ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

はぎしり

2018-02-17 22:21:56 | 日記

                      はぎしり



                擦り切れた
                脂身の脳みそが
                空回り
                くすぶって
                煙い
                痛い目から
                涙
                悲鳴
                を
                あげたら
                白い目が
                こちらを向いた



                一つ目小僧
                きみの悪い
                ぬるぬるの
                冷えた部屋で
                そ知らぬふりを
                決め込んで
                火の粉を
                かぶらないように
                眼を
                そむけている
                やからが
                必死に
                こらえている
                愛すべき
                やせ細った
                どれいなのだと
                気づいたら
           

            
                私にも
                あしかせ
                いつのまにか
                どれいになって
                手足
                もぎとられ
                あたまが
                ざんぎり
                ぎり
                ぎり
                おどまぼんぎり
                ぼんぎり


                ぎりぎり

                はぎしり

                
                
                

                

泡粒の物語

2018-02-09 22:19:49 | 日記

                  泡粒の物語



 
               冷たい風が
               少しだけあいた窓から
               吹き抜けていく




               
               重ね着した上着は
               取り上げられ
               どこにもない
 


               金目のものも
               持ち去られて
               何もない

               

               がらんどうの部屋の壁に
               油絵が立てかけられ
               優雅に暮らしていた
               過去の
               残り香



               金がないと
               口汚くののしりあう
               兄妹を前に
               いままでふんぞりかえっていた
               父親の
               記憶が
               泡粒のように
               つぶれて消えてしまったのだ


               
               自分の排せつ物の行方さえ
               分からくなってしまった
               その部屋には
               冷たい風が吹き抜け
 


               
               弁当を
               ふるえて
               ただただ
               待ちくたびれている


               
               元社長という名の親
               と
               哀れな息子



               くたびれた布団の
               上で
               眠れぬ
               夜と
               あけない朝を
               繰り返している



               バブルのはじけた日々のあとで

             
               
               


               

おいこらせ

2018-02-05 21:40:49 | 日記
                      おいこらせ



                 長いのか
                 短いのか
                 過去からやってきて
                 今
                 過去の未来
                 振り返ると
                 相も変わらぬ
                 くくる腹を持たず
                 腹立てては
                 ちぎって投げつけ
                 捨ててきた
                 



                 後から生れ出たものに
                 意見されて
                 教えを乞う




                 口惜しや
                 プライド高き
                 わがこころ
                 折れては
                 折れたところから
                 芽吹き



                 負けず嫌いの
                 歯ぎしり
                 きりきり
                 と  
                 負けるものか
                 この悔しさ
                 はらさでおくべきか

                 
                 
                 

警戒警報

2018-02-04 13:26:53 | 日記

                    警戒警報



                まわる
                動く
                リンクする
                抗う
                


                飲み込まれないように
                速い流れに抗う
                あふれる
                ながれでる濁流



                日々の一滴が
                土の中で育ち
                しみでてくるんだ


                悪意や善意のごちゃまぜ
                が
                毒キノコの土壌
                毒消しの薬



                どうしようもなく
                追い詰められて
                思考停止をして
                頭の中が
                知らない間に
                ぬりかえられるということ
                を
                注意深く
                


                シンプルセンテンスにも
                悪意と善意が潜み
                腑分けをして
                内なる眼で
                見極めなくてはならない



                まじめな「べき人間」への
                注意報


                厳重警戒警報
                                

冬の部屋

2018-02-03 00:09:19 | 日記
                       冬の部屋



                  暖かい島にも冬が来た
                 冷たい雨が
                 ぽとりぽとり
                 土をたたいている




                 ふたたびの1月が廻りきて
                 指の先の
                 むこうを示している



                 まだ見ないあした
                 


                      あんちゃんのふたたびの冬は
                      少年に戻り
                      小さなジャングルの中をかけて
                      探検している
                      出てこない言葉を探し回り
                      大きな木から滑り降りて
                      土の上にドスンと着地
                      傷をつくって
                      隠した少年のころの
                      あんちゃんになった



                さむい夕方に
                ぽとり
                ぽとり
                新聞のちらしを
                広げてみる


                部屋の床
                だれもいない