雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

外科医

2009-01-04 20:25:18 | 
BOOKOFFで100円で買ったリチャード・
カリール著"外科医"を読みました。
実際に外科医のカリールが自分が若かった
ころの出来事を書いたものです。
著者はシカゴの大学病院で外科医として
働きました。
そこは貧困層の人たちの病院です。
どうしようもなくなってから病院へやってくる
人たちが多いためすでに病気が悪化しています。
不良グループの抗争でナイフで刺されたり、
ピストルで撃たれたりした人も担ぎ込まれます。
水曜に生活保護費が郵便で配達されるため
人々は水曜には家に帰りたがります。
この日に予定を入れることは嫌がられます。
なぜなら郵便受けに張り付いていないと
奪われてしまうおそれがあるからです。
日に何人も手術をこなし、レジデントの教育をし、
外来患者を診ます。
ほとんど眠ることが出来ない日々が何日も
続きます。
宗教上の理由で輸血拒否されて輸血なしでの
手術にのぞんだり、親の虐待で頭にひどい
やけどをおった赤ちゃん、そしてその赤ちゃんは
病院の職員の願いもむなしく母親の元に
戻されます。再度病院へその赤ちゃんが
やって来た時は死んでいました。
同じ医者へのがん告知と、亡くなるまでの
治療。
そして自分の息子が腸の病気を抱えて
生まれてきます。その闘病が1年あまりも
続きます。奥さんががんばってめんどうを
みます。病気を克服しその後は元気に
育ちました。

とてもたいへんそうな生活なのですが、著者は
いっこうにそれを苦だとは思っていない
ように感じられます。
むしろいろんな症例に出会いたいがため
忙しい病院を選んだということです。
寝る間もなく忙しいと聞くとたいへんだねと
いいますが忙しいということは充実感が得られ
幸せな気分に浸れるということでも
あるわけです。

貧困は病気の予防、病気の知識に無知だと
よく出てきます。
私は一般的な普通の生活をしていると思います。
でも医学知識なんて何から得たかといったら
テレビか新聞で耳にした、目にしたぐらいの
ことしか知りません。
無知だというのはどういうことをいうの
でしょうね。

ER緊急救命室という番組がありました。
お医者さん、看護師さんがただただ忙しそうに働いて
いるのを見せられて、見終わってみるとこれといった
ストーリもありません。
それなのになぜ見ていたかというといっしょに
忙しく働くということを擬似体験して満足感を
得ていたためではなかったかと思います。

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