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備前焼 やきもん屋 

備前焼・陶芸家の渡邊琢磨(わたなべたくま)です。陶芸、料理、音楽、路上観察……やきもん屋的発想のつれづれです。

窯詰=子豚三男坊的生活

2016-03-17 12:07:26 | 陶芸


さて、今回はお祭り騒ぎなスケジュールで製作・窯詰め・窯焚きでした。イケイケ、ドンドン、オラオラ、グイグイ。

家にいる時間よりも窯の中の方が遥かに長かったなぁ。窯詰め期間中に2回完全徹夜、2回明け方まで作業でした。ほぼ寝ていない。
今回は詰めるべきモノと配置が事前にしっかりと決まっていたので、サクサクと窯詰め。その為に「もうちょっと、もうちょっと」と時間延長した挙句に朝までというパターンでした。たぶん窯詰めハイ。
これだけレンガで囲まれた空間でワラの香りの中にずっといると『3匹の子豚の三男坊』の気分です。割りと居心地が良い。睡眠不足なのに楽しかったなぁ。( ← やっぱり、窯詰めハイ)


左様にサクサク詰めながらも棚組みで気を遣う場面が一番上の棚です。今回は特にトリッキーに詰める予定がないので置いて終わり。いつもはかなり時間を要する場面であって頭も体も疲れます。
しかしながら、その高さは大問題であるのでイケイケであってもしばし逡巡する。ここの高さ如何で後列への影響が大きくなる(=結果が大きく変わる)ので。

火が走る雰囲気を予想する為、焚口に割り木を挿して置くのは窯詰めの時の習慣です。まぁ、これがあっても判断ミスはあるんだけどねぇ。( ← 欲張りさん)


アレコレ考えて決定する。


詰めてしまえば『人事を尽くして天命を待つ』……の気分です。


書いている現在は窯焚きが終わっているので言えますが、この部分は窯焚き中は正解でした。
まぁ、実際に窯出しするまでは判りませんが……。


さてさて、窯詰め期間中にもっとも驚いたのが3日目の昼でした。お昼ご飯を食べていて、気がつくと床で寝ていました。記憶の最後が箸を持っていた場面。そして起きるまでの記憶がない。気を失っていたのかしらん?
窯詰め最終日は徹夜で詰め終えて、陶心会展の搬入の為に岡山へ。完全にヘロヘロ状態。
帰宅して直ぐに火入れ。そのまま窯焚き突入~~~。イケイケ、ドンドン、ヘロヘロ、ヒィヒィ。(あっ、子豚的にはブヒブヒか? もはや思考停止直前)


そして、窯焚き終了後には、確定申告を一気に片付けるという怒涛のスケジュールが続いていたのでした。

チャンチャン。 ┐(-。ー;)┌
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ひいらぎいわし

2016-02-01 10:51:00 | 陶芸


民間信仰の魔除けとして、焼いた鰯の頭を柊の枝に刺して、門柱や戸口に掲げる風習があります。

これは「鬼の嫌いな鰯の臭いと柊の棘で鬼を退散させる」という信心からくるもので、まさに『鰯の頭も信心から』ではありますが、邪気・厄難を払い、ひいては家内安全・招福万来を願う縁起物です。

関西圏では節分によく見られる光景ですが、本来は一年を通じて掲げておくもので、節分毎に新しいものと更新します。私見では関東には少ないように見受けますが。


さて、備前焼の『ひいらぎいわし』。


そもそもこれを作り始めたのは……、(以下、回想シーン)


学生の頃に、全国津々浦々ウロウロとしていました。日本中の工芸を見ようとしていた頃です。
ある冬の小春日和の日に、伊勢神宮から和歌山まで海岸線を移動していた時の事。リアス式海岸のカーブを曲がるたびに小さな集落と港があるような道が続いていました。かつての交通としては船の方が便利だっただろうと思われる地域でした。

晴れて凪いだ海に面して数え切れないほど道を曲がった先にあった自動販売機。横にある日溜りのように取り残されたバス停留所に座って、100円で買える温もりに手を暖めていました。(←尾崎世代)
その目線の先にあったのが、件の『ひいらぎいわし』でした。穏やかな海からの柔らかな照り返しを受けて、そこに静かに在りました。おそらく、ここに座らなかったら見過ごしていた小さな存在。

しかし、関西で見るものとは異なり、イワシ一匹にヒイラギの枝を咥えさせて玄関先に釘で打ち付けてあります。見渡せば各家屋の戸口に同じようにありました。どれもカラカラに乾燥して猫も関心を示さない程の干物状態。
節分の『ひいらぎいわし』は知っていましたが、このスタイルは初見。

