ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』

2013-09-07 12:46:32 | 新作映画

----また、日本映画だ。最近続くニャあ。
「うん。今年は豊作だと思う。
実はこの映画、試写も4回と少なくて
初めは迷ったんだけど、
アンテナがピンと…」

----へぇ~っ。
監督の古厩智之って人、
あんまり相性が良くなかったのでは?
「そうだね。
彼もPFF出身なんだけど、
最初の商業映画『この窓は君のもの』のとき現場で途方に暮れていたとか、
あるいは『まぶだち』で登場人物の心の内を聞かれて
『ぼくにも分りません』なんて話したりで、
あまりいい印象はなかったんだ。
でもメジャーで撮った『ロボコン』あたりから垢ぬけてきて
『ホームレス中学生』もかなりオモシロかったよ」

----今回は、その商業路線?
「いや、そういうわけでもない。
原作は人気作家・喜多川泰が書いたベストセラー。
いま、フォーンに話すためにプレスを一読したんだけど、
これを映画化するために、
監督の方で脚色しているところも多い。
この脚色というのは、
それこそ“映画にする”ためのものであって、
ここはこのように描こうという
監督の考えをはっきり打ち出しているということ。
その軸として主人公・和也をダメな性格に設定。
だから、この映画にはピンと芯が通っているんだ。
物語は簡単で、
『東京は臭い。』と、いかにも行ったことがあるような嘘を突いた
高校生の和也(佐野岳)が、その証拠作りに東京へ。
ところがスカイタワー前で金を盗まれ、
さらには帰りの飛行機に乗り遅れて途方に暮れてしまう。
そこを救ったのが空港の売店員の昌美(杉田かおる)」

----まさか、そこでヤバい関係に?
「まさかまさか。
それどころか、宿を借りながら
あたりまえのようにそこにいる和也に
今のあんたの価値はゼロみたいなことを言い放つ。
その彼女に、別れて住む息子へのプレゼントを私に行くことを頼まれる和也。
かくして、彼の旅が始まる…という話」

----ふむ。これはいわゆるロードムービーだニャ。
「そう。
ロードムービーの魅力、その特徴は、
行く先々で人と出会うことで
主人公が変容していくところにある。
ここでは主人公がやはり変容、
それも成長していく姿が出会いの中で描かれている。
しかも、その出会う人々が
みんないちように『また、会おう』と言う。
いいお話だよね」

----その出会う人々って?
「これはね。
その職種もそうだけど、
それを演じている俳優が見モノ。
昌美の別れた夫で静岡に住む散髪屋の秋山に塚本晋也
デコトラ運転手・柳下にイッセー尾形
知多半島の魚仲買人・島津に嶋田久作
田舎町で一人暮らしの女性に唯野未歩子
その中には、生ける屍みたいになっている人もいれば、
人生掛けて彼に説教する男もいれば、
精神を病んでしまっている母親もいる。
しかもこの映画が巧いのは
彼ら“オトナ”の方を写すことで画としてのおもしろさを出すと同時に、
和也が受け身であることも見せていくんだ」

----それがいつからか逆転するってことだニャ。
「そうだね。
そのころには彼の顔も引き締まっている。
いやあ、最初はヌルイ学園モノのように見えた映画が
こんな形で進展していくとは思わなかったよ」

----じゃあ。
ラストはクラスに戻ってきた和也?
「いや、それが違うんだな。
実は、ぼくはこの映画を観ながら
“こんな風に終ったらいいな”と考えていたことがある。
なんと映画はそのとおりのエンディングを迎えた。
このラストカットは、
そういう意味でも長く記憶に残るね」




         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「若いうちに両親以外のオトナに出会うことは人生に意味があるのニャ」身を乗り出す

※それが将来を決める度


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