ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ジャージー・ボーイズ』

2014-09-14 17:49:49 | 新作映画
(原題:Jersey Boys)


「さて、
今日はぼくの中で、
本年度の一、二位を争う作品『ジャージー・ボーイズ』のお話」

----えっ、“ジャージー”…
“ジャージ”じゃニャいの?
「フォーン、とぼけているでしょ。
それは『ジャージの二人』、日本映画の方。
こちらは、ブロードウェイでロングランヒットを記録したミュージカルを
大御所クリント・イーストウッドが映画化した超話題作」

----へぇ~っ。
イーストウッドがミュージカル?
ちょっと想像つかないニャあ。
「うん。ぼくもご多分にもれず
子どもの頃にTVで『ローハイド』を見ていたクチだけど、
まさか彼が将来、
アカデミー作品賞受賞作を2本も監督した上に、
80歳を超えてミュージカルを作るなんて夢にも思わなかった。
いや、このことを想像した人は、
当時皆無と言ってもいいんじゃないかな」

----しかし、どうしていまミュージカル?
「う~ん。
正直言って、ぼくもそれを正しく言いあてることはできない。
ただ、この作品を観て感じたのは、
イーストウッドは、
映画で何かを言うということよりも、
“映画そのもの”が好きで、観る人にそれを楽しんでほしいのではないかということ。
振りかえってみれば『ローハイド』以降、
イタリアに渡り、セルジオ・レオーネの下でマカロニウエスタンに主演。
アメリカに凱旋後は、ドン・シーゲルの下で刑事映画への出演でその活躍の場を広げていく。
そして、監督第一作『恐怖のメロディ』がサイコホラー。
以後、ロードムービー、SF、サスペンスと、
ほとんどのジャンルムービーを手掛けた彼にとって、
残っていた監督領域はミュージカルだった…と、
こういうことじゃないかな…と。
そんな中、
ザ・フォー・シーズンズ『シェリー』の大ヒットを飛ばし、
グループの崩壊後も名曲『君の瞳に恋してる』を放ったフランキー・ヴァリの半生を描いたこのミュージカルは
願ってもない出会いだったんじゃないかなと…。
なにせそこには夢あり、仲間との絆あり、
栄光と挫折、そして再起あり。
もちろん、恋もあれば家族の葛藤もある。
で、その中心にはファルセットボイスの天才歌手がいる」

----ニャるほど。
ドラマがいっぱい詰まっているワケだ。
「そう。
そして名曲の数々がね。
歌の入るタイミングなんかも、
映画のだいご味を知り尽くした彼だけあって、
ここぞというところでビシっと決まる。
そして何よりも嬉しいのは、
60年代ゴダール、あるいは今でもウディ・アレンが時折見せる
第四の壁を破る”手法を
オリジナルのミュージカルそのままに、
映画に取り入れていること」

----ニャに、そのニャんとかの壁って?
「ほら、演劇とか映画って
観客とドラマの間には、
ここからは別世界ですよという見えない壁があるでしょ。
で、観客はそのことを暗黙の約束として観ている。
ところが、これをたとえば表現サイドが
登場人物が観客に向かって喋ることなどによって破っちゃうワケだ。
これって、さっきのゴダールやウディ・アレンだから活きる大技。
下手にやるとしらけちゃう」

----それ、
オーソドックスな映画では
確かに観ないよね。
「でしょ。
製作当時83歳のイーストウッドが
この手法を自作に取り入れちゃう。
ぼくは、このしなやかさにとにかく驚いた。
で、それを冒険としてではなく、
映画を楽しむための一手段にしている。
そして訪れる圧倒的フィナーレ。
最近は“シネフィル”なんて言葉がはやっているけど、
彼にこそ、それはふさわしいと、心底思ったね」




フォーンの一言「ジョー・ペシが変わった出演の仕方をしているらしいのニャ」身を乗り出す

「ローハイド」もだ度

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