雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

黄泉がえり

2012-12-21 20:38:18 | 

梶尾真治著"黄泉がえり"を読みました。
亡くなった人がよみがえって帰ってくる話です。
恐ろしい話なのかなと思っていましたがそんなことは
ありませんでした。
熊本が舞台です。
よみがえってくる人がいっぱいいます。
市役所に死亡届を取り消して欲しいといってくる人で
あふれています。
児島雅人のところは27年前に亡くなった父親がよみ
がえってきました。
雅人は現在38歳で、父は35歳で亡くなっていて
その時の姿で帰ってきました。

雅人の部下の中岡秀哉のところへは兄の優一が戻ってきました。
兄は子供の時におぼれる秀哉を助けて自分は亡くなりました。
とても優秀な頭脳を持っていて弟をかわいがっていました。
彼は子供の姿でよみがえりました。

秀哉が好きになった女性の相楽玲子のところへは交通事故で
亡くなった夫の周平が帰ってきました。

雅人の会社の元社長も帰ってきました。
マーチンという女性歌手も戻ってきました。
その数は何万人にもなります。
この現象は熊本だけの出来事です。
戻ってきた人にはずっと思い続けてくれた人がいます。
その人のところへ現れました。

中岡優一はどんどん情報を吸収していきます。
仕事を見つけて稼ぎさえします。
短い期間にどんどん体も成長していきます。
優一は弟や相楽周平と黄泉がえった人を支援する会社を
立ち上げるまでになります。

雅人の母は病気で入院しました。
もう数ヶ月の命です。

黄泉がえった人同士は何か繋がりを感じています。
協力して人を穏やかな心にすることができます。
病気の人を治すこともできます。

マーチンは積極的に歌を作りCDを作成します。
その歌は人々の心を掴みました。

数ヶ月がたちやがて黄泉がえりの人々は自分たちが
特定の日に去ることになることを感じとります。
その日に地震が起こり自分達は消えるとまわりの
人に打ち明けます。

優一は自分たちが別のものの一部分に過ぎないと
知ります。
そのものは生物といえるものかどうかわからないもの
ですが宇宙を移動できます。
地震のエネルギーを取り込んで自分のエネルギーとします。
しかしあまり大きな地震のエネルギーを取り込むと
それ自身が消滅してしまいます。
今度起きる地震はそれほど大きいものだといいます。
そのものは熊本から離れるだろうと優一は思います。

その日までに準備します。
優一は弟が黄泉がえり支援の仕事を失う代わりの
仕事のため特許を取れるよう計らいます。
雅人の父は優一の力を借りて死期が迫った妻の病気を
治します。

地震は数秒で収まりました。
人間に好意を持った不思議なものは自分を犠牲にして
地震を抑えました。
黄泉がえり達は消えました。
しかし一人相楽周平はどういうわけかこの世に残りました。

不思議な物語です。
こんなに大勢の人が戻ってきたら大騒動が起きそうな
ものですがそんなこともないようです。
生きていたときより穏やかになっていて家族にうまく
受け入れられています。
そんなふうに求められる人だけがもどってきたのでしょう。
少しの期間でしたが生きていた人も黄泉がえった人も
充分に思い残すことなく話し、行動することができた
ことでしょう。

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