒業した彼らのその後の人生、
その愛と友情の物語として
“泣ける”作品となっていて、
そこにやられてしまいました。
エンディングに進むにつれて、
彼らの思いの深さが
セリフの一つひとつに込められていて、
大げさでなく嗚咽が漏れそうでした(ちょっと恥ずかしい)。
この映画には、見事にヤラれてしまいました
映画の性質上、あまり詳しい感想は書けませんでしたが、
もう一度、改めて見直してみた時、
違った感想を持つような気がします
よく考えられた脚本と映像だっただけに、
謎を全て分かった上で違った目線でこの映画を観ると、
様々な新たな発見が期待できそうですよね
いやあ、強くおススメした甲斐がありました。
間違いなくぼくももう一回は観に行くでしょう。
そのとき初めて観る人の反応を窺うのも楽しみ。
この映画で何が最も感心したかと言うと、
ある一つの出来事が、
視点を変えるとまったく違ってくる、
それはすなわち
人の数だけ人生があるという
絶対真理を描いていたことにあるという気がします。
人間、だれしも自分中心に物事を考えてしまうもので、
特にその傾向が強い自分なんか
頭をガンとやられた気がします。
もちろん、お話のオモシロさ、
語り口の巧みさは言うまでもありませんが…。
えいさんのお勧めどおりの面白い作品でした。
内田けんじ監督、やっぱりいいなぁ~
この気持ちよいほどのだまされ具合と
裏を返せば・・・というネタバレの出し方のうまさが
絶妙でした。
入れ替え制のない映画館だったら、絶対もう一度観ていたはずです(笑)
kazuponさんのレビュー、この映画の魅力を余すところなく伝えられていて、
拝見しながら、そうだそうだと何度も頷いてしまいました。
映画もヒットしているようで、
ほんとうに嬉しいです。
やられた!と思うくらいめちゃくちゃ面白かったです。
>それまで探偵目線で描いていたものが
途中で木村目線に変わる。
ホントですね。観客が描いていた木村像も
ここで大きく変わる気がしました。
↑書かれてますけど、ほんと感想書くのが
ムズカシイ作品ですよね。ちょっとでも
知ってたら面白くないようなそんな映画ですし。
でもいたってオーソドックスな映画の作り方は
素晴らしいですね。
この映画ほど、その魅力をネタバレに注意しながら語ることが難しい作品は他にないです。
>監督のティーチインで重要なポイントにまつわるエピソード
それは羨ましいです。
ぼくも聞きたかった。
その上でもう一回、観たい。
ほんとうに魅力的な作品でした。
脚本と脚本の中で使われるセリフのなんと奥深いことか!(笑)
監督のティーチインで重要なポイントにまつわるエピソードを伺って「なぁ~るほど~」っと会場の半分以上の人が唸っていました(笑)
そんな意味があそこにも、ここにも込められていたのか~っと(笑)
もう一回見たいです♪