(英題:POETRY)
----これ、昨年の最初の試写で観たんだよね?
「うん。
すっかりここで喋っていた気になっていた。
結論から言うと、
今年ここまでに公開された映画の中では
頭抜けて好きな作品だね。
とにかく、スクリーンを見つめている間、
“映画を観ている”という気にさせてくれる」
----アグネスと言うと、
アグネス・チャンを連想するけど、
ここに写っているのは
かなり年配の人みたい。
どんなお話ニャの?
「う~ん。
これはあんまり、
中身を知らずに観た方がいいんだけどね。
主演は16年ぶりに映画に出演という韓国の名優ユン・ジョンヒ。
脚本・監督はイ・チャンドン。
『ペパーミント・キャンディ』『シークレット・サンシャイン』が人気だけど、
個人的には『オアシス』の衝撃が大きい。
さて、簡単にシノプシスを離すと…。
主人公は、遠く釜山で働く母親に代わって
中学生の孫息子ジョンウクを育てている初老の女性ミジャ(ユン・ジョンヒ)。
詩作の教室に通い、言葉を探す穏やかな日々を過ごしてきた彼女が、
孫息子の事件によって、その日常を脅かされるというお話」
----へえ~っ。
なんてことのないお話に見えるけど…。
その孫息子の事件というのが問題なんだニャ…。
「そう。
彼を含む仲間6人は、
少し前に自殺した少女ヒジンの事件にかかわっていたんだ。
他の5人の親たちはお金で解決しようとする。
だが、ミジャにはそんなお金はない。
しかも、なんと彼女はアルツハイマーの初期症状が出始めていた…」
----うわっ。一気に悲惨な話になっちゃった。
「うん。でも人生って、
たとえ、今はいいように見えていたとしても、
どこでどんな落とし穴が待ち構えているか分からない。
しかも、それは
いくら自分がそれまで正しくつつましく生きていたからと言って
世の中が、まあまあと見過ごしてくれるわけじゃない。
その厳しい試練が
ピュアの塊のような彼女ミジャに襲いかかるんだ。
この残酷な事実――。
もう、それだけで心揺さぶられてしまう」
----う~ん。
「さて、それを軸としながら
この映画が映画としてもぼくの心を鷲掴みにしたのは、
やはり映像だね。
まず観てほしいのがミジャの服装。
ふだんから彼女がきる服は少女のような色遣い。
初老の女性が着るには目立ちすぎる。
韓国版『下妻物語』と言っては言いすぎかもしれないけど…。
ここにはいくつかの意味がある。
ミジャがおしゃれが好きで
自分の人生を楽しんできたこと、
他の人とは違っているという、その特異性を見せること、
落ち着いたトーンの田園風景の中での観た目の効果を出すこと、
そして、それによって映像、物語の両方を弾ませること…」
----服だけでそんなにも?
「うん。その効果が最大限に発揮されるのが、
ミジャが他の人たちを代表して
被害者の母親の元に謝罪に向かうところ。
その母親は野良仕事をしている。
そこに、謝罪には似つかわしくない姿で彼女が現れる。
さて…?
ここは言わない方がいいだろうな。
と、この映画にはこのシーンに代表されるように、
心をざわつかせるシーンが随所に散りばめられている。
まあ、後は何も言わないから
とにかく観て観ることをおススメするね。
エンディングひとつをとっても
人によっていろんな解釈がある、
そんな深みを持った映画だよ」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「ところでアグネスというのは誰なのニャ」
※ヒジンの洗礼名だ度
こちらのお花屋さんもよろしく。
こちらは噂のtwitter。
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☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
※画像はアメリカ・オフィシャルより。
----これ、昨年の最初の試写で観たんだよね?
「うん。
すっかりここで喋っていた気になっていた。
結論から言うと、
今年ここまでに公開された映画の中では
頭抜けて好きな作品だね。
とにかく、スクリーンを見つめている間、
“映画を観ている”という気にさせてくれる」
----アグネスと言うと、
アグネス・チャンを連想するけど、
ここに写っているのは
かなり年配の人みたい。
どんなお話ニャの?
