
さてさて、この週末はご縁を頂きましてお茶会『あやめ会』のお手伝いに行って参りました。
場所は、国指定重要文化財『永富家住宅』です。
そして、お茶会の名前のとおり、毎年あやめの咲く時期に開催されています。
噂に高い会で、美術館クラスの名品がしっかりと使われます。かつ、毎年代わられる席主の趣向が大いに反映される会で、全国からお客様がお越しになられます。
ひと月ほど前にお話を頂いて、即決で参加表明していました。
「今年は日本を代表する華道家ですよ」とお伺いしていたので、本当にワクワク。『ふたつ返事のなべちゃん』久しぶりのGJです。
で、真面目にお仕事。
そして、本日は最後の席に通して頂き、その名品を堪能致しました。
お昼は時間を見計らって、お客さんと同じくアヤメを愛でつつ点心も頂きました。

素麺はお土地柄。松花堂は、鱸の昆布締め、鯛味噌漬け、焚き合わせ(穴子、海老、根菜、粟麩)、うすい飯(豆ご飯)。
椀物は鱧。梅雨ですなぁ。
どれも美味しく頂きましたが、粟麩が印象的でした。(これお酒があったら最高です。小さい一合瓶が付かないかしら……)
そして、本命の濃茶席。噂に違わぬ鼻血モノのオンパレード。
「時代の変わり目を意識」したというチョイスで、激動期(室町~江戸)のお道具があり、茶碗の刷毛目もスピード感がありました。
掛け花入が『馬』繋がりで面白い趣向でした。
太閤秀吉・細川合作の竹花入『ハヤウマ』(『有馬』から早馬で竹を送った謂れに因む)に活けられた『ウマノスズクサ』。……と、三つ馬が掛かっています。
これに茶碗が『対馬』でトドメ。
床の間の軸は狩野派の花鳥図しばり。
今回の趣向で特筆するなら、建物の中に花席が設けてあった事です。
ここでは古式な活け方もさりながら、使われている道具が日本は天平、大陸は元代のものから各時代をずらりと並べてあります。
首の飛んだ猿投、古銅の花入、時代ものの竹籠……。
夕方の人が少ないタイミングでしたので、ほぼ独占状態で堪能しました。
逆光の釣り舟の松葉が印象的。「花は人の手が入ることで『花』として再び生きる」と。……ふむ。
薄茶席に近い場所が担当でしたから、お茶碗の紹介がチラホラと聞こえてきます。
川喜田半泥子、北大路魯山人、荒川豊蔵、楽、青磁、古瀬戸、古染付、絵唐津……。
河井寛次郎が気になったなぁ……、小生は田村耕一作で一服。のんこうもあったなぁ……。
朝の開始前に、活けるのにくっついてお手伝い(掃除と片付け)したのも、かなりのご褒美でした。
さて、溜め息の出る空間を出て長屋門の外に「これは何ぞ?」というオブジェ発見。

雑草を戴いた猫足の筒。う~~ん。
以前からあるらしいけれど、塀の角にあるって事は、『いけず石』の代わりなのかなぁ……。
趣向の散りばめられた空間に身を晒すと、ついつい見るもの全てに意味を考えてしまうなぁ。
謎は謎にしておくのが良いかも、と思いつつ帰路につきました。
しかし、今日は寝れるかしら……。名品のパワーがまだ脳裏に残っています。
あぁ!
そういえば、明日の夕方まで窯焚きお手伝いに行くから、どのみち寝れないんだったわ。
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