ハブ ア ナイス doi!

いつまで続くのかコロナとの戦い。
全て解放されて、もっと、もっと
心から楽しまないとねえ。

腐海の森に似て

2006年12月26日 23時21分39秒 | 自然

淀川に、
ウォーターレタスという外来植物が
はびこっているというニュースをこの前やっていた。
これは、
和名をボタンウキクサという
アフリカ原産の浮き草で、
驚異的な繁殖力を持つ植物らしい。
日本の生態系の中では、
あの害草として悪名高い
ホテイアオイ
をも駆逐する勢いで繁殖するという。
この植物、
多分観賞用にされていたのが捨てられ、
淀川のわんどで異常繁殖をしているらしい。
水面をびっしり覆って繁殖するおかげで、
水中に光が届かず、
植物プランクトンが繁殖できないので、
そのプランクトンを食べて育つ魚類などが
繁殖できないという、
食物連鎖の分断が起こっているらしい。
魚がいなければ、
捕食者の鳥も繁殖できないという影響までは
まだ報ぜられてはいないが、
放置しておけば
いずれそういう事態に陥ることは
目に見えている。
そしてこの植物の異常繁殖で、
今、一番深刻な影響を受けているのが、
ただでさえ生育環境を奪われて激減し、
国内希少野生動植物種に指定されるとともに
天然記念物にも指定されている

「イタセンパラ」

これだけなら、
ま、いわゆる外来生物による
在来の生態系への影響のニュースなのだが、
実は僕の頭をチクチクさせたのは、
この後の記事だった。
このウォーターレタス、
枯れて腐ると大量の硫化水素を発生させるらしい。
ホテイアオイでも、
嫌気的に腐ると同じようになるのだろうが、
異常な繁殖力をもつ植物は
おしなべて
水中の窒素やリンとともに
硫安などの
吸収力が強いために、
腐ったときの硫黄分の流出量が多いのだろう。
発生した硫化水素は水に溶け、
イタセンパラの生育環境である
ワンドに住む生物の生育環境を
さらに破壊していくことになる。

ん?待てよ!
これってどこかで聞いた話に似ているぞ。

そう、
あの、

「風の谷のナウシカ」

に出てくる
腐海の森の話に似ているのです。
自然が自浄作用を働かせるときに、
瘴気を放出するというあの腐海の姿に。

我々が河川に放流する大量の富栄養分は、
火の7日間に、地表を焼き尽くした巨神兵のように
水環境を犯していく。
そして、
それを浄化するかのように
繁殖するウォーターレタスが
瘴気を放ちながら土に還っていく。
まさに、
腐海の姿そのものだ。

「風の谷―」では
象徴的な生物である王蟲(オーム)や
人間の心の強さ、
優しさが複雑に絡み合って、
ストーリーを形成しており、
作者は、
全7巻を描き終えてなお
描ききれなかった部分が
たくさんあると巻末で述べている。

たしかに、
映画のストーリと
原作漫画のストーリーは大きく乖離しているが、
根本に流れているのは、
人間は自然を支配できないが、
自然は人の心と確かにつながっているという事だろう。
淀川のウォーターレタスの記事を眼にしてから、
また引っ張り出して読んでみた

「風の谷のナウシカ」



は、
非常に示唆に富んだ名作だなあと
改めて思ったdoironでした。

読みたい人、お貸ししまっせ。