堤防で日向ぼっこの古老に、このイワシの謂れを尋ねると「くぁwせdrftgyふじこlp……」と満面の笑み。

え~~と、困ったな。聞き取れない。
笑顔で別れてからも気になって、その後も出会う方々に訊ねる。話を纏めると『一年中吊っておく魔除け』と判りました。なるほどなぁ……。


そんな事をすっかり忘れて幾星霜。(回想終わり)


それが、2013年の展覧会『備前陶心会展』でのテーマ『角(かく、かど、つの)』のタイミングで、ふと思い出しました。

思い出したのは、連想であって、『角』 → つの → 鬼 → 角大師 → 魔除け → ひいらぎいわし → 鬼払い → 角 の順。

「ふむふむ、焼き魚なら……出来るな」という事で作りました。もっとも彼の地で見たものは干物でしたが。

近所のスーパーで一夜干しのイワシを買ってきて、それをモデルに一匹づつ作りました。
これが反響が良くて、受賞して、更に後日完売。
その後も作ると、開店お祝い、新築祝いなどにセレクトして頂くようになり、すっかり定番化しました。


今になって思うと、備前焼としては細工物の流れを汲むモノであり、備前の面する瀬戸内海は小魚(イワシ)が捕れる地域柄であり、瀬戸内エリア発の縁起物アイテムとして『ひいらぎいわし』は良いような気がしています。


と、いう事でっ、『一家に一尾、ひいらぎいわし』を是非。

陶製なので腐りません!! しっかり焼いた焼イワシ。なのに腐らず長持ち、無味無臭。一年通じて玄関先で邪気払い、365日24時間家内安全。メンテナンスフリーな縁起物オブジェです。

夢は、招き猫レベルまでの全国知名度達成です。皆様よろしくお願い致します。


以上、コマーシャルでした。ちゃんちゃん。Ψ(`∀´)Ψ































 

コメント (4)
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乳鉢購入

2015-09-18 12:30:21 | 陶芸


以前から、ずーーーと欲しかったモノ。やっと入手しました。小さい乳鉢。

随分探していたけれど、なかなか出会いが無かった。いや、出会ってはいたが「高いのはヤダッ」という理由で購入に至らなかっただけ。
ネットでも見たりしていたけれど、「何だかなぁ~~」と眺めるだけ。大きいサイズはアウトレット扱いでお求め易い価格もあったんだけど邪魔だし。

そもそも乳鉢は備前焼製作では基本的に不要な道具である。釉薬、上絵が無いので摺る必要が無い。他の産地なら業務用としては大きい方が良いし、大量に摺るならポットミルという便利なものがある。

これが欲しかった理由は、「少量の粘土を粉砕してドベ状(液状)にしたい」という理由である。目下のところは象嵌土に対する目的。
これまでは、その辺に転がっていたボウルに粘土を入れて金槌の柄で砕いていたけれど、どうにもしっくりと来ない。そりゃ、使い方が違うんだし。
で、ここで本業らしく「一念発起!」した……のではなく、出会っただけである。

陶芸材料を買いに行った店。
奥のショーケースの最下段に埃にまみれていたのを発見。何気なく価格を見るとかなり安い。(価格はネットで見当がついているしね)
思わず手が伸びそうになったけれど、ちょっと一計。

小生「あぁ、こんなの、まだあるんや」 (店主に聞こえるように独り言)

店主「もう20年ぐらい置きっ放しや。要るなら安ぅするで」 (よしっ、キタキタ!)

小生「でも、備前焼じゃ使わんし、要らんなぁ。小さいし」 (箱の埃を拭きながら、棚に戻す)

店主「1400円……いや、1000円!」

小生「乳棒もあるんやったら……、貰っとこうか? まぁ、出会いやし」(渋々な態で)

店主「毎度あり~~」


かくして、五寸乳鉢・乳棒付きを頂きました。
こんなのって不要ながら持っている人って、誰かいそうなもんだけど……新品なので良しとしよう。


いつ使うかなぁ……。

























































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ドベ鉢3種

2015-09-10 10:57:09 | 陶芸


さて、先日、ドベ鉢の棚を改良をしたが、仕事としてのメインは棚そのものではない。肝心なのはドベ鉢である。
ドベ鉢は、粘土の水分を抜く為に使う鉢。

現在は紆余曲折で3種類を使用している。


【石膏鉢】
素材としては、総合的に石膏製が優秀である。全体がやんわりと偏りが少なく水分が抜けていく。これを使うのがヤキモノ屋の正統派か。ただし、劣化しやすいので扱いは優しく。
過日の強風での落下惨事でこれらが5つ破損した。痛手だ。この件で正統派ステイタスがやや遠のいたか……。いや、元から遠いな。
石膏型を作って自作すれば安く出来るが、それなりに時間が掛かる。また、次の機会にでも。まっ、いつか知らんけど。
『エエ子やけど気ぃ使わなアカン、ややこしい子』との縁が切れたと考えておこう。


