ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『おやすみなさいを言いたくて』

2014-11-24 15:06:53 | 新作映画
(原題:Tusen ganger god natt=A Thousand Times Good Night)

「う~む。
この映画は惜しい」

----なに、その上から目線の言い方?
「あっ、そうか。
“もったいない”。
いや、これもダメか…。
まあ、話を先に進めるとしよう。
『おやすみなさいを言いたくて』
これはジュリエット・ビノシュ扮する
戦場写真家レベッカとその家族のお話。
映画は、冒頭から衝撃のシーンで始まる。
レベッカがいま密着取材しているアフガニスタン、カブール。
そこでは神聖な儀式に続いて
体に爆弾を巻き付けられている女性が映し出される」

----えっ、それどういうこと?
「うん。
彼女は自爆テロを行なうために
これから街へ連れて行かれるわけだ」

----ええ~っ。
そのレベッカという人は、
それを見過ごすわけ?
「そこなんだよね。
最初に引っ掛かるのは…。
この導入部の顛末は、
少し置いといて、
話を先に進めると…。
この報道で、さらに名を上げたレベッカ。
だが、帰国して家に戻ってくると周りの空気がおかしい。
家族は、彼女の身に迫りくる危険に、
常に怯えて暮らすことに耐えられなくなっているんだ。
とりわけ思春期にある13歳の長女のステフは、
自閉気味で心を開こうとはしない」

----ニャるほど。
家族か仕事か…ってことだニャ。
「そういうこと。
この映画はそんなレベッカと家族の会話を軸に話が進んでいく。
そんな中、もっとも印象的なのがレベッカがステフに語りかける次の言葉。
『いつか、あなたが大人になって
自分を見つけたら
押さえきれない何かが自分の身内にあることが分かる。
私は止めようのない何かを始めてしまったの。
終らせ方を探さないと』

----いい言葉だニャあ。
どこが引っ掛かっているの?
「うん。まずは最初に話したエピソード。
レベッカは西洋人なのに、
どうしてそんな潜入ルポみたいなことができたのか?
実は、この後、彼女はもういちど
同じ形の取材を行なう。
一度、この取材で世界中に顔を知られてしまったレベッカが
なぜまた受け入れられたのか?」

----それは自爆テロ犯たちに“犯罪”の意識がないからじゃない?
イスラムの大義名分があるから、正義の行為と思っているのでは?
「う~ん。
これ以上言うと、
ちょっとネタバレになるかなあ。
いや、ぎりぎり大丈夫か…。
最初のテロの時、
レベッカは、町のみんなに『逃げて!』と声を発し、
テロの被害を小さくしているんだ。
つまり、自爆テロ犯たちにしてみれば
自分たちの義務を邪魔されたことになるわけだ。
でも、なぜまたその彼女を受け入れたのか?
と、このことと、
2回目の自爆テロの時に
彼女に突きつけられる“ある問い”。
それは今のレベッカが直面している問題とも重なる。
そして、この“問い”はあまりにも重く、
仕事か?家族か?というテーマとは
また別に語られるべきではないかと…」

----そういえば
クリント・イーストウッド監督の新作が
『アメリカン・スナイパー』
こちらは少年テロ犯を射殺すべきか否かで悩む話だよね。
「そう。
つまり、そのことだけでも一本の映画ができちゃう。
もしかして、こちらにその答があるかも、と、
ぼくは、『アメリカン・スナイパー』がさらに待ち遠しくなったよ」





フォーンの一言「でも、見ごたえはあるらしいのニャ」身を乗り出す

※原題に引用された“A Thousand Times Good Night”=“何千回ものお休みを”はシェークスピアの『ロミオとジュリエット』からだ度

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