ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ダーク・ブラッド』

2014-04-03 22:39:35 | 新作映画
(原題:Dark Blood)


----『ダーク・ブラッド』って、
リヴァ―・フェニックスの遺作とされている映画だよね。
撮影中に、急死したんでしょ。
いまごろ公開するニャんて、だれか代役でも使ったの?
「いや。
それが、ありそうでなかった、
思いもかけぬ手法。
無事撮影が済んでいるシーンを編集で繋ぎ、
欠けているシーンの方は静止画などに。
そこに監督のナレーションがかぶさっていくんだ」

----えっ、どういうこと?
「脚本のト書きに近いかな。
撮影されるはずだったシーンの情景、
さらには登場人物の表情、心理までもが語られる」

----それ、ルール違反じゃニャいの?
まるでラジオドラマみたい。
「あっ、そうそう。ラジオドラマ。
それに近いかな。
ただ、その手法を取った気持ち、
分らないでもないんだ。
これはリヴァ―・フェニックスあっての映画。
その“空白”を埋める俳優なんているはずはない。
『ブルース・リー/死亡遊戯』がそうだったように、
代役を使った映画は、そこだけが浮き上がって
かえって違和感を強めてしまう」

----スターにはオーラがあるけど、
ソックリさんにはそれがないということ?
「上手いこと言うね。
この映画の監督ジョルジュ・シュルイツァーは、
そのことを熟知している。
だから、この映画(?)は、
“本来、リヴァ―・フェニックス主演によって撮られるはずだった映画を、
もっとも完成形に近い形で残す”、
そのことが目的だったのだと思う。
他の人が入り込むことによって汚されたくない…という」

----でも、それじゃあ個人映画。
公開する意味はニャいのでは?
「そこが悩ましいところだね。
でも、作り手としては、
やはり観てほしいものだから…」

----で、その観てほしい話って
どんな内容ニャの?
「舞台は、かつてネイティブ・アメリカンが住んでいたアメリカ南西部の砂漠地帯。
そこに倦怠期を迎えているふたりの夫婦
ハリー(ジョナサン・プライス)とバフィー(ジュディ・デイヴィス)、
が、
二度目のハネムーンのつもりでドライブにやってくる。
ところが運転していた車が故障。
朝まで車内で待つと言うハリーに苛立ったバフィーは、
遠くにかすかに見える灯りを頼りに、ひとり砂漠を歩き続け、
そこでホピ・インディアンの血が流れる青年ボーイ(リヴァ―・フェニックス)に会う。
さて、もう後は想像がつくよね」

----mmmm。これは危険なカンケイだニャ。
「そう。
よくあるパターンのね。
ただ、ここに<核>の問題が絡んでくるところが珍しい。
この土地では、核実験が繰り返され、
ボーイはネイティブ・アメリカンの妻を放射性ガンで亡くしている。
そんなことから彼は地下にシェルターを作り、
世界の終末に備えている」

----おやおや。思わぬ展開。
「でしょ。ボーイはちょっとサイコに見えなくもない。
そのシェルターには無数のロウソクがあるし…。
バフィーへの言い寄り方も常軌を逸しているしね。
ただ、内容についてはここまでにしておこう。
もし、<完成形=欠けている部分>のリヴァ―・フェニックスの演技を観たら
いま話したことだって、どう変わっていくか分からない。
だから、これはやはりメモリアルとしてのもの。
一般の映画と同列に論じるのは、ちと違う気がするね」




フォーンの一言「リヴァ―・フェニックスのそり込み、ちょっと変だニャ」身を乗り出す

※変と言えば、ロウソク。
だれがいつ、あんなにもたくさんのロウソクに火を灯したのか気になる度
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