----この映画、確か観たのが一昨日じゃなかった。
中一日置いたわけだね。これって珍しくない?
「うん。正直言ってあまりノレなかった。
ところがこの映画、作家たちにやけに評判がいい。
プレスには、中沢けいと佐伯一麦の対談、そして室井佑月の絶賛評。
もちろん宣伝側が意識してそう言う人たちをセレクトしたんだろうけど…。
でも一日置いてみると、別の観点から喋りたいことが出てきたと言うわけだ」
----ふうん。それってちょっと聞いてみたい気もするニャあ。
「ただその前に、この監督・福岡芳穂のキャリアについて話しておこうかな。
これまで彼の名前は他の監督のプロフィールを語るときよく登場した。
と言うのも、彼は1982年に、周防正行、磯村一路、水谷俊之ら
いまの日本映画を代表する監督たちとともに
製作集団『ユニット5』を結成しているんだ。
彼自身はその前年に『ビニール本の女 密写全裸』で
第3回ズームアップ映画祭新人監督賞を受賞している」
----なになに、そのHなタイトル?「ズームアップ」ってのも知らないな。
「いまは廃刊となった雑誌『月刊ズームアップ』。
そこが主宰したピンク映画を対象とした映画祭だ。
けっこう人気がある雑誌だったんだけどね(遠い目)」
----なんか、いやらしいな。分かったから早く本題に入ってよ。
「まあ、このことでぼくが何を言いたいかと言うと、
つまりこの福岡監督はキャリアのあるベテラン。
ぽっと出の新人じゃないと言うこと。
そんな彼が描く新作『愛してよ』は、
シングルマザーの美由紀が、10歳の息子ケイジを
キッズ・モデルとして成功させようとする話。
もともとこの母子の間には溝があるんだけど、
美由紀には新しい恋人が登場。
一方のケイジは美由紀の知らないところで新たな関係が始まり、
その溝はさらに広まって行く…。
簡単に説明するとこう言うストーリーなんだけど、
その中に、一年前に死んだエリカの霊にまつわる都市伝説や
オーディションの本命・高原タカシへの父の虐待など
いくつかのエピソードを絡みあい、物語の奥行きが広がってゆく」
----で、どういうところがノレなかったの?
「つまり、こうやって物語を語ってゆけば、その中でテーマまでも語れてしまう。
じゃあいわゆる<映画>としてのオモシロさはどこにあるのだろう?って…。
確かに、美由紀が持っている花束の花びらが風に舞い、
屋上にいるケイジがその一枚を掴む叙情性とか、
ケイジにしか見えないエリカの霊が彼に自殺を勧める幻想性とか、
オーディションの撮影風景がいつしか観客へのメッセージに変わる異化効果とか、
印象に残る<映像>も多々あるんだけどね。
それでも父から虐待を受けているタカシが、
自分が受けたその暴力を
『お前なんて、生きてる価値、ねーんだよ』の言葉と共に、
ケイジに向けるシーンは違和感を感じないではいられなかった。
一度は背中に棒で、もう一度はグーで顔を。
あれだけボコボコに殴られたら、
体中アザだらけでとても動けないはずなのに、
たいしたダメージも感じさせずに日常に戻ってゆく。
これはどういうことなんだろう?
誰もが突っ込みたくなるようなこんな初歩的ミスを
このベテラン監督がやるとは思えない。
もちろんこれは幻想でも夢でもないし……。
その<謎>がいまも心に引っかかっているんだ」
----それって考えすぎじゃニャいの?
「いや。この監督には考えがあるんだと思う。
そのキャスティングも含め、
映画ファンへの目配せがけっこうあるしね。
第一、冒頭はゴダールの『パッション』だし」
----どんな人が出ているの?
「美由紀には西田尚美。これまでのコメディエンヌぶりとは一変。
子供に自分の趣味を押し付けることで自分をどうにか支えている“子供オトナ”を好演。
その彼女の昔の夫に松岡俊介。新しい彼には野村佑人」
----あっ、分かった。
『800 TWO LAP RUNNERS』で共に主演している。
う~ん、それだけでも観てみようという気になるね。
「フォーンはエラい。ナイスフォローだ(笑)」
(byえいwithフォーン)
※けっこう受けがいいようだ度
人気blogランキングもよろしく
☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
中一日置いたわけだね。これって珍しくない?
