ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『雲南の少女・ルオマの初恋』

2007-04-24 23:24:26 | 新作映画
(英題:When Ruoma Was Seventeen)

----雲南の棚田って、ユネスコの世界自然遺産になってるんだよね。
何かで見たことあるけど、日本の段々畑とは規模が違うよね。
「そうだね。この映画の監督チアン・チアルイは、
その世界遺産申請の動きに連動した、
棚田を題材とするテレビ番組制作の依頼を受け、
雲南省紅河州を訪問。
実際の風景を目にし、これぞ映画の素材だと直感。
かくしてこの『ルオマの初恋』が生まれたらしい。
以後チアン監督は『雲南三部作』を製作するというから、
彼にとってまさに運命の地となったわけだ」

----へぇ~っ。ニャるほどね。
でもタイトルに“初恋”なんて付いていると
想像がついちゃうよね。
手垢のつかない大自然に生きている少女と
街からきた青年の恋-----。
「あっ、それは当たっているな。
でもただそれだけではなく、
この映画では雲南のハニ族の文化や風習といった、
ぼくなどがまったく知らない世界が細かく紹介される。
たとえば男女の相聞歌とか、
愛を告白する泥玉の投げあいとか、
竜樹の下での巫女の祈祷とか……。
この映画はその中の一人、ルオマが
漢民族のキャメラマン、アミンと知り合うことから
物語がスタート。
この地で写真館を開こうと思っていたアミン。
ところが彼のお金は底をついていた。
そんなアミンの目に止まったのが
外国人観光客たちが民族衣装も可愛いルオマと
一緒に写真に収まろうとする風景。
それを見た彼は、
彼ら観光客からお金を取ることを提案するわけだ」

----ニャんだか、不純じゃない?
「でも、意外とこれってリアルかもよ。
この映画を観ると、
遠い異民族に感じていたハニ族が
実際にはぼくらとそうは変わらず、
ただ民族衣装によって
別世界の人のように見えていただけだということが分かる。
だれだってお金がたくさん、
しかも楽に稼げれば嬉しい」

----ふうん。でも、最初からそうなのかニャあ?
なんか複雑?
「そうだね。
ぼくたちはこういう大自然とともに暮らしている人たちを見ると、
勝手にピュアなものをイメージし、押し付けてしまう。
この映画では、
昆明での出稼ぎから戻ってきたルオマの友だちは
エレベーターがないことを嘆くし、
ルオマも初めて手にするヘッドホンステレオに驚く。
つまり、先進の文化が徐々に
この海抜2000mの地に入り込んでくるわけだ。
アミンが棚田と隣り合わせにバイクで駆け抜けるのも、
その象徴と言えるかも」

----ニャるほど。
そのヘッドホンでルオマが何を聴いたのか、
これも気になるニャあ!
「う~ん。あかしていいのかな。
これがエンヤの『カリビアン・ブルー』」

----中国の高地にエンヤってのもニャあ…。
『冷静と情熱の間』も『スウィート・ノベンバー』も
『ロード・オブ・ザ・リング』もエンヤ。
これぞグローバル化だよね(笑)。
「だから言いたくなかったんだ。
さて話を元に戻すと、
このルオマを演じたリー・ミンは
映画の仕事の関係で、昆明、北京、ベルリンと
新しい都市に行くたびに、
元のところには
もう戻りたくないと言ったらしい。
と言うことは、もしかして
この映画の撮影はとんでもないことを
この地にもたらしたのではないか?
ヘッドホンステレオやエレベーターの存在を
ハニ族に教えてたのも彼らではないかと……」

----ニャるほど、それは微妙だ。
ところでルオマの家族構成はどうなってるの?
「幼い頃から彼女には父も母もいなく、
機を織るおばあちゃんとふたり暮らし。
この構図が映画の切なさをより強める」

----話を聞いていると
よくあるメロドラマって感じだね。
「確かにね。
でも、先ほど話した<少数民族の文化を侵食する都会の文化>という点に
思いをめぐらせると、
この映画の別の側面が浮かび上がってくる。
なんとも複雑な気持ちになったね」


     (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ぼくも旅したいニャあ」小首ニャ


※フォーンと一緒に行きたい度
人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kemukemu)
2007-07-16 20:01:02
こんばんは。
大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。
映画「ルオマの初恋」もとりあげました。
いい映画でしたね。
よかったら、寄ってみてください。
http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611
返信する
■kemukemuさん (えい)
2007-07-16 23:36:38
はじめまして。


先ほど拝見させていただきました。
珍しい写真がいっぱいあって、
とても新鮮でした。
これからも映画と関連する作品がありましたら、
また、よろしくお願いします。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。