書く仕事

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「ナイチンゲールの沈黙」海堂尊

2009年09月12日 15時30分26秒 | 読書


「チームバチスタの栄光」に続く第2作.
前作と同じく,東城大学医学部付属病院が舞台.

ただし,前回のミステリー色はかなり薄まりました.
もちろん,真犯人あての謎解きもありますが,歌で映像情報を伝達するという脳科学よりのSF小説の要素あり,眼球に発生する子供のガンのため眼球を摘出されてしまう子供たちの悲劇あり,今回の主人公小児科病棟の看護師浜田小夜の暗い過去あり,盛りだくさん満艦飾のエンタテイメント小説になっていますね.
映画化を意識したかな?

海堂さんて現役の医者(勤務医)なんですね.
だから,大学病院の組織の壁とか,看護師と医師間の軋轢とか表現にリアリティあります.

読んだあと深い感動が残るってな小説ではありませんが,ストーリー展開の見事さ,登場人物のセリフの面白さは「バチスタ」と同じく,超満足です.
一つだけ難点をいうと,前作で舞台の雰囲気を前半と後半でガラリと転換させた厚生労働省の役人・白鳥に加えて,警察庁からこの事件のため現場に出向してきた加納警視正が活躍します.活躍するのはいいんだけど,白鳥vs加納のダブルキャラになり,ストーリーのリード役の焦点がボケちゃった感が否めません.
もともと,田口先生という押しも押されもせぬボケ役がいるんだけど,突っ込み役が2人もいてどうするんじゃい?みたいな印象があるわけですね.
もちろん,コース料理だって,メインに肉と魚のダブルメインのフルコースがあるわけだから,小説だって,強烈なキャラがいっぱい出てきても「OK!」という人もいるでしょう.
でも私は体力ないし(?!),少人数で,すっきり・はっきりした物語の方がよかったかな,って思いました.
ま,ケチをつけるとしたら,これくらいかなということで.