エベレスト登頂した登山家が「なぜ山に登るか」と訊かれ、「そこに山があるからだ」と答えたとか、答えなかったとか……。
いや、そういう名言的な何かではなくて「冷蔵庫にあった食材を組み合わせたら出来ちゃった料理」という話。
ただ、登山家との違いは、最終ゴールが判らないまま調理を見切り発車したということにある。
山なら遭難の可能性あり。
山には長い年月の結果の名前があって、出来ちゃた料理は今出来たのだから後で名前をつけるか……。いや、山も後から名前が変わる事もあるなぁ……。
そもそも山の名前を知らなくても……。と愚につかぬ堂々巡りである。非生産的。
鯵があって、トマトがあって……。
あとは、どのご家庭にもあるような冷蔵庫レギュラーメンバーの組み合わせ。調理手順の結果で料理は出来てしまう。遭難するかは別問題だが。
なんだか「素材と技法の組み合わせで何通りにも……」とは、個人的に最近よく使うフレーズだなぁ。
さて、料理名が判らないので、材料と手順をひとまず列挙。
【材料】
鯵
小麦粉
ニンニク
唐辛子
タマネギ
マイタケ
バジル
塩
胡椒
ワインビネガー
白ワイン
レモン
【手順】
鯵に小麦粉をまぶして多目のオリーブオイルで揚げ焼きにする。
一旦、鯵は皿に移しておく。
フライパンを洗って、再び。
オリーブオイルで、ニンニク、タマネギ、マイタケを順次炒める。塩胡椒を少し。ニンニクは取り出す(=食べない)。
タマネギが透き通ったら、トマトをざく切りにして入れる。
ワインビネガー、白ワイン、レモン果汁を入れる。
パルメザンチーズをちらし馴染ませる。トロミが付いたら火を止めて、先ほどの鯵と合わせる。
追いオリーブオイル、バジルはあしらい。
味付けは、塩、胡椒のみ。
旨味は、キノコ、トマト、チーズ……。
香りは、ワイン、レモン、バジル。ニンニクと唐辛子も。
酸味は、ビネガー、レモン、トマト。
といったところか。シンプルな構成である。
「で、これって何?」
アラビアータほど辛くないし、マリネのように漬けてないし、チーズ掛かってるし、あったかいし。基本、西洋のもの?
1尾は残して冷蔵庫へ。よく冷やしてから翌日へ持ち越し。
「で、これって何?」
近いのは『鯵のエスカベーシュ・ちょい辛』? 洋風の南蛮漬けか。昨日よりもビネガーが効いている。
名前がないと他人には伝わらないねぇ。名前は共通認識の基本。
こういう出来ちゃった料理って、のちのち家族からリクエストがあっても、多分、思っているものにズレが生じるだろう。
『名前のない料理』
それも家庭料理の楽しみって事と致しましょうかねぇ。( ← 無理矢理な結論)