備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

今回の……

2009-05-25 09:41:05 | 陶芸
透かしのデザインの物を作ることが多い。

絵が描けない備前焼で出来る数少ない季節的な表現。
だからという訳では無いけれど、桜・蒲公英・若草・夏草・流水文・瀧・泡・松竹梅……など、いろいろ。やりたいだけかも。

そのうちのひとつ、草文。

以前、唐草をデザインしていて、草文になっていた、あれ。

今回、この草文と桜のパターンが窯出しの季節柄もよろしく、目を引いた感じ。


この『透かしの花入』は、きちんと書くと『備前透草文花器』となる。

焼物は大抵、『産地(陶磁の別)-技法-模様-形-品名』の順番で書かれることが多い。
部分的に入れ替わる事もある。

『青磁象嵌辰砂彩牡丹文鶴首瓶』は、『せいじ ぞうがん しんしゃさい ぼたんもん かくしゅへい』という具合。
漢字とは便利な物で、中国製でもこの名前。

「青磁で象嵌がしてあって辰砂で牡丹の絵が描いてある首の細い瓶なんだな」と判る。名前がわかるだけで、さっぱり実物は想像できないけれど。


さて、『備前透草文花器』であるけれど、箱書きは『備前花入』で済ましたりもする。
詳しく書く事によって限定的な印象を持たれたくない為。百聞は一見に如かず。
あと、金釘流の字で奇麗な箱を汚す事も無いかと…。


最近、箱書きが続いている……。艱難辛苦。
今日も箱屋さんが桐箱を持って来る予定……。

あぁ~、平気でドンドンと字が書ける人が羨ましい……。