ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

擬態ー蟷螂ー

2018-07-08 18:45:35 | 日記

                   擬態ー蟷螂ー



              白いはなが
              風の中で
              ゆれず
              みじろぎもせず
              じっと
              じっと
              待っている
              

              目を凝らし
              白は
              もっと鮮やかに
              そっとほのかに桃色に染めて
              じっと待っている



              期待の
              落としやすい
              まじめで素直な
              少年を



              じわりと
              忍び寄り
              その背中に腕をまわし
              隠した爪を
              つきたて
              逃げられないように
              追い詰めて


           
              深く
              牙を
              その腹に
              あて
              ぼりぼりと
              喰いはじめ
              そして
              柔らかな
              肺を
              喰いちぎり
      

              べろりと
              舌なめずり


              わたしの
              餌
              誰にも渡さないわ



              そうやって
              赤い唇が
              こっちを向いたとき


   
              その雌蟷螂は
              薄くなった白髪交じりの
              老婆になっていた
              
             
              
              
             

雨にさされて

2018-07-05 22:26:03 | 日記

                     雨にさされて



                ぺらぺら
                風に揺れている


                へらへら
                薄ら笑い



                薄っぺらの
                唇から
                美しく着飾った
                言葉たちが
                踊り



                建前の
                絵に描いた餅やら
                砂の上のビル
                なので
                見るだけの
                崩れゆくもの
                だから



                もろい
                石の上に3年も5年も
                座り続けると
                うそもまことにすりかえられ
                


                腹に据えかねず
                はらわた煮えくり返り
                断腸の思い


            
                はらはらと
                涙落ちるも
                ゆがんだ顔が
                ぐちゃっと
                ゆがみちぎりおれ



                    ふるさとの
                    今にも崩れそうな古い家
                    まちやぐぁー
                    その前で
                    5歳のおかっぱ頭が
                    わらった
                    おばさん おかしちょーだい
                    50年前もそのままだったよね
                    おんなじところにある
                    道がきれいになって
                    でも
                    垣根のお花のにおいがしない
                    おかあさんにそっくりだね
                    うん、声も似てきたといわれる

                    でも、おかあさんのなまえをいっても
                    誰?っていわれるよ
                    ふるさとは遠くへ
                    ふるさとは遠くにありて想うもの
                    母さんに会いたいときには
                    写真を見るか 鏡を見るといい


                    あんたのお母さんは罪作りだって言われた
                    あんたは自立していないから



               ぐっちゃっと
               折れなくてもいい
               ひとのいうことは無責任であるよ



               薄っぺらの心臓が
               ひらひらと風に舞い
               ひりひりと
               雨に
               さされている
                                       
                

7月のそら

2018-07-03 19:52:53 | 日記
                    7月のそら



                7月は雨の中
                絶え間なく
                厚い雲から
                落ちてくる
                あがったかな
                と思ったら                
                忘れるなと
                落ちてくる
                雨粒の連続




                  沖縄じゃね
                  鉄の粒も落ちてきて
                  73年前はね
                  火の玉が島めがけて飛んできて
                  島が燃えつくされたんだよ
                  いまじゃ
                  いやされに皆さんが
                  台風のさなかも
                  おいでで
                  暴風のそらに
                  いやされるんでしょうかね



               6月の終わりと
               7月のはじめ
               73年前は大雨で
               泥の中を逃げ回り
               もんぺは
               ちょうちんのようにふくらみ



               泥水を吸い込んだ
               むくろも
               膨れ上がり
               



                 昔話じゃないんだよ
                 いまも

                 

               大雨の中で
               島は
               ひとがたが膨らんでいる



                
                 めんそーれ
                 基地の飛行機
                 そらをはしる
                 爆風
                 を
                 みに
                 
              

台風接近中

2018-07-01 17:57:58 | 日記
                   台風接近中




                暴風は
                雨風をはらみながら
                徐々に北上し
                時々晴れ間
                あるときは横殴りの突風を
                もたらし



                おい
                おい
                ひとごとだと思うな
                そっちに向かっているよ
                もろい土が崩れ
                急な川は氾濫するよ
                荒れ狂うよ


          
                かさがあるから大丈夫だと思っているんだったら
                怪しいよ
                そのかさ
                もっていかれて
                吹き飛んで
                ずぶぬれ
                暴風、横殴りの雨風が
                ビルの隙間を
                吹き荒れて
                怪我するよ



                暴風雨を
                忘れ去って
                浮かれて
                暴風なんて関係ないさ
                ビルの中に逃げ込んで
                大丈夫さ
                って
                思っている間に
                ほら
                周りが変わってしまい
                大きな暴風雨が吹き荒れる



                気をつけな
                といっても
                何がなんだかわからなくなって
                いいなりの
                なるようになるさの
                能天気




                天気は
                亜熱帯の様相
                ほら
                じぶんちが
                いつのまにか
                OKINAWAになってらー