書く仕事

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理科離れと工学系大学

2007年06月02日 12時54分52秒 | 日記
高校生たちの理科離れが進んでいるといわれています。
特に物理は嫌われる傾向にあるようです。
考えられる一番大きな原因は、入試で物理を取らなくてもよい大学が増えたことでしょうか。
このことで、一番困っているのが工学系学部における大学教育の現場です。
機械にしても、電気にしても、建築にしても、物理を全くやっていない学生に教育することはほとんど不可能です。
しかし、実際にはそのような学生が現実に入ってくるわけですから、なんとか教育しなくてはならない。
そこで、考えられたのが基礎教育の補完授業です。
高校で物理を取らなかった学生や、物理や数学が不得意な学生に、能力別にクラス分けして、きめ細かい基礎教育授業をやるのです。
これはある程度効果を挙げており、なんとか工学教育の体を成すようになっています。
ただ、これはやはり健全な姿とはいいがたいと思います。
本来高校で済ませているべき授業を、大学に入学してからやるわけですからね。

理科離れの原因をもう一つ考えるならば、「少子化」が上げられると思います。
少子化によって、相対的に、大学の門が広くなって、えり好みをしなければ、誰でも大学に行けるようになりました。
今の常識からは考えられませんが、昔は大学の絶対数が少ない上に、18歳人口が今の倍近くありましたから、国公立私立どんな大学でも狭き門だったのです。
うかうかしていると5つ受験して5つとも不合格で、行くところがないので浪人するというパターンが現実にあったのです。
でも、今は、大学全入時代です。
受験生より、大学の定員の合計値の方が遥かに多い。
すると、大学もできるだけ、受験科目を少なくして、受験生に媚を売らざるを得ない状況になるのです。
真っ先に削られるのが、勉強するのが難しい「物理」だというわけですね。

大学が倒産する時代です。
最近も、九州の某大学の工学部で、来年度の募集を行わないことが発表されました。つまり、4年後には(今の1年生が卒業したら)廃校するということです。
このような時代がこれからも続きます。
文科省も、大学の淘汰は黙認の状態です。
大学も一般企業と変わりません、がんばらなければ倒産する時代になりました。

私の場合、企業出身者ですから、「経営が成り立たなければ倒産」は当たり前の世界を知っていますので、特にそれがどうした?と思いますが、大学しか知らない先生方は戸惑いが大きいようですね。
いや、戸惑っている先生はまだ救いがあります。
戸惑いをきっかけにして自分を変えて行けますから。
しかし、そのような社会の変化自体に気づいていない先生方も何割かいらっしゃいます。
大学は象牙の塔であり、何びとも侵すことができない、なんて、思っているわけで。
大学が倒産してから気づいても遅いと思うのですが...

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8 コメント

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大学って何? (ふくたろう)
2007-06-02 16:18:28
大学って、学問を学ぶ所ですよね
就職に有利だとか、学歴が欲しいからって人には
肩書きを与え、ちゃんとお金を頂き。
真剣に学びを欲する者には、その場を与えればいい
そんな簡単な事が、現実的でないのが日本ですかね
本来教育とは、入り口は広く出口は狭いものでしょう

教育の現場が、より自由でバランス感覚のある事を祈ります
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>ふくたろうさん (coollife)
2007-06-02 22:33:05
入学してよかったと、学生が思ってくれるような大学にしたいですね。
学生の立場から見て良い大学でなければ、大学としての存続が出来ない時代になってきたようです。
こうあるべきだというのは、その次の話なんですが、まず、こうあるべきということから議論する先生が多くて困ります。
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時代は変わる (ふくたろう)
2007-06-03 17:27:26
需要と供給・・
教育現場の人間が
それを見据えた上で
自己の理念を貫き通す事は
困難でしょうか?
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>ふくたろうさん (coollife)
2007-06-03 23:16:01
多少厳しい見方になってしまいますが、自己の理念を貫いていたら、いつの間にか大学が廃校になってしまっていた、というのが現実なのです。
悲しいことですが、その現実をこの数年間に、九州近県で3大学が経験しました。
おそらく4大学目もスタンバイしています。

ただ、私の考えでは、その理念が、学生の育成という真の目的から遊離して、教官の自己満足に陥っていたというのが真相に近いと見ています。
例えば、学生が自分の本当の子供だったら、本当にそんな高邁な理想を掲げますでしょうか?
理想は置いておいて、その子がなんとか世の中で一人立ちできるように、一人前になるようにがんばるはずです。
学生に対しても、そうあるべきだというのが私の考えです。
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育成 (ふくたろう)
2007-06-05 03:34:52
僕は職人です
最近、新人が配属されて来ました。
不器用で、全くの素人です。
技術的な事も含めて、本人のセンスが大きく作用します。僕にはタイムリミットはありません、本人次第ですから。しかし一般的には3年が目途です。3年間で決まると言っても過言ではありません。そこから先、伸びるかどうか見極める節目でもあります。逆に言えば、僕にとっても3年が勝負です。
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>ふくたろうさん (coollife)
2007-06-07 21:39:57
石の上にも三年と言いますが、何かひとつのことをやろうとすると、三年が目途なんでしょうね。
新人の育成もそうかもしれません。
大学の場合、三年間勉強した後、四年生になって卒業研究に生かすという意味で、やはり三年なんですね。
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サイクル (ふくたろう)
2007-06-08 23:11:15
そうなんでよね
3年と云うサイクルが一つの節目になってる。
3年の間にがむしゃらに生きようが、単なる時間の浪費に終わろうが、結果として開けて行く・・・・。なんとも不合理で不条理な話ですが、時間の魔術みたいなものを感じます。
マヤ暦では52年が一つのサイクルらしくて、また次のサイクルへと繋がるそうです。
52歳にして長老の仲間入りだそうです。
僕は出遅れたらしく、54にして長老の仲間入りしたようです。やっと面白くなって来たと思っています。
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>ふくたろうさん (coollife)
2007-06-09 18:50:13
52年とは、ずいぶん長いサイクルですね、マヤ暦は。
日本の還暦のようなものでしょうかね。
私は今、53才ですので、長老の仲間入りをしたようです。
でも、年をとると、今まで見えなかったものが見えるようになるし、結構楽しいこともありますね。
老いを楽しんで行きたいと思います。
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