【駄鉢】
独立当初から使っているのは、いわゆる駄鉢である。(過去記事にも再三登場してますが……)
利点は、丈夫かつお求め安い価格である。人によっては「初窯前の窯の空焚きで素焼きの鉢を作る」という方も居る。しかし、小生はしなかった。駄鉢が粘土代より安かったという理由。
これは丈夫であるが吸水性はあまり無い。ホームセンターで焼けの甘い(焼成温度が低い)ものをチョイスしたけれど大差はない。
しかし、一転、冬場のパフォーマンスは石膏鉢を超える。夜に凍って昼に溶ける事で劇的に水分が抜ける仕組み。冬の朝がそこそこ寒いという環境が必要であるけれど。
『見た目はまぁまぁ、丈夫一点張りの働き者な子』である。


【カゴ】
最近は冬場仕様の進化版としてプラスチック製の籠も使い出した。100円というやきもん屋のお財布に優しい。水分の抜けはベスト。かつスタッキングが良く軽い。何よりもドベ鉢以外にも使えるマルチさが良い。
問題は、風情としてヤキモノ屋のイメージっぽくない点である。そういう意味では『安くて便利なマルチな才能。但し、人目を憚る軽~い子』だな。


まぁ、そもそも冬場仕様のドベ鉢のポイントは鉢そのものではない。使っている布が大事。今は酒を搾る袋を使用している。
独立前に勤めていた窯元の株主が酒蔵会社オーナー方だったので、折を見て頂いていたものである。搾ることに特化した素材なので性能は抜群。

『分離した液体が必要なのは酒屋さん、残った酒粕が必要なのが奈良漬屋さん』という事。
その伝として、やきもん屋さんが転用である。
粘土から出てきた水を回収して再利用すれば大したものであるが、その仕組みを作るのは今のところ予定なし。


天気と粘土の堅さを常時確認する日々であります。




























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15分トライアル大工

2015-09-08 19:03:13 | 陶芸


過日の事。秋雨前線真っ只中、晴れ間をみて大工仕事に取り掛かる。ドベ鉢を並べる棚を改良する予定である。きっかけは師匠から2×4材を沢山頂いたことにある。
いつ雨が降るやも知れぬので15分程度で終わらせる決意で。「よーい、ドン」。

改良するのは竹竿の部分。竹竿は裏山から調達していたものであるが、ドベ鉢を置いていくと竿の中間が撓む。水平が保てないと扱いがヤヤコシイ……。

これまでは解決策として太くて真っ直ぐな竹を探して切り出していた。が、それも段々億劫になってきた。途中で突っ張りを入れたりしたけれど、扱いにくい事は変わらない。それに竹自体が劣化するので毎年更新が望ましいが、イノシシが竹薮を走り回るので新しい竹が出てこない……。
その上、先日は強風で棚からドベ鉢が落ちて5つ破損するという惨事もあった。竿はタダだったが結局高くついたので、これも改良の契機である。

斯様に、日々難儀しているところに「貰いもんやけど、使えるからあげる」という天の声が!(違っ、師匠の声だ)
ありがたや~~。実際頂いたのはかなり以前であったが……。


一旦、棚をバラすが使えるものはそのまま流用する。15分トライアルの大工仕事である。流用上等! 本日のモットーは「時間を掛けずに良いものを」である。それにこういうものは段取り八分だ。(8min.ではなくて80%ね)

ついでに草抜きもして……。壁についた粘土はご愛嬌なのでそのまま。

切断加工なし。あるがままを、あてがい大工で製作。15分だからね。(←ハイハイ)

インパクトドライバーさまさまで完成~~~。


見込み通りほぼ15分で終わった。出来上がると直ぐに使用開始だ。

おっ、撓まないぞ! 気持ちが良い。


改良も済んだので、これからは粘土作りもジャンジャンと。
そして、モノ作り、割り木運び、窯掃除、窯詰め、窯焚き、展覧会、企画、ハッ!! 備前焼まつりもかっ! いや、もう年末も……。


という事で、更に『絶賛!! 引き篭もり中』と相成ります。ではでは。 ヾ(*^o^*)









































