再読シリーズ。本屋で文庫を見て買ってしまった。三羽省吾は好きな作家。父親が失踪してしまった家族。祖父。母、長男、長女、次男。中学生の次男、高校生の長女、失業中の長男、母、祖父の順でそれぞれが語っていく。それぞれが不安を抱えながら、崩壊した家庭の中で自分をどうしていいのか分からない。少しづつ家族の背景が、それぞれの生きた時代の中で語られていく。何だか凄い。ストレートでいながら、屈折と、どこへ行くのかと。家族というもの、もともとの危うさ、それがどうしたのだという中で、つながっているもの。共同幻想の家族、それぞれの幻想を突き詰める試み。部長代理と部長が帰ってきた。☆☆☆☆☆。