「うん。正直言ってあまりノレなかった。
ところがこの映画、作家たちにやけに評判がいい。
プレスには、中沢けいと佐伯一麦の対談、そして室井佑月の絶賛評。
もちろん宣伝側が意識してそう言う人たちをセレクトしたんだろうけど…。
でも一日置いてみると、別の観点から喋りたいことが出てきたと言うわけだ」
----ふうん。それってちょっと聞いてみたい気もするニャあ。
「ただその前に、この監督・福岡芳穂のキャリアについて話しておこうかな。
これまで彼の名前は他の監督のプロフィールを語るときよく登場した。
と言うのも、彼は1982年に、周防正行、磯村一路、水谷俊之ら
いまの日本映画を代表する監督たちとともに
製作集団『ユニット5』を結成しているんだ。
彼自身はその前年に『ビニール本の女 密写全裸』で
第3回ズームアップ映画祭新人監督賞を受賞している」
----なになに、そのHなタイトル?「ズームアップ」ってのも知らないな。
「いまは廃刊となった雑誌『月刊ズームアップ』。
そこが主宰したピンク映画を対象とした映画祭だ。
けっこう人気がある雑誌だったんだけどね(遠い目)」
----なんか、いやらしいな。分かったから早く本題に入ってよ。
「まあ、このことでぼくが何を言いたいかと言うと、
つまりこの福岡監督はキャリアのあるベテラン。
ぽっと出の新人じゃないと言うこと。
そんな彼が描く新作『愛してよ』は、
シングルマザーの美由紀が、10歳の息子ケイジを
キッズ・モデルとして成功させようとする話。
もともとこの母子の間には溝があるんだけど、
美由紀には新しい恋人が登場。
一方のケイジは美由紀の知らないところで新たな関係が始まり、
その溝はさらに広まって行く…。
簡単に説明するとこう言うストーリーなんだけど、
その中に、一年前に死んだエリカの霊にまつわる都市伝説や
オーディションの本命・高原タカシへの父の虐待など
いくつかのエピソードを絡みあい、物語の奥行きが広がってゆく」
----で、どういうところがノレなかったの?
「つまり、こうやって物語を語ってゆけば、その中でテーマまでも語れてしまう。
じゃあいわゆる<映画>としてのオモシロさはどこにあるのだろう?って…。
確かに、美由紀が持っている花束の花びらが風に舞い、
屋上にいるケイジがその一枚を掴む叙情性とか、
ケイジにしか見えないエリカの霊が彼に自殺を勧める幻想性とか、
オーディションの撮影風景がいつしか観客へのメッセージに変わる異化効果とか、
印象に残る<映像>も多々あるんだけどね。
それでも父から虐待を受けているタカシが、
自分が受けたその暴力を
『お前なんて、生きてる価値、ねーんだよ』の言葉と共に、
ケイジに向けるシーンは違和感を感じないではいられなかった。
一度は背中に棒で、もう一度はグーで顔を。
あれだけボコボコに殴られたら、
体中アザだらけでとても動けないはずなのに、
たいしたダメージも感じさせずに日常に戻ってゆく。
これはどういうことなんだろう?
誰もが突っ込みたくなるようなこんな初歩的ミスを
このベテラン監督がやるとは思えない。
もちろんこれは幻想でも夢でもないし……。
その<謎>がいまも心に引っかかっているんだ」
----それって考えすぎじゃニャいの?
「いや。この監督には考えがあるんだと思う。
そのキャスティングも含め、
映画ファンへの目配せがけっこうあるしね。
第一、冒頭はゴダールの『パッション』だし」
----どんな人が出ているの?
「美由紀には西田尚美。これまでのコメディエンヌぶりとは一変。
子供に自分の趣味を押し付けることで自分をどうにか支えている“子供オトナ”を好演。
その彼女の昔の夫に松岡俊介。新しい彼には野村佑人」
----あっ、分かった。
『800 TWO LAP RUNNERS』で共に主演している。
う~ん、それだけでも観てみようという気になるね。
「フォーンはエラい。ナイスフォローだ(笑)」
(byえいwithフォーン)
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そうそう。
美由紀がまったく気づかないのが不思議でした。
かりめろさんがおっしゃるように
それだけ
自分のことでいっぱいいっぱいだったということなのかも。
でもそれって分かるけど、
う~ん共鳴できないという感じでした。
あの暴力シーンそのものには違和感は感じませんでしたが、ケイジがあれほど殴られたあとに美由紀がまったく気付かないところには少し違和感を感じました。それぐらい自分のことでいっぱいいっぱいになっているということを示すのかなぁ?とも思いますが、、、
今日この映画見てきました。
私の地元だったのである意味地元が舞台になるもの良いものだなと思いました。
暴力シーンですが、あれはストレスから来るものです。子供は意外とストレスの発散方法をわからないものですから、それが暴力に走ってしまうのだと・・・
ちなみにこのロケですが、場所があまりにも離れ過ぎていてとても大人でも歩いていける場所でない場面もあったんですよ。廃墟の駅なんか中心部から歩いたら多分大人の足でも1時間半~2時間掛かるんじゃないかな?それ位遠い場所でした。
色々な意味で現代の母子家庭と親子関係を考えさせられました。
ご覧になったんですね。
この映画、地元の方には特別でしょうね。
ぼくが観た試写でも、
新潟にいたと言う方が
終わった後、内容よりも
そればかりが気になったとおっしゃってました。
■PGM21さん
いえいえ、私は新潟市民ではありません。
東京での試写を観たにすぎません。
新潟では先行上映やってるようですね。
ご覧になったら、
ぜひコメントとTBをお願いいたします。
この映画地元新潟しか上映されていないので映画Blogの人気サイトでは誰もレビューしないと思っていたのですが・・・今週末にはこの映画見に行こうと思います。その時はTBさせて頂きますので宜しくお願いします。
特に暴力シーンは・・・意味不明も半分。
当たっていないのもバレバレで・・・
でも新潟市民としては・・・ちょっと頑張ってほしい作品です。