ハブ ア ナイス doi!

いつまで続くのかコロナとの戦い。
全て解放されて、もっと、もっと
心から楽しまないとねえ。

親父の詩(うた)

2007年12月21日 23時01分34秒 | 生活

戦前、戦後の時期に
計り知れない苦労をしてきた我が親父。
齢86歳を迎えるが、
今なお驚くほど元気だ。
毎朝、早朝暗いうちに起きて
散歩に出かける。
その歩く距離たるや
どうも半端ではなさそうだ。
なさそう、
というのも散歩コース図を
作っているわけではないし、
一緒に歩いているわけでもないので、
人からの伝聞で
その行動を推察しているからだ。

「昨日の朝、
高石の駅前でガードレールに
脚をかけてストレッチしてたで」
とか
「○○あたりで、
鳥に餌をあげながら歩いてたで」
とか聞くと、
そのテリトリーの広さに驚くばかりだ。
きっと、
中国の大自然の中で生きている
野性のパンダよりは
広いテリトリーを持っているだろう。
そのうち、
こっそり靴なんかに
発信機をしこんでおかんと、
認知が入ってきたりすると
どこにいってるのか追跡が大変だ。
受信機のアンテナを持ちながら、
こっち方面からの信号が強いぞ、
なんてやらないといけないかもしれない。
まったく、
笑い事で済ませてほしいものだ。

それに、
また彼の行動はユニークだ。
近所の犬にも餌をやったりしながら歩くもんだから、
犬にもすっかり顔なじみで、
人が通るとワンワンほえまくる犬でも、
親父に向かっては
黙ってちぎれるほど尻尾を振るらしい。
もちろんそんなことはしていないが、
番犬のつもりで
犬を飼っている家に
空き巣に入ることだって、
お茶の子さいさいだろう。

以前、近所の家から、
「お宅のお父さんに、
うちの家の犬に
あまり餌を与えないように言ってくれますか」
という苦情が入ったことがある。
事情を聞くと
どうも親父の餌のおかげで、
犬が糖尿になったらしい。
そのうち近所の動物病院から
表彰されるかもしれませんな。

他にも囲碁、太極拳、政治活動にも熱心で、
たまに大物政治家から
電話がかかってきたりするので
驚くことがある。

そんな風に、
昔の苦労を乗り越えて、
今やバラ色の余生を送っている親父。
最近は、
カラオケにも熱心で、
たまに歌いに行って帰ってくると、
興奮冷めやらぬ様子で、
茶の間で寛ぎながら
一人で反省会をしながら歌っている。
前に凝っていた曲は

「華」

「泣きなさ~い、笑いなさ~い」
と歌っていたりすると、
こっちが泣けて笑けてしまったもんだ。
それが最近は、
どうやらあの

「千の風になって」

に打ち込んでいるらしい。
「私のお墓の前で泣かないでください」
なんて、
年齢が年齢だけに、
微妙にリアルだ。

そうそう最近、
こんなこともあった。
この「千の風―」を
親父が階下でうなっているのを
二階で聞きたくもないのに聞いていたときだ。
よく聞くと、何やら変な音が混じっているのだ。
あ~、
この前買ってあげた
カセットの調子が悪いのかなとも思ったが、
どうも違うようだ。
降りていってこっそりみてみると、
なんと親父の横で、
我が家の愛犬グーも
一緒に歌っているではないか。
これには驚いたねえ。
「今日のわんこ」
にデビューできるかもね。

それにして
も親父、
今はきっと幸せなんやろうな。