主人公は元経済新聞の記者でフリーライターの上阪傑。ゴーストライターを務めることが多く、過去に三冊のゴーストライターを引き受けたIT企業会長から呼び出しを受ける。そこで依頼されたのが自伝。それも余命三ヶ月という宣告を受けてのものという。主人公上阪傑の章、釜田芳人の自伝、和泉日向の章と視点を変えながら進んでいく。過去の自伝執筆の際には明かされていなかった事実。空白の期間、ゴーストライターとして対象に成り代わって描いたことが嘘だった!ことも。そこにある二人の男達の若き夢の日々。現在の若者たちの夢と現実。それらが描かれる中で次第に明らかになっていくものが。そした最後にもうひとつのどかん。面白い。人というものが描かれている、謎の深まりとその謎解きもまた。これもまた新しい本城雅人の世界。☆☆☆☆ほ。