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時悠人chosan流処世術

★発明の対価と研究費

2006-07-28 05:19:40 | 日記・エッセイ・コラム

フラッシュメモリーの発明対価を巡り、元社員が企業を訴えた事件は、7月27日、東京地裁で和解が成立した。青色発光ダイオードの発明対価を巡る訴訟で、一躍、企業における研究者の処遇問題がクローズアップされたが、今回の和解額は8,700万円で、過去3番目の高額だとか。係争内容を論評する気は無いが、企業の研究開発費に与える影響度が気にかかる。 

 企業の研究者は、身分を保証された環境で研究生活を送る。研究に必要な材料等も企業が負担する。その成果物として発明品が収益を稼ぐ仕組みだから、発明者への報奨金には、一定の限界があって然るべきだ。画期的な発明であれば、その内容と企業が儲けた利益の大きさとで、特別報奨金を決めるのが賢明だ。

 さて、私が懸念するのは、基礎研究分野での投資に悪影響を及ぼさないかということである。日本の技術水準が国際的に一級品との評価は、莫大な基礎研究開発費が支えて来たものだ。電電公社は民営化以降、経営改善目的で基礎研究費を毎年減額せざるを得なかったし、分割後は、グループ会社間で負担割合を巡って対立した。

 企業の研究開発費が、利益をあげるための投資に限定されるならば、技術大国ニッポンの先行きは暗雲が漂うことになる。国際競争に打ち勝つ技術力を高めるためにも、科学技術分野で若い人を育てる長期投資の充実・強化こそ、政府が真剣に取り組むべき課題の一つなのではないだろうか。