民間信仰の魔除けとして、焼いた鰯の頭を柊の枝に刺して、門柱や戸口に掲げる風習があります。
これは「鬼の嫌いな鰯の臭いと柊の棘で鬼を退散させる」という信心からくるもので、まさに『鰯の頭も信心から』ではありますが、邪気・厄難を払い、ひいては家内安全・招福万来を願う縁起物です。
関西圏では節分によく見られる光景ですが、本来は一年を通じて掲げておくもので、節分毎に新しいものと更新します。私見では関東には少ないように見受けますが。
さて、備前焼の『ひいらぎいわし』。
そもそもこれを作り始めたのは……、(以下、回想シーン)
学生の頃に、全国津々浦々ウロウロとしていました。日本中の工芸を見ようとしていた頃です。
ある冬の小春日和の日に、伊勢神宮から和歌山まで海岸線を移動していた時の事。リアス式海岸のカーブを曲がるたびに小さな集落と港があるような道が続いていました。かつての交通としては船の方が便利だっただろうと思われる地域でした。
晴れて凪いだ海に面して数え切れないほど道を曲がった先にあった自動販売機。横にある日溜りのように取り残されたバス停留所に座って、100円で買える温もりに手を暖めていました。(←尾崎世代)
その目線の先にあったのが、件の『ひいらぎいわし』でした。穏やかな海からの柔らかな照り返しを受けて、そこに静かに在りました。おそらく、ここに座らなかったら見過ごしていた小さな存在。
しかし、関西で見るものとは異なり、イワシ一匹にヒイラギの枝を咥えさせて玄関先に釘で打ち付けてあります。見渡せば各家屋の戸口に同じようにありました。どれもカラカラに乾燥して猫も関心を示さない程の干物状態。
節分の『ひいらぎいわし』は知っていましたが、このスタイルは初見。
堤防で日向ぼっこの古老に、このイワシの謂れを尋ねると「くぁwせdrftgyふじこlp……」と満面の笑み。
え~~と、困ったな。聞き取れない。
笑顔で別れてからも気になって、その後も出会う方々に訊ねる。話を纏めると『一年中吊っておく魔除け』と判りました。なるほどなぁ……。
そんな事をすっかり忘れて幾星霜。(回想終わり)
それが、2013年の展覧会『備前陶心会展』でのテーマ『角(かく、かど、つの)』のタイミングで、ふと思い出しました。
思い出したのは、連想であって、『角』 → つの → 鬼 → 角大師 → 魔除け → ひいらぎいわし → 鬼払い → 角 の順。
「ふむふむ、焼き魚なら……出来るな」という事で作りました。もっとも彼の地で見たものは干物でしたが。
近所のスーパーで一夜干しのイワシを買ってきて、それをモデルに一匹づつ作りました。
これが反響が良くて、受賞して、更に後日完売。
その後も作ると、開店お祝い、新築祝いなどにセレクトして頂くようになり、すっかり定番化しました。
今になって思うと、備前焼としては細工物の流れを汲むモノであり、備前の面する瀬戸内海は小魚(イワシ)が捕れる地域柄であり、瀬戸内エリア発の縁起物アイテムとして『ひいらぎいわし』は良いような気がしています。
と、いう事でっ、『一家に一尾、ひいらぎいわし』を是非。
陶製なので腐りません!! しっかり焼いた焼イワシ。なのに腐らず長持ち、無味無臭。一年通じて玄関先で邪気払い、365日24時間家内安全。メンテナンスフリーな縁起物オブジェです。
夢は、招き猫レベルまでの全国知名度達成です。皆様よろしくお願い致します。
以上、コマーシャルでした。ちゃんちゃん。Ψ(`∀´)Ψ
すっかりコメントを見落としていました。ゴメンナサイm(_ _)m
酒器愛用頂いているとの事、有難う御座居ます。
さて、ヒイラギイワシ。江戸でも風習はあったのでしょうかね。丑寅はやはり鬼門なので、邪気払いとの意味だったのでしょう。「一家に一匹」を合言葉に普及活動に励みます!
あっ、「先生」は禁止の方向で~~。今後ともよろしくお願い致します。m(_ _)m
コメント有難う御座います。見落としてました。m(_ _)m
今回の窯からは小さくして新登場~~!です。
気が向いたらアップしますが、まずは展覧会デビューかなぁ……。