カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『ブラック・ジャック・キッド』久保寺健彦 新潮社 LB

2022-02-12 21:14:54 | 番外
 第19回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。主人公の織田和也。小学校3年生で『ブラック・ジャック』を愛読し、憧れる。将来の夢、ブラック・ジャック。ヘアリキッドとヘアスプレーで髪を固め、黒いコートをみにまとう。そんな小学生の物語。仲間との暮らし、ほのかな思い。4年生の時、母とかつて暮らした町を訪ねる。そして母が消える。5年生で引っ越して転校。新しい世界での違和感。それでもブラック・ジャック。そこで生まれた新しい仲間。子供時代の不思議な世界をもう一度。☆☆☆☆。

『ひと』小野寺史宜 祥伝社文庫

2022-02-12 18:44:29 | 番外
 主人公柏木聖輔、19歳。東京都江東区にある砂町銀座を空腹を抱えて歩く。食べ歩きで有名なこの商店街、一軒の総菜屋の前に。ポケットには55円しかない。コロッケが50円、「コロッケを」という柏木の声にかぶさるように「コロッケとハムカツとアジフライ」とおばちゃんの声。「先、どうぞ」と最後のコロッケを見送った。主人が50円に負けてくれた120円のメンチカツ。財布に「御縁」が残った。そこで働くことにした。大学2年の途中で退学。その前に料理人だった父が交通事故(自損)で亡くなり、それでも大学は法政大。2年の途中、母が突然死していたことを知らされた。そして大学を止めた。総菜屋で働きながら、調理師を目指すことにした。大学の同級生、新たに出会った人、偶然再会した高校の同級生。あやしい遠縁の男。いろいろな出会いの中で、自分の生き方をする中で、また人と出会う。そんな物語。2019年本屋大賞第2位の作品。☆☆☆☆。