ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『Shall we Dance?/シャル・ウィ・ダンス?』

2005-02-03 23:08:09 | 新作映画
※ネタバレ注(映画をご覧になってからお読みいただくことをお勧めします)

------『Shall We Dance?/シャル・ウィ・ダンス?』って
最初は試写に行くのあまりノリ気ではなかったのでは?
帰ってきたら空気が一変してたね。
「うん。日本映画のリメイクなんてうまくいくわけないと
タカを括ってたわけ。
ところがこれが意外な拾い物だった。今年の初泣き。
あれだけのヒット作だし、いまさらストーリーの説明は必要ないよね。
ハリウッド版もオリジナルとほぼ同じに進んでいくし…。
キャラクターも、そのオーバーアクトも含めみなそっくり」

-----えっ?ということは竹中直人や渡辺えり子みたいな人も出てくるわけ?
「そうだよ。特に渡辺えり子の役を演じたリサ・アン・ウォルターはそっくり。
竹中直人の役のスタンリー・トゥッチもアツ苦しさがよく出てた。
だけど、その役の類似や、どっちが上だとかを言っても意味がない。
今回の興味は、どのような視点からリメイクされたかにつきる。
日本版だと、主人公は(おそらくだけど)西武線の始発近くにようやく一軒家を建て、
ローン返済や子供の養育など、まだまだ人生大変という感じがよく出てた。
ところが、こちらハリウッド版は弁護士、エグゼクティブ。
奥さんも日本版ではパートだけどハリウッド版はキャリアウーマン。
この設定の違いが映画そのものをも大きく左右している」

-----具体的に言ってよ。
「ハリウッド版では、主人公は妻にも家族にも
もちろん社会的、金銭的にもなに不自由ない。
ところが、そんな彼が窓辺に立つ女性の横顔に、
自分の内部と同調するものを見つける。
それは“空白”。
だけどこれは深刻なものではなく、どちらかというと
すべてを手に入れた人間の贅沢な悩み。
そして実は本人もそのことに気づいている」

-----ほんとかなあ?
「つまり、人というのはどこまでいっても完全に満たされることはなく、
常に何かを求めざるをえない者として描かれるわけだ。
また、一方でこのハリウッド版の主人公は実にやさしい。
憧れのダンススクールの先生が落ち込んだ時にも
ウィットに富んだ言葉でその悩みをやわらげる。
そんな彼だけに浮気なんて考えは出てこない。
奥さんのことをほんとうに大切にしてるんだ。
そしてこのハリウッド版の特徴は、
スーザン・サランドンが演じるこの奥さんに、
より強くスポットを当てたことにある。
当然のように、彼女は夫の浮気を疑うわけだけど、
夫はもちろん潔白」

-----じゃあさあ、なぜ奥さんに黙ってダンス始めたの?
「そう、そこが一番のポイント。
日本版ではダンススクールに通ってるなんて“知られるのが恥ずかしい”。
でもアメリカでダンスはそんなに恥ずかしいものではない。
そこでピーター・チェルソム監督が代わりに持ってきたのが“夫婦愛”。
主人公は言う。『いまの生活に不満はない。僕の誇りは君が幸せなこと。
君にダンスのことを言わなかったのは、ぼくの“空白”を知られることで
君を傷つけたくなかったから』(※注:ここ正確ではないです)。
この告白シーンは出色のできばえ。
正装でバラを持って奥さんの仕事場へ。
見守る彼女の仲間たちも感動して涙ぐむ。
これぞ<ハリウッド映画>だね」


(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「男だニャあ」いいねぇ

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28 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いつものように (asa)
2005-02-04 02:13:31
TBさせていただきました。さすが、えいさん、大事なこと書いていらっしゃる!そうですね、「ダンスは恥ずかしいか?」という、日本とアメリカの認識の違いから、この映画で描かれるキャラクターの状況や心理が微妙に変わってきますよね。

そうそう、人気ブログランキングの表示の仕方、えいさんのと似た方法にしてしまいました、スミマセン(最初ブックマークにしてたんですが…思いっきり目立ちませんで)。
返信する
あっ! (asa)
2005-02-04 02:14:48
お礼を忘れてました。私のほうにもTBありがとうございました!
返信する
こちらこそ (えい)
2005-02-04 22:23:58
こちらこそ、いつもありがとうございます。



同じ頃に同じ映画を観ることが多いので、

asaさんの書かれたものはいつもチェックしてます。

インデックスがあるといいな....なんて。
返信する
リチャード・ギアの映画でしょうか! (がちょ~ん)
2005-02-15 12:38:10
ボクはリチャード・ギアのファンです。彼の映画はほどんど観てます。

ギアは、昔のアラン・ドロンみたいに仕事中毒(役に余りこだわらない)の日本人のようでナイスです。

「運命の女」は完全にダイアン・レインの映画になってましたが、今回は真の主役になってますでしょうか?
返信する
昔のアラン・ドロン (えい)
2005-02-15 19:03:52
>がちょ~んさん。



なるほど。昔のアラン・ドロンですか。

うまいところ突いてきますね。

「運命の女」は、リチャード・ギアがあんなにまで情けない役がやれるのかと、

彼を見直した作品でもありました。

ダイアン・レインは.....まあエッチでしたね。

熟女の匂いむんむんぷんぷん。

で、この作品。

リチャード・ギアはオリジナルの役所広司を観て

彼は完璧と、最初は辞退しようと思ったとか....。

でも、けっこう自分の役にしてましたよ。

ただ、スーザン・サランドンが場をさらうんですよね。

返信する
はじめまして! (タケシ(らくだ@))
2005-02-20 10:10:05
TB&コメントさせていただきます!

この映画たった今見てきました。見る前は(やっぱり)「なんだかねぇ」と思っていたのですが、感動しました。胸にぐっとくるものがありますよね。日本とアメリカの文化の違い、夫婦間の違いもうまく描かれていたし、映画に溶け込んでいたと思います。



あぁ、感動を共有できた気がして、嬉しくてコメントさせてもらいました。
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タケシ(らくだ@)さん、こんにちは。 (えい)
2005-02-20 10:31:28
イギリス、ダーラムから投稿していただけるなんて、

ネットって世界を身近に結びつけてくれますね。



私もこの映画は、いい意味で観る前の印象と

観た後の気持ちがまったく異なった映画でした。



映画はやはり観てみなくては分からない-----。

そして、こういう嬉しい出会いがあるから映画派やめられない。

と、改めて思いました。



また、これからも機会があったら立ち寄ってください。
返信する
映画好き集まれ (映画バカなウサコレ)
2005-04-24 14:23:52
ほんと、あまり期待してなかったのですが、いい映画になってましたね。

日本版の良さをそのままに、ちょっと設定をかえて

アメリカらしさ、夫婦の関係をうまく表現していて

泣けてくるほどでした。

音楽もてとも素晴らしくルンルン気分で劇場を出ましたね。(笑い)
返信する
同感ですね。 (えい)
2005-04-24 22:07:25
>映画バカなウサコレさん



はじめまして。



日本版ももちろん素晴らしいですが、

この映画はハリウッドらしいリメイク成功例だと思います。

夫婦愛を謳いあげた、いわゆる愛すべき作品ですよね。



これからもよろしくお願いします。
返信する
楽しめました! (がちょ~ん )
2005-04-27 09:26:45
日本版と比較しないで見た。

小道具もウマクつかって、ビリー・ワイルダーの映画のようだった。

とってもハートフルでアメリカンなギアの映画だ。
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