書く仕事

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「あつあつを召し上がれ」小川糸

2014年10月28日 08時00分18秒 | 読書
「あつあつを召し上がれ」小川糸



人は生きるために食べるのか? 食べるために生きるのか?

この究極の2択問題に第3の選択肢を与えてくれる短編集.

第3の選択肢は,「食べることは生きることである」 かな.

人は一生のうちに,沢山の出会い,別れ,見送りを繰り返す.

その度に,喜びの光と悲しみの嵐が心を翻弄する.

その光と嵐の中で,光はより明るく,嵐には避難小屋の暖かさを与えてくれるもの.
それが「美味しい料理である」

7つの小さなお話からなる短編集だが,私のお気に入りは,「親父のぶたばら飯」
食べることの喜びが心の底から伝わってくる.
付随する物語がハッピーなのも良い.

悲しい物語は,やっぱり悲しいからね.

最初の「バーバのかき氷」も良い.
食べ物という範疇からはちょっと微妙だけど,死が近いおばあちゃんが,目で訴えたリクエストを孫娘がひらめきで感じ取る場面にグッと来た.

いずれも,佳作だ.
喜びか悲しみかの差はあるけれど,人の一生の大波小波に必ず寄り添ってくれている「料理」

この本を読んだ後で,カップ麺を食べる気には決してならないだろう.