「う~ん。
これはあんまり、
中身を知らずに観た方がいいんだけどね。
主演は16年ぶりに映画に出演という韓国の名優ユン・ジョンヒ。
脚本・監督はイ・チャンドン。
『ペパーミント・キャンディ』『シークレット・サンシャイン』が人気だけど、
個人的には『オアシス』の衝撃が大きい。
さて、簡単にシノプシスを離すと…。
主人公は、遠く釜山で働く母親に代わって
中学生の孫息子ジョンウクを育てている初老の女性ミジャ(ユン・ジョンヒ)。
詩作の教室に通い、言葉を探す穏やかな日々を過ごしてきた彼女が、
孫息子の事件によって、その日常を脅かされるというお話」
----へえ~っ。
なんてことのないお話に見えるけど…。
その孫息子の事件というのが問題なんだニャ…。
「そう。
彼を含む仲間6人は、
少し前に自殺した少女ヒジンの事件にかかわっていたんだ。
他の5人の親たちはお金で解決しようとする。
だが、ミジャにはそんなお金はない。
しかも、なんと彼女はアルツハイマーの初期症状が出始めていた…」
----うわっ。一気に悲惨な話になっちゃった。
「うん。でも人生って、
たとえ、今はいいように見えていたとしても、
どこでどんな落とし穴が待ち構えているか分からない。
しかも、それは
いくら自分がそれまで正しくつつましく生きていたからと言って
世の中が、まあまあと見過ごしてくれるわけじゃない。
その厳しい試練が
ピュアの塊のような彼女ミジャに襲いかかるんだ。
この残酷な事実――。
もう、それだけで心揺さぶられてしまう」
----う~ん。
「さて、それを軸としながら
この映画が映画としてもぼくの心を鷲掴みにしたのは、
やはり映像だね。
まず観てほしいのがミジャの服装。
ふだんから彼女がきる服は少女のような色遣い。
初老の女性が着るには目立ちすぎる。
韓国版『下妻物語』と言っては言いすぎかもしれないけど…。
ここにはいくつかの意味がある。
ミジャがおしゃれが好きで
自分の人生を楽しんできたこと、
他の人とは違っているという、その特異性を見せること、
落ち着いたトーンの田園風景の中での観た目の効果を出すこと、
そして、それによって映像、物語の両方を弾ませること…」
----服だけでそんなにも?
「うん。その効果が最大限に発揮されるのが、
ミジャが他の人たちを代表して
被害者の母親の元に謝罪に向かうところ。
その母親は野良仕事をしている。
そこに、謝罪には似つかわしくない姿で彼女が現れる。
さて…?
ここは言わない方がいいだろうな。
と、この映画にはこのシーンに代表されるように、
心をざわつかせるシーンが随所に散りばめられている。
まあ、後は何も言わないから
とにかく観て観ることをおススメするね。
エンディングひとつをとっても
人によっていろんな解釈がある、
そんな深みを持った映画だよ」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「ところでアグネスというのは誰なのニャ」
※ヒジンの洗礼名だ度
こちらのお花屋さんもよろしく。
こちらは噂のtwitter。
「ラムの大通り」のツイッター
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☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
※画像はアメリカ・オフィシャルより。
詩作という言葉を巡る物語なのに、映像が見事に詩になってるんですからねえ。
これぞ映画。
今年観た中で一番心に残る一本でした。
ぼくは昨年観たので、
それとは少し違っちゃうけど、
今年、公開された映画の中では、
文句なしにベストでしょうね。
その後、観た映画では
ケン・ローチの『ルート・アイリッシュ』が
衝撃度が高かったです。
映画ってこういうもんじゃないの? って久々に思わせてくれる作品。
数年に1本じゃないでしょうか。
奇をてらうわけでも客寄せも何もない、そこにあるものは現実に対峙した自分だけ・・・
それを描くだけなのに、こんなにシンプルで深く難解。 実に申し分なかったです。
この映画、観る人によって
その“顔”を変える映画かもしれないですね。
rose_chocolatさんが“詩作”の観点から
この映画をレビューされているのを拝見して、
いよいよ、その感を強くしました。
あのラストは、
あまりにも映画的で、
いつまでも心に残りそうです。
詩作と暴行事件をこういう風に結びつけるのかと感心させられましたよ。
自分は「詩」については疎いため、
この作品では
他のかたのレビューを拝見して
頷くことしきりです、
実に間口の広い映画だと思います。