ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

じゅーぐや(旧暦の十五夜)

2016-10-17 21:14:00 | 日記

                           じゅーぐや(旧暦十五夜)



              満月の夜
              明るい闇に
              白い雲         
              白い花が浮かんでいる



              あたりは墨絵
              

                 
                  71年前
                  小禄の小高い丘の上
                  傷を負った娘の母が
                  壕から這い出して
                  観ていた
                  金色の丸い月




                  突然
                  壕の中で炸裂する
                  背中できいた爆発音
                  突き抜けた痛みは
                  わからない



                  それから
                  キビ畑を坊主頭で逃げまどい
                  そして
                  月に照らされた白い畦道を
                  帰り
                  赤ん坊を迎えた胸は
                  穴ぼこで
                  泣きだしそうな痩せた笑顔の写真が
                  痛々しい




         
              月は
              昨日の月
              向こうからやってきた月
              71年前の月の光が
              眼の中で
              ひかっている