書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「そのときは彼によろしく」市川拓司

2010年05月16日 13時52分52秒 | 読書
「そのときは彼によろしく」市川拓司



小さなアクアプラント・ショップを営むぼく,アルバイトに応募するためフラッとやってきた美しい女性,花梨,幼なじみだけど病気のため十数年眠り続けている佑司の3人の不思議な,ラブファンタジー.
キーワードは「夢」.
ファンタジーだから科学的にはあり得ない話.
つまり,夢の中で人と人が会話して,それが夢が覚めてからも両方の共通の事実として残っているというようなね.
しかも会話だけじゃなくて,昏睡状態から覚めることを夢の中の会話を通して導くことも可能となるという話.
恋というものに,人はこれほどまでに純粋になれるものなのか?
人生の垢にまみれたcoollifeには想像も出来ない感性です.
しかし,こういう人生もあって良いなと,思ってしまう.
愛する人の目が覚めることをただひたすら待ち続けるだけの毎日.
恋に対する純粋さは評価が分かれるかもしれないけど,自分がやるべきことを淡々とこなしていくことの尊さをメッセージとして伝えてくれる点については,惜しみない拍手を送りたい.
人生は人それぞれ.
大統領になる人もいれば,職人を目指す人もいる,ホームレスで一生を終わる人もね.
しかし,どの人生も同じ重さを持っているということが,この本からは伝わってくる.
ここが良い.
ちなみに,作者はミリオンセラー「いま,会いに行きます」の著者.
小学館文庫からも文庫本として出ている.