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窯焚きシーズン

2015-06-25 15:49:19 | 陶芸


本格的な夏到来を前に、周りでは窯焚きラッシュ。
ほぼ週一回、どこかの横焚きに参加するペースです。予定は、あと3件かな。
生活が不規則になりますが、オーナーごとに、それまでの経験や窯の特性もあって色々と興味深いのも事実です。それが楽しみ。
今回は『色見』の作りが丁寧な作家さんでした。

色見は「焼けたか、どうだか……」の判断をするモノ。窯焚きの最初から入っていて、モノと同じように焼き、途中で窯の中から棒を使って引っ張りだします。
単純に温度の上がり具合から、還元濃度、土の雰囲気までそこには出ていますが、概ね「窯焚きを止めるか、続けるか」という判断に使います。
窯が冷める過程で色は全く変わりますが、それをも含めてオーナーは関連性を読みます。

オーナーは、「おぉ、ちゃんと酸化してるで」とか「あと10℃上げるわ」とかを判断するわけです。
お手伝いは、それが「何処の土か」に興味があります。「ほほう、こうやって焚くとこうなるのか」と。

今回の色見は、同じ土の色違いが多数。(やるなぁ~~。いよっ、窯焚き上手!)


さて、諸々ウロウロしている間に、既に前回の窯焚きから半年が経っている。うむ、本格的に作らねば。
窯焚きを指して、「今回」が「前回」と言う様になったら、もう本格的に作らねばなりますまい。

製作も本格的にスタート。依頼モノも多し。(明日からだけど)


今晩は、所属団体の親睦会であります。 Ψ(`∀´)Ψ

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会期終了。そして、窯焚きお手伝い

2015-06-01 10:38:21 | 陶芸


倉敷での年に一度の個展が終了しました。3回目にして、ひとしおの感がありました。
ご高覧頂いた方々、お買い上げいただいた方々に深く御礼申し上げます。
また、都合によりお越し頂けなかった方、来年もさせて頂くことになりましたので是非お越し頂ければ幸いです。


会期中に登場した花材のパイナップルも一緒に帰宅しました。

頂く気満々でしたが、「この赤色は化学染料かな?」と思うと、ちょいっと頂く気が失せました。香りも然程ないし……。
しばし、放置ですな。


さておきまして、早速、友人の窯焚きお手伝いに突入しました。
「展覧会終了を待ってたのか?」という抜群かつ絶妙に伸び伸びスケジュール。まぁ、気持ちは判る。そんなもんさ。
交代時間に伺うとその場で火入れ。小さな火が安定するとオーナーは「ぢゃ!」ということでオヤスミナサイ。

程よい焚き火が、2週間の通勤をねぎらってくれるかのようです。


「あぁ、火は良いなぁ」

このまま、暖かな火、安らぐ音、松脂の香りと共にゆっくりと眠って……

……いきたいところですが、年に一度の重要な場面です。そこはきちんと。信頼関係ですからっ。(`・ω・´)キリッ


今日から窯焚き明けまでは『酒器の勉強時間』もお休みです。窯焚き中は基本ノンアルコール。
いや、お神酒を少々、直会と称してオーナーと頂きましたが。


個展振り返りはボチボチとして、次の準備も始めなくては。
また、例によって路上観察物件も発見しております。報告はまたいずれ。


ひとまず、会期終了のご挨拶として、この場で御礼をば。

アリガトウゴザイマシタ。 m(_ _)m


そして、良い窯焚きになりますように。(-人-;) 









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感覚の暗数

2015-05-25 09:19:36 | 陶芸


今回の展覧会タイトルは『欠片または断章』です。

『同じモノでも人それぞれに持つ意味の違い』を意識しています。
このタイトルを決めてから、そこはかとなく自分のモノに対する執着を考えていました。
すると今まで意識しなかった自分の『萌え属性』を発見しました。それが最終的には今回作ったスチームパンク系のモノになります。


ご幼少のみぎりまで振り返れば、時計の歯車、オルゴールのユニット、路上販売のポン菓子製造機……アナログな機械に対する興味はあったように思います。
レイヤーのように重なる歯車萌え~~。個人的嗜好です。
そして、少年期をロボットアニメ(マジンガーZ~ガンダム)全盛期で過ごし、後年SF映画も見るようになります。
自分が好んでいたSFジャンルが、ニッチにはサイバーパンクやスチームパンクと呼ばれている事に気付いたのはごく最近です。
ちなみにお気に入りは『ブレードランナー』『攻殻機動隊』ですが。


さて、統計学に暗数というものがあります。実数と統計数とのズレを指すものです。(例えば、犯罪の取り締まり強化による発覚数増加が犯罪数増加に見えるなど)
これを強引にやきもん屋に当て嵌めると、作ったモノを統計のように整理されたモノと見るならば、感覚や知識との暗数が存在するように感じます。
イメージしたモノすら全て作れていない上、自分でも気付いていないイメージもあるはずですし。
この『感覚の暗数』に対する認知精度を上げれば表現の幅が広がるんだろうと思えます。美術や美学ではこの辺りの概念はどうなっているのかしら?


展覧会タイトルからの思考はここまで。


まずはスチームパンク系の試作をする事に。窯焚きは搬入3日前の強行スケジュールでしたが思いついたから仕方ない。
マケット製作から始めたつもりが、結局「試作が本気」といういつもの流れ。一度作ると考えや技術の問題点や改善点が整理されて見えてきます。これが大事。

それとは別に、備前細工物や陶彫との関係性も整理する必要もあります。この『ふざけてるモチーフ』の説得力の問題です。
「細工物に多い獅子、麒麟、龍といった想像上の霊獣はキメラ(生物的合成、拡張)であり、古今東西の形態の共有は充分にサイバーパンクな状態。なので隣接するスチームパンクも備前細工物モチーフとして成立するのではないか」と少々、強引な論を展開しておきましょう。
ただし、それらの信仰心や歴史は深く広いので、それに対する更なる何らかの説得力は必要だけれど。
「獅子はサイバーパンク、これはスチームパンク」う~~ん、不遜かな……。

あとはマーケットの問題もあります。つまりはお客さんのレスポンスです。そこで、今回のお試しのお披露目をします。


さてさて、嗜好、思考、試行と流れて、最終的にシリーズ化されて残るかどうか……。

ちなみに、タイトルは『ミライノカセキ』と致しました。




という事で、皆様のお越しをお待ちしております。ご高覧いただければ幸いです。m(_ _)m
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ミームの器

2015-04-19 09:25:25 | 陶芸


3月に展示した拙作。
第46回 備前陶心会展で備前市長賞を頂きましたモノでございます。

キャプションには……

_________

『ミームの器』

ミームとは、DNAのように知識や文化的側面が代々受け継がれていく流れを指す。
伝達されたミームは、模倣によって蓄積され、選択淘汰されつつ新たに自己複製し伝播していく。
誰もがミームの流れの中にあり、同時にミームの器でもある。

_________

としておりました。


しかし、普段の箱書きでは『備前花器』やら『備前象嵌花器』だったりする。

まっ、今回は特に箱書きに指定もないし、題名の通り書く。
ちょっとスノッブな気もするが……、まぁ、たまには……。ねぇ。




「男に照れは必要ねぇ」って中三の時の担任が言ってたし。良しとしよう。うん。


(意外とネーミングは気に入ってる)
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窯焚きのお供

2015-03-09 12:21:52 | 陶芸


他所の窯焚き手伝い中。久しぶりの還元焼成である。

一般的に登窯の還元焼成の場合、15分~20分間隔で上焚口から薪を投入する。
投入する事で温度を上がり下がりさせながら、徐々に最低温度を底上げしていくという方法である。
焚口から放り込んだ後、暫くはする事がなくなる。そこで、窯を焚きつつも本などが読めてしまう時間が出来る。
しかし、数分後にはまたアクションが必要なので、本に没頭してはいけない。タイマーをセットするのも一手ではある。
もっとも窯焚き中の読書禁止という先生もいらっしゃるらしいけれど。

窯を焚きながら切れ切れに読むので、本の内容としては没頭しすぎず途中で切り上げられるものが望ましい。
または、内容は判っていて読み返すものとかも良いかな。


今回は八木一夫先生の随筆短編集がお供。著書『懐中の風景』『刻々の炎』の2冊から抜粋して組み直したもの。
もう読むのは何回目だろうか。独特な視点から陶芸のみならず様々な事に縦横無尽に筆を走らせている。

読み返しの短編……とはいえ、程よく忘れているので実に新鮮。
こういう『内容を忘れて読み返すのは新しく読むのと同じ』という事態は、「読書一回あたりの単価が下がってお得!」という考え方もありなのかな?
逆に、二度手間なので非効率ととるべきなのかも?

まぁ、メインは窯焚きであるのでその辺はスルーしておきますか。
窯はもう直ぐ1000℃を迎える。これから更に温度を上げていく攻め焚きとなる。


イケイケの『いつも離陸の角度で』窯を焚きましょう。




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