清姫蛇塚を出て、
隆光の道標の頭をなでながら
熊野古道に戻ります。
北吉田川に沿ってこんな地蔵や
こんな地蔵を見ながら歩いていきます。
多分今年はこれまでの生涯で
最も多くの地蔵とまみえた年にちがいありません。
すると、右に見えてくるのが「海士王子跡」です。
ここは「くはま王子」とも
「くあま王子」ともいわれているそうです。
「あくま王子」ではありません。「くあま・・九海士」王子です。
昔はこのあたりまで海だったそうで、
ここで海女が海から観音様を
拾い上げたという話が、
道成寺創建に関わる宮子姫の話とつながっています。
今回の歩行の前に、
なぜ熊野古道は迂回をするように
山の方に回っているんだろうと
不思議に思っていたのですが、
そういう地形だったんですね。
これでまた一つ謎が解けました。
きっと日高川が運んできた土砂が
肥沃な土地を作っていったのでしょう。
このあたりの標高は今や10mもあるようです。
重力橋で左折し、
JRきのくに線の重力踏切を渡ります。
ここも予習をしている時、
橋が重力を利用してかけられたとか、
踏切が特殊な構造をしているのか
と期待していたのですが、
全く普通でした。
ちなみに「重力」は地名で、
「しこりき」と読むようです。
その重力踏切を越えたところで、
こんな地蔵を見つけました。
「いぼ地蔵尊」です。
名前の由来はわかりませんが、
きっとお願いしたらいぼが取れた
とか何とかのいわれがあるのでしょう。
6体に前掛けが付けられ、
こちらはさしずめ「いぼ6」という愛称をつけておきましょう。
どれも岡田クンには似ていませんが・・・
でも大勢の人のお詣りがあるといいですね。
県道を渡ると「湯川子安神社」に到着です。
この地方の豪族である「湯川氏」が
城は寒いからいやじゃと言ってここに居館を建てたそうです。
伊賀上野は寒いので、
御坊に越してきたという
義父母とよく似た事情を持っています。
そこから旧村の中を進んでいる時に、
前から来た女性から声がかかりました。
「賑やかな服装で目立ってええなあ。
信号みたいやで」というではありませんか。
そういえばその日の服装は、
緑のズボン、黄色のウインドブレーカーに
赤い帽子でした。
「ありがとう」と言っておきました。
そしてそのすぐ先で、
民家の塀に埋め込まれている石碑がありました。
そこには「石敢當」と書かれてあります。
沖縄にはよくある魔よけの石です。
直進する性質を持った魔物が、
T字路などの突き当たりにある家に
入ってこないように建てたといわれています。
そういえば、ここの石敢當も
T字路の突き当たりに埋められていました。
それも二基ありました。
沖縄出身の方なんでしょうかねえ。
フリーライターの名刺を出して
取材をすればよかったかなあ。
この「石敢當」は手持ちの資料にも
ここにあると書かれてあって、
出会いを楽しみにしていたもののひとつでした。
小さくて見逃しそうでしたが、
見つかってよかったです。
村中を抜けると、
御坊のICにつながる
広い道路に出てそのまま進むと、
野口新橋で有吉佐和子が書いた
川三部作の一つ「日高川」を渡ります。
この小説も読んでみましたが
ま、今回はその話はおいときましょう。
古道は右折して川沿いを下っていきます。
そして御坊大橋を渡ってきた道路を越えると、
「岩内王子跡」に到着です。
かつては日高川の近くにあったのが、
流れの変化で水没してしまい、
こちらに移設されたそうです。
そこから、古道にきっと所縁があると思われる
「熊野川(いやがわ)」という小さい川に沿って進み、
西御坊駅に向かいました。
この川で、熊野古道では初めて
「カワセミ」の姿を見ました。
ジダン曰く、「結構見かける鳥」なんだそうですが
古道では初めてお目にかかりました。
これからどんどん自然豊かなゾーンに
入っていきますので、この鳥とも
お友達になるかもしれません。
ふたたび日高川を越える天田橋からは
日高川の河口が見渡せました。
次回歩いていく部分の地図では、
川沿いに遊歩道がつけられてある
と書かれていますが、
まさかあの川の中にある
堤防のような上を歩くのでしょうか。
途中、波に洗われているところもあるようですが大丈夫でしょうか。
次回はしっかり調べてから
いかなくてはなりません。
そんなことを考えつつ
国道42号の歩道をてくてく歩き、
本日の歩行の終点西御坊駅に到着しました。
ここから、「旧御坊臨港鉄道」、
現在日本一短いローカル線(全長2.7キロ)として運行されている
紀州鉄道に乗り、御坊駅まで帰ったのでありました。
ここで訂正。
紀州鉄道は車両を三台保有しているそうです。
しかもそれは日本で唯一の
営業用2軸気動車だそうです。
撮り鉄クンにはたまらんでしょう。
さて次回からは、古道だけでなく
エリアそのものがほとんど
未知の地域に入っていきます。
楽しみではあるのものの
ますます遠くなる一方なので
少し頻度が少なくなるかもしれませんが
着実に進めていきたいと思いつつ
最後は少し駆け足になりました。
御坊彷徨、これで終わり。