最近の日本列島に起きている事件や事故の数々は、日本がかつて誇った「世界一平和で安全な国」ではないことを如実に示している。安倍総理は、「美しい国へ」と力説するが、イメージ先行の形容詞では期待する方が虚しくなる。
福岡県での飲酒運転・ひき逃げ事故に始まり、全国各地で公務員の飲酒運転の実態が浮上した。自治体の職員に続いて、取り締まる側の警察官にまで波及し、列島ぐるみに。
岐阜県庁の組織ぐるみでの裏金作りが明るみに出たと思ったら、福島県知事が収賄容疑で逮捕された。奈良県では、5年間に8日間勤務しただけで全給与を支給されていた事件が発覚した。京都や大阪でも類似のケースが発生している。
児童のいじめ問題では、担任教師がいじめの発端だったのを学校が隠したり、教育委員会が児童の遺書コピーを紛失した事件が。反対に、親による幼児虐待や殺害事件も。全国各地で類似の問題がまだまだ埋もれているに違いない。
ある身寄りの無い老夫婦が痴呆が進まないうちに自らの命を絶った。また他では、痴呆症の妻の介護に疲れた夫が妻を殺害した。子供が親の面倒を看なくなれば頼りは配偶者だけだが、平等によわいを重ねるから己の身体でさえ持て余すようになる。「老老介護」は、超高齢化社会の喫緊の課題なのだが、行政は少子化に熱心かつご多忙で、年寄りには手が回らない様子だ。
これらは全て我々の日常生活で直面していることばかりだ。「美しい国へ」の受け止め方は、人によって”千差万別”だ。社会構造と精神構造の両方を改革しない限り、「美しい国へ」は、絵空事に終わることを、「総理、お忘れなく!」。