団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

イスラエルのグレープフルーツ

2010年12月27日 | Weblog

行きつけのスーパーでイスラエルから輸入されたグレープフルーツを見つけた。(写真:参照)さっそく2個買った。1個100円だった。かつて不毛の砂漠だった土地を開拓して、こうして日本へもグレープフルーツを輸出するまでになっている。イスラエルにできて、他の国でできないことはない。学ぶべきことは、政治宗教を超えてでも学ぶ気概がほしい。20年くらい前にスイスでイスラエル人夫婦と出合った時のことを思い出した。


 
スイスのピラトゥス(別名ドラゴンマウンテン)へ登る4人乗りゴンドラの中で、イスラエルから来た夫婦と一緒になった。旅に出て、偶然の出会いも楽しみの一つである。私達はセネガルのダカールから来たと英語で自己紹介した。イスラエル人の夫婦も英語を話した。英語は世界共通語だとあらためて認識した。彼らは若い時、砂漠の緑化事業でセネガルに派遣されたと言って、私たちに関心を持ち、こんな話をしてくれた。

 「イスラエルは、人が住んで農業ができるような所に出来た国ではない事は、ご存知ですね。やればできるのです。砂漠だってちゃんと農地になります。日本へもイスラエルから、たくさんグレープフルーツを輸出していますよ。私達が砂漠を緑地化して農地に変えて、そこで作っています。グレープフルーツだけではありません。小麦、野菜、花だって育てています。私は、セネガルで緑化事業をやって思いました。砂漠を砂漠にしているのは人間です。止める方法があってもできない。人間があの砂漠を緑豊かな農地に変えて、自分たちはもっと楽に暮らせるようになりたいと、情熱を持たなければできません。国が、国民の先頭に立たなければできません。

 結局は教育です。セネガルでそう思いました。どんなに私たちが一生懸命教えても、教わる人たちは、自分でやろうとは思いません。他の人を働かせます。開発途上国では権力や特権や他の人が持たない技術や知識を一度手にすれば、どんなことをしても他人に渡さないように守りに徹します。それは、その人が悪いのではありません。社会の仕組みが、そうなってしまっているのです。悲しいことですが、そんなことをしていたら、砂漠はずっと砂漠のままです。それどころか、砂漠は拡大します。不思議ですよ、緑化もある面積を超えると、自然に拡大を始めます。

 日本もある意味で、民主主義を追求する社会主義的国家と学びました。イスラエルしかり。自分の手で働く人々がいて、国家を愛して、国の発展を願うからこそ、敵と砂漠と戦うのです。イスラエルにできて、他の国にできない事は有りません。今でもイスラエルの若者は、各地の砂漠で緑化事業を支援しています。ヨーロッパに来て思いませんか?人間は緑の中に住むのが自然だと。日本は美しい緑の国と聞きました。妻といつか行って見たいです」

 妻がひとつひとつ剥いて皿に盛ってくれたイスラエルのグレープフルーツは、甘くて果汁たっぷりで美味しかった。

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