ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~ 』

2009-04-26 23:52:02 | 新作映画
ネタばれ注:一部、映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



(原題:Duplicity)

-----この映画ってジュリア・ロバーツの復活作ニャんでしょ。
でも、全米であまり成績が芳しくなかったとか?
「うん。それも分からないでもないなあ。
ちょっと凝りすぎなんだ。
いわゆる男と女スパイの諜報合戦なんだけど、
それぞれがだまそうとしている相手が多すぎる上に、
映画そのものが観客までだまそうとしている。
そうとうに頭をフル回転にしなければ付いていけないから、
多くの人の納得を得るには難しかったんだと思うよ」

----ロバーツの相手役はクライヴ・オーウェンだっけ。
彼、最近よく出るよね。
「そうだね。
彼がジェームズ・ボンドをやらなかったのは、
少しでも多くの映画に出たかったからではないか、と思いたくなるほど。
いや、それとも出なかったから暇になったのか、
う~ん、どっちなんだろう

----ところで、具体的にはどういうお話ニャの?
「B&R社のハワード(トム・ウィルキンソン)とエクイクロム社のディック(ポール・ジアマッティ)は、
日頃から双方を敵対視しているライバル会社の社長。
B&R社は最高機密を守るために、
エクイクロム社は“新製品”の情報をつかむために、
ライバル会社に産業スパイを潜入させようと目論む。
ハワードが雇ったのは元CIAのクレア(ジュリア・ロバーツ)、
ディックが雇ったのは元MI6のレイ(クライヴ・オーウェン)。
ところがクレアはエクイクロム社の二重スパイ。
しかも、かつてクレアはレイを色香でだまし、
そのためレイはMI6を去ったという過去がある。
クレアにとって、レイはもっとも会いたくなかったい相手。
一方のレイにとっては、クレアはずっと探し求めていた相手。
さあ、はたしてふたりは
同じエクロイム社のスパイとして、
うまくやっていけるのか?
――――というのは、表向きの物語で、
このふたりが実は裏で組んでいて、
大金を横取りしようとしていたことが
時制を分解した過去のシーンの挿入により
次第に観客に分かってくるという仕組み」

----でも、そんな因縁があるんだったら
ふたりは仕事がやれないんじゃニャいの?
「そういうこと。
映画は、ふたりがほんとうにお互いを信用しているのか、
レイと同じく観客も
『はて、どっちだろう?』と考えてしまう」

----ニャるほど。だから“スパイはスパイに嘘をつく”か。
それじゃあ
観ていて、こんがらがるのも分からないでもないニャあ。
「そういう心理合戦をストレートに描いてくれればいいんだけど、
映画は、まだまだ二重にも三重にも仕掛けが作ってあるから、
観ていて次第に疲れてくるんだ。
『分かった分かった。もういいよ』って感じ。
そのため、あっと驚くはずのどんでん返しも、
『う~ん。ここまでくればそれもありかもね』になっちゃう。
でもこういう映画、好きな人は好きかも。
冒頭近く、
まったく同じセリフのやり取りが
異なる国、異なる時間の中で二回繰り返されて
『いったい何が起こったのだろう?』と思ってしまう。
そこで迷路にハマってしまうか、
『おっ、やるじゃない!』と思うかが、
この映画にノレるか否かの分かれ目かもね」



      (byえいwithフォーン)


フォーンの一言「フォーンは分からなくなったら、すぐ寝ちゃうのニャ」もう寝る

※目を凝らしてしっかり観るのだ度


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
■亜蘭真さん (えい)
2009-05-14 14:00:09
さすが。
細かいところに気づくのは亜蘭真さんならでは。
返信する
劇場出た時に、ハゲタカ?のポスターが眼に飛び込んできて笑っちゃいました。 (亜蘭真 主美士)
2009-05-12 00:12:48
ラストのジュリアのドンペリの泡の使い方に感心しました!!
返信する
■はらやんさん (えい)
2009-05-03 23:11:56
こんばんは。

トニー・ギルロイについては、
思うこと多々です。
『消されたヘッドライン』のときに、
また書いてみたく思っています。
返信する
こんにちは (はらやん)
2009-05-03 07:14:12
えいさん、こんにちは!

ちょと脚本が技巧に走ってしまった感じがありますね。
ついていくのがたいへんでした。
せめて視点だけでも一定だったら、まだ良かったのかもしれませんが。
技におぼれたというところでしょうか。
返信する
■miyuさん (えい)
2009-05-02 23:12:02
もうmiyuさんったら抽象的。
自分でも「そういうこと」って
なんだっけ?
と読み返してみたじゃないですか。(笑)

実はギルロイ共同脚本の『消されたヘッドライン』も凝りすぎ。
最後、もったいなかったです。
返信する
なるほど (miyu)
2009-05-02 16:58:08
アメリカであまりヒットしなかったのはそうゆうことだったんでしょうね。
でも、批評家に受けたのもそうゆうことだったんでしょうね。
まぁヒネりが効いていて、やっぱりギルロイ監督の脚本は
面白いなぁ~とあたしはなかなか楽しめました。
返信する
■migさん (えい)
2009-04-30 21:41:58
こんばんは。

ぼくもまったく同じ。
最初の人を食ったやりとりと、
それからしばらく続く「繰り返し」によるだまし。
後は、まあそれほどでもなかったかな。
でも、ラストのふたりの表情と
その構図はよくできていましたね。

しかしクライヴ・オーウェンって
ほんとによく出ますね。
返信する
Unknown (mig)
2009-04-30 19:30:00
こんばんは、
オープニングの社長のくだらない喧嘩が一番面白かったです、あとは最後のシーンかな★
クライヴオーウェンはボンドの話もあったみたいですけど、なんだか合わない気がします。
クライヴがなってたらわたしは「007」観てなかったと思います(笑)
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