小規模の賃貸マンション。依頼者はマンションオーナー。いつもの調子で現場検証・見積りへ出掛けた。
玄関ドアを開けるといつもの悪臭。豊富な現場経験を自負していた私は、いつものノリで室内へ。「マスクとかしなくて大丈夫ですか?」とオーナーは気遣ってくれたが、「現場見積でいちいちマスクしててもきりがないんで・・」と余裕をかましていた。
故人はトイレで亡くなっていたと聞いていたので、トイレのドアを開けてみた。
そこで仰天!ユニットトイレだから、腐敗液が床に染み込んだり隙間から漏れたりしていないものだから、人間の容積がそのまま液体になったくらいの量の腐敗液が便器と床に溜まっていたのである。これにはさすかに驚いた!正直「どうすりゃいいんだよぉ」と思った。いつものように、作業手順が即座に組み立てられなかったのである。
私は、吐きそうになる現場は少ないのだが、ここではいきなり「オエッ」ときた。
この現場は、トイレユニットごと入れ替え必要があったが、まずは、その腐敗液を何とかしなければならなかった。
通常は、吸収剤+拭き取りで処理できるのだが、ここはそうはいかなかった。そんなレベルではなく、汲み出す必要があった。この汲み出し作業が辛かった!小さい容器を使ってトイレ床の腐敗液を少しずつ汲み出していくのだが、汲んでも汲んでもなかなか終わらなず、気持ち悪くて気持ち悪くて仕方がない。なにせ、液体人間を汲み出してる訳だから。腐敗液の中に落ちていたメガネが人間的なものを感じさせ、余計に不気味さを増長させた。
これが腐敗液だと思うと、直ちに「オエッ!」とくるので、何も考えないように、心を無にしてやるのがこの仕事のコツである。
この仕事は、死体の腐乱臭が身体や衣服をはじめ、鼻にもばっちりついてしまうのは言うまでもない。もちろん、そのまま家にも帰れないし、どこかの店に立ち寄るのもはばかられる。そんな仕事なのである。
トラックバック 2006/05/26 投稿分より
われわれ一般人は腐乱死体などはホラー映画でしか見たことが無く、たいてい固形なわけですが、そんなに人体がいとも簡単に液状化するとは想像をこえていました。
中に眼鏡が落ちてるとのくだりは確かに生生しい感じでしたが、臨場感がありました。
服や体についた悪臭は家でもなく、店でもなく、どこで落としてくるのでしょうか?
会社にバスルームがあるのでしょうか。
ともかくがんばってください。
疑問なんですが汲み取った液体ってどこにすてるんですか?
火葬するわけにもいかないでしょうし、生ゴミって訳にもいかなそうですよね?
大変なお仕事ですが無くてはならない職業ですよね。
自分は出来たらお世話になりたくはありませんが。
どれも、これも、第一発見者にはなりたくないです
ブログ拝見させて頂